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第九回 終わりのはじまり

アタシはなんのために立ち上がって、戦って、今をこうして生きているんだろう。

村の領主であるボルボラの悪政に立ち向かうため
反乱を企ててみたものの、色んなことが裏目に出ていった。

ボルボラの裏には大きな組織がいて、ボルボラを殺したところで、
村を危険な目に遭わせるだけだった。
それを知った故郷の人々の視線は、とても冷たいものだった。

もう二度とノーブルには帰ることが許されない。
ノーブル伯となり故郷の領主になったはいいが、未だに足は向かないままだった。
ノーブル入りする権利を持っているというのに気が向かないのだ。
本当なら貴族という肩書きも、冒険者という身分も捨ててしまいたい。

こんなことになるなんて思わなかった。
こんなはずじゃなかった。

苦しくても、
辛くても、いい。

農民に戻りたい。

温かい人々に囲まれた、あの日に帰りたい。

(帰りたい……戻りたい……)

窓辺に座り、アタシは膝を抱えた。
秋の日差しが眩しかった。


        『 終わりのはじまり 』


時々――――どうしようもない気分になる。
滅入っている。
苛立っている。
泣きそうになる。


誰か、誰か。

誰でもいい。

アタシを殺して。

そんな馬鹿げた感情を持ち始めて、子供みたいだと自分をあざ笑った。
破壊行動に出たくなる。
けれど、やっぱりそれは間違っていることで、アタシはちゃんと分かっている。
もう十八なのだから、理性をもって「我慢」を知らなければならない。
アタシはそれだけ大人になったはずだった。

「ケイト」

レムオンがノックもなしに部屋に入ってきた。
でも、仕方がない。
ここはレムオンの執務室だから。
悪いのはアタシだった。

「なにかあったのか?」

怒りもせず、そんなことを言う。
今日は機嫌が良いみたいだった。

「ティアナに会ってきた? それともエリス王妃に勝った?」
「どうしてそう思う」

アタシは自分の眉間を指先で押し上げた。

「ここ。今日はシワが寄ってないから」

レムオンは、ふむ、とため息のような頷きを返してきた。
それからアタシの隣に座ると、一緒になって外を眺めた。

「貴族の連中は己の保身ばかりを気にする、馬鹿の寄せ集めだからな。
 そういう奴らをまとめるとなると、自然とそんな顔になるんだ」

「アタシに言い訳されても困るんだけど」
「そうだな」

苦笑をもらし、レムオンは目を伏せた。

「ティアナとは、会っていない。エリスとは会議で顔を合わせたな」
「そう」
「今日はずいぶん暗いな」

アタシはなにも言えずに、膝頭にあごを乗せた。
レムオンはただ静かに座っているだけ。
沈黙に耐え切れなくなったのはアタシのほうだった。

「時々、なにもかもが嫌になるんだ」
「…………」

突風に窓がカタカタと音を鳴らした。
外はきっと寒いんだろうな。
そう思っていると、なんだか田舎での生活を思い出した。
それをきっかけに色々なことを思い出してしまい、言葉はあふれていった。

「アタシ、なんのために生まれてきたのって思う。
 身を犠牲にしてボルボラを殺すため?
 レムオンの良い駒になるため?
 竜王を殺して世界を変えるため?
 
 ……アタシは何ひとつ望んでなかった。
 お前が選んだ道だろと言われたら、それまでなんだけどね。
 
 誰かがやらなきゃ、他の誰かが苦しむ。
 それが分かっているのに逃げるのはずるい。
 だから、こうなるようにアタシが選んだ。
 でも本当はこんなこと、したくなかった。

 アタシはもっと楽な生き方をしたかった」


レムオンが逡巡するのを感じた。

「ならば、すべてが終わった後に楽な生き方を選べばいい」
「え……?」
「お前にはなすべきことがある。
 やらなければ、お前はただ殺されるだけの存在だ。
 身を守るためには、やはり苦しい道を行かねばならないだろう」

ケイト、とレムオンはアタシを抱きすくめて言った。
子供をあやすように背中を「とん、とん」と軽く叩いて。

「物事にはすべて終わりがあり、始まりがある。
 そして良いことも、悪いこともある。
 今はたまたま悪いことが起こっているだけだ。
 
 お前が歩む人生の、苦しい時間を凝縮したように。
 
 たくさんの苦しみが立て続けに起こっているだけだろう。
 
 だが、その次には嬉しいことが待っているはずだ。
 たくさんの苦しみを知ったお前なら、どんなに些細なことでも幸せと感じられるだろう」

「――でもアタシ」

「お前が生きているのは当たり前のことで、意味なんてなくていい。常識に意味なんて求めるな」


アタシはレムオンの肩に顔を埋めた。
温かい。
春の匂いがする。
アタシがレムオンの執務室に来たのは、きっとこうされたかったからだ、と今さらわかる。
理屈をつけて説得されたかった。
レムオンの言うことは難しいけれど、でも心が軽くなっていくのがよくわかった。


「ありがとう……」

なにもかもが終わったら、今日のことも笑い話になるんだろうか。
そうだといい。
そうなるように、アタシは頑張らなきゃならなかった。







今回のテーマはちょっと難しかったです。
どういう話にしようか迷って迷って、迷ったあげくこうなりました。

いやぁ、難しかったw


お疲れ様でした&ありがとうございました。
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*Comment

こんばんわ♪ 

こんばんわ♪

レムオン、良い事言うなぁ・・・
ケイトも相当悩んでるハズですもんね。環境の変化が大きすぎて。
ただの農民から、貴族やら冒険者やら竜殺しにまでw
チャカが居てくれないと、前向きになれなかったかもしれませんね・・
今回も素敵なお話でした(´∀`*)

  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/21 18:03分 
  • [Edit]

Re: kaorin114さんへ 

こんばんわ♪
訪問&コメントありがとうございます!

本当に苦労性の主人公ですわw
レムオンもツンデレてる場合ではないのですよ!
たまには良いことを言わないと、ツンデレダルケニス、ってだけで終了しちゃいますからね(笑)
主人公ケイトにとって、誰よりも一番の味方はやっぱりチャカなんじゃないかと思います。
なんて良い弟、良いキャラだ( ´Д⊂ヽ
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/21 21:02分 
  • [Edit]

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