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二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

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レディ・バレンタインと人の道理

クラスにできた人だかりを目の当たりにして、バレンタインは顔をこわばらせた。
野次馬たちの視線の先。
教室内から聞こえてくる喧騒。

よくは聞き取れないが、言い合っていることはわかった。

「私の、せいなのかな、やっぱり」

思い出される、あの言葉。
実技の授業が終わり、教室へと戻る彼らの背中を見つめたまま――立ち尽くした。

『あのバレンタインって奴、俺らのこと舐めてるよな~』
『涼しい顔して弾きやがって』
『そうそう! それにあの子、先生に褒められても笑わないよね。あれって私らに気を遣ってるの?』
『だとしたらすっげームカツク! 見下してんのか? って感じだよな』

傷ついた。死ねる、と思ったほど傷ついた。
だが同時に、そう言われたって仕方ないことをしている。
妙な納得が心に湧き上がった。

自分の奏でる音に、なんの感情も乗せていないから、彼らには何も伝わらないのだ。
真剣に音楽と向き合う彼らを馬鹿にした行為を続けてきたのだ。

ずっと、ずっと。


「私のせいだ……謝らなきゃ。ちゃんと謝らなきゃ」
「なに言ってんの! おかしいよ、バレンタイン!」


ユリの声に、野次馬達がいっせいに気付いて振り返る。
刺さる視線を遮るように、ユリは眼前に立ちバレンタインの両肩を強く掴んだ。


「どんな理由があったとしても、悪いのは陰口を言う奴よ。

 向こうが謝るっていうのが道理でしょう!

 それが人の道理ってもんでしょうよ!」 


ピシャリと言いすくめられ、バレンタインは口をつぐんだ。
確かにそうかもしれない。
でも、と思う。
今の自分には、謝ってもらう価値なんてない。
音楽と向き合わない自分が、

音楽と真剣に、

真摯に、

向き合っている彼らに頭を下げさせるなんて。

そんなこと、絶対にあってはいけないことなんだ。

「あっ、バレンタイン!」

バレンタインが歩く道は自然と出来上がっていた。
掻き分けたわけでもないのに、野次馬たちは道を空けた。
バレンタインは、深呼吸を一つして喧騒の中に飛び込んだ。




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