FC2ブログ

すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『 てきとうな予言者が意外に世界を壊しちゃうってやつ 』

予言者の店 『スマイル200』
陳腐な店名を持つこの会社の社長 兼 予言者の トキ
唯一の正社員 ミチル
二人は相変わらずな毎日を過ごしていた。

トキお手製のデスクには、山のように積まれた書類とPCが一台。
ミチルは電話が掛かってくることを願い、デスクに座ったまま電話を見つめていた。

そんなとき。

社長は、まるで日常を話すような調子で、ぽつりと呟いた。

「あ~、なんか世界壊れるっぽい」

ミチルは電話から目を離し、小首をかしげた。

「は?」

「だって見えるもん」

トキは爪切り片手に、空いた指で水晶球を差した。


「魔王起きるわ~」

「ずいぶん、のん気におっしゃるのですね。それで、どういう用件で世界を壊すんでしょう」

「役職だからしゃーなしだろ。しばらく仕事放棄したから、民心が離れちまったんだなぁ。
 民心を取り戻すためだって……大国ってのは大変だな」

トキの言葉に、ミチルはため息まじりに言葉を返した。

「……バカバカしい」

「あ、これやっつけだー。すっごいやっつけで壊してるー。あ~、もう早く終わらせたい感じだわ」

社長はデスクに頬をつけながら、水晶をじっと見ていた。
少しだけ悲しそうな目をして、トキは水晶に写る映像から目を離さなかった。

「いいよなぁ、これだから公務員はいいよなぁ。こっちなんか、自営業だぜ?」

「なに憧れているんですか」

「安定してるしさぁ、無条件で部下できんじゃん。いいなぁ、魔王になろっかなぁ」

「魔王って普通になれるものでしょう」

「大統領選みたいなもんじゃないの? マニフェスト掲げてさぁ。でも普通になれねぇよなぁ」

ミチルは頭に軽い痛みを感じ、こめかみを指で押した。
この社長のバカな発想にはついていけない。

「……だいたい、魔王という存在は、勇者に倒されるのが筋なのでは?」

「王道パターンねぇ。なきにしもあらずだけどねぇ。その勇者様は俺のところに来るっぽいけどさぁ」


ミチルがじっと言葉を待つと、トキはにやっと笑って見つめ返した。


「俺の予言でうまくいく気ぃしないっしょ?」

「……しない」

「俺の予言は、そうさなぁ。他の予言者のところに行くように勧めようかなぁ」

「そうすることで、魔王の世界破壊が進む、ということは?」

「ないんじゃね?」

ミチルは再び電話を待つ姿勢に戻った。
今月ももう半ば。
なのに今月は一本も電話が入らず、仕事もない。
先月はかろうじて二本の電話が入ったが……収入はあまりなかった。

それなのに、この社長ときたらこうものん気に水晶を覗いて……。

「う~ん。あ、他の予言者も、別の奴に頼んでる。責任負いたくねーんだな、やっぱ」

「いい加減に――――」


「そう怒るなって。自営業でやっていくの大変なんだぜ。たかが予言者だしよぉ。
 広告とか出さないし、その前に金ないし。
 つーかさぁ、なんでこう世の中って不景気なんだろうな。
 別にさぁ、魔王がどうこうする前に俺らの世界お先真っ暗だよなぁ。
 こんなに自営業ってうまくいかないもん? 
 見ろよ、先月の売り上げ。生活費に当てて終わりだぜ?
 割を食うことはあってもさ、得をすることなんてあまりないだろ。
 もういっそ壊れちまえばいいんだよなぁ」

「……悲しいこと、言わないでください」

「……まぁなぁ。
 
 たかが俺だけどさぁ、誰かの役に立てたらって思ってやってる仕事だしなぁ。
 あっけなく魔王に世界を壊されるのもしゃくだよなぁ。
 たかが一市民で、たかが予言者だけどよぉ。
 夢に見た仕事だしなぁ。も少し頑張ろうかなぁ」

トキは社長イスに背をもたれる。
ぎぃっと背もたれがきしむ音がした。
水晶を眺めながら、トキは無表情で呟く。

「お前にももっと楽させてやりたいんだけどなぁ。
 俺だって思うよ。お前のためにってさ。
 でも現実はうまくいかないんだよなぁ。
 宝くじとか当たってさ、お前に好きなもんとか買ってやりたいよ」

「……惨めになるから、それ以上言わないでください」

ミチルはため息をこぼす。
トキもつられてため息をこぼして、立ち上がった。

「それでもよ、お前がカミサンで良かったよ」

照れた様子もなく、それがあまりにも心からの言葉であったから、ミチルはなにも言えなかった。
事務所兼、家のインターホンが鳴り響く。
トキは袖口をまくり、気合を入れた。

「仕事だ仕事!」
「え?」
「さっき言ってた勇者だよ!」

嬉しそうに笑って、トキは玄関へと向かった。
ミチルは苦笑してお茶を出す用意をする。




END




タイトルがあんな「へんてこりん」なわりに、内容が暗っ。
いや、こんなんなるはずではなかったんです。
ま、いいか♪


お疲れ様でした&ありがとうございました。
スポンサーサイト

*Comment

 

魔王は元々仏教用語ですからね。日本人には馴染みがありますよね。
しかし、どこの神話でも勇者に倒される話はないんですよね。。。実は。
魔王を倒すのは人ということですね。
  • posted by LandM 
  • URL 
  • 2012.11/27 09:00分 
  • [Edit]

Re: LandMさんへ 

コメントありがとうございます^^
古来からの「魔王」という存在も、時代を経て多様性を持ってきましたよね。
昔ながらの職業や存在が様々な要素を取り入れて多様化していくのを見ると、けっこう面白かったりします。

魔王を倒すのは人ですが、やはり選ばれた「人間」という要素が強いのでしょうね。
貴種流離譚の話もそうですが、選ばれた「人間」にこそ人は憧れるのでしょう。
って、コメント返しにしては筋がずれてしまいましたね。

また気軽にお越しください。
ありがとうございました。
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.11/27 18:38分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

カウンター

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ  

FC2Blog Ranking

ワンクリックで応援お願いします!

最新記事

プロフィール

デジャヴ

Author:デジャヴ


二次創作小説・オリジナルファンタジー小説を書いています。訪問して下さった皆様に少しでも楽しんでいただけると幸いです。

恋愛小説サイト『恋砂糖*ひと匙』も運営中


【補足と注意】

・過度な性描写・暴力シーンはありません。

・原作キャラでの同性愛は一切書きません。

・コメント、感想はありがたく頂戴いたします。誹謗中傷やマナーのないコメントは受け付けません。

・当ブログを利用するにあたり、一切の責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。

・小説、イラストともに転載・複写×
著作権は放棄しておりません!

以上の点をご理解いただけますことを心よりお願い申し上げます。まだまだ不慣れですが、温かく見守っていただけると幸いです。

右サイドメニュー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。