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レディ・バレンタインと疎外感

「ふわぁ~!!」

寝不足の気分の悪さも吹っ飛ぶほど、美味しそうなサンドイッチ。
見るからにふわふわしていそうなパン。
それに挟まれるみずみずしいトマトとレタス、ほどよい香りが漂うハム。

バレンタインはご馳走に目を輝かせて、しかしエルバとユリの料理が運ばれてくるまでぐっと我慢する。
エルバは譜読みしていたのを止めて顔を上げた。
ふいに目が合ってどきりとした。

「先に食べてても良いよ」
「我慢できるよ」

ユリが口を挟む。

「どうせおかわりするんだから、先に食べちゃいなさいよ」

エルバがぴたりと動かなくなり、わずかな間のあと怪訝そうにユリを見た。

「え、なに。そんな大食いなの?」

これにはバレンタインもユリも答えなかった。
妙な沈黙が続いた頃に、二人の料理は運ばれてきた。



昼食を終えた三人は店を出て、陽光の眩しさに目を細めつつ会話を始めた。

「それで、この後どうするの?」
「公園よ。公園に行くの」
「すぐに行こう。もしかしたら、もう着いてるかもしれない」

息をあわせるようにユリとエルバの会話が進んでいく。

「まだ余裕があるじゃない」
「少しでも練習したほうがいい」
「うぅ~食後すぐに練習するのはなぁ」
「言いだしっぺなんだから責任持てよな」

突然外出を誘われた自分には、なんのことだかさっぱり分からずついていけない。
ちょっとした疎外感を味わう。
話がついた途端、エルバにヴァイオリンケースを取られてしまう。

「えっ、あの」
「歩くの遅いから。持ってやる代わりにちゃんと付いて来い」

持ってもらえなかったユリは不満を口にして、エルバの後に続いた。
二人の背中を見つめながら、バレンタインは歩き出す。
なんだか、知らないうちにユリはエルバと仲良くなったようだった。

(もしかして、お互いに好きなのかな)

ぽつりと浮かんだ思いに、疎外感が増す。

(協力したほうが、良いのかな)

「バレンタイン?」

呼ばれて、バレンタインは走った。
エルバの隣に並び歩くと、エルバはちらっと笑った。

「鈍くさい。言ったそばから遅いなんてな。まだ食べたりなかった?」
「違うよ。そうじゃないの」
「じゃあ、なんだよ」

バレンタインはエルバからヴァイオリンケースを取り返した。

「二人でコソコソ……してるんだもの」

ユリは黙ったまま、隣を歩いているだけだった。
この会話には参加しない、そういう意志がはっきりと現れていた。
まごつくバレンタインに、エルバはこともなげに言った。

「秘密にしなきゃ意味がない」
「私をからかっているの?」
「そうじゃない。ただ、目の前で秘密をちらつかされると気になるだろ」
「うん」
「それが目的」

あっさりと片付けられ、バレンタインは諦めたように頭を振った。

「意味が分からないよ」
「まだ分からなくていいよ」





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