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第七回 風邪

リューガ家の次男、エストが病に倒れた。
過労と風邪だと診断された。
熱にうなされるエストを看病しつつ、ケイトは剣を磨いていた。

コンコンッ。

「どちらさま~?」
「俺だ」

言って現れたのがレムオンだった。

「くさい。お前、病人の隣でなに磨いているんだ」
「剣」
「見ればわかる」
「じゃあ聞くなよ」

剣を拭いていた布を投げると、そのまま投げ返された。
錆をとった布だけあって、顔面にぶつかると錆び臭さが広がった。
おまけに錆び落としの油の臭いまでして吐きそうだ。

「病人の前で遊ぶほど常識外れではないんでな。じゃれたいならゼネテスの所へ行け」
「行ったら行ったで妬くでしょうに」

ハッとレムオンは笑った。

「可愛くない奴」
「俺に可愛げを求めるな」

ケイトは剣を鞘に納めつつ言った。

「普段弟に構わないくせに、こういう時だけ来るんだな」
「…………」
「じゃあ、看病よろしく」
「どこへ行く?」
「ギルド。用が済んだら戻ってくるから、それまで頼んだよ」

ケイトは部屋を出る瞬間、ふと思い出したように振り返った。

「エスト、気にしてたよ。兄さんは僕のことを邪魔だと思ってるって。こういう時だけでも優しくしてやりなよ」

それだけを言ってケイトは去っていった。
レムオンは顔をしかめて、ケイトが出て行った扉を見つめた。

「ったく。油くさい」

換気しなければ。
病人の前でまったくなにをやっているだ、あの馬鹿妹は。
部屋の窓を開け放つ。
秋の涼しい風が入ってくる、かわりに油くさい淀んだ空気が出て行くようだった。
レムオンの金髪が揺れる。

「……ん、兄さん?」

エストがわずかに目を開けた。
眉間にしわを寄せてなにか言いたげだった。

「なんか、くさい」
「ケイトだ。あの馬鹿が部屋で剣を磨いたんだ。今換気している」
「そうなんだ……ケイトらしいね」

咳き込み、苦しげに身を捩るエスト。
レムオンはメイドを呼び、飲み水を持ってくるように言った。
ベッド脇の棚を見てエストは首を傾げた。

「けほっ、けほっ。水差し、あったのに」
「油の臭いがしみこんだ水をか?」

エストは笑った。

「ありがとう」

「ああ」と返事をしてレムオンはベッド脇のイスに横座りした。
自分達が向かい合って話したのはいつだろう。
今だって、顔を真正面から見られない。
エストの真っ直ぐな視線を受け止められなかったのは、いつからだった?

「兄さん」
「なんだ?」
「力になれなくてごめん……でも僕、兄さんの弟でいたい……」
「男が泣くな、みっともない」
「そうだね。熱のせいかな、どうかしてるよ……」

乾いた笑い声がかすれて痛々しい。
静まり返った空気に居心地が悪くなってくる。
ケイトが早く帰ってくることを願いつつ、黙ってイスに座り続ける。

そんなとき部屋にノックの音が広がった。
メイドが戻ってきた。
新しい水差しから、冷たい水がコップに注がれる。
欲していたかのように良い飲みっぷりを見せるエスト。
レムオンはほっとして立ち上がる。

「おい。エストの看病をしておけ。俺は仕事に戻る」
「兄さん、忙しいのにごめ――――あ、」

メイドは突然レムオンの背中に抱きついた。

「なっ、お前、誰になにをしているのか分かって――」

激昂と共にふり返ると。

「ケイト!? なんて格好してるんだお前は――ギルドに行くと」
「どきどきする?」

上目遣いで、恥ずかしそうに見つめてくるケイト。
その恥ずかしさがこっちにまで伝染してくる。

「ねぇ、どきどきする?」
「……し、知るか!」
「そう。するんだ? じゃあ」

ケイトはスカートをふわりと浮かせると、エストの寝るベッドに肩膝をついた。

「エストお兄様ぁ、看病ごっこしよう?」
「え、えええええ!?」
「どう? レムオンお兄様」

ケイトは顔だけをレムオンに向けると、にやっと笑った。

「けしからん、って顔してるー。どうする? 
 お仕事に戻ったらアタシはエストといかがわしいことしちゃうよ?」
「好きにしろ!!」
「ホントに?」

ぎしり、とベッドがきしむ。

「じゃあ、いただきまぁす」

ちらりとレムオンを見つつ、ケイトはエストの首筋に噛み付いた。

「ケ、ケイト! 痛いって! 兄さん、なに見て――止めてよ!」
「だがしかし」
「痛い痛い痛い、ゲホッ、ゲホッ、痛っ!」

エストの慌てようにレムオンは思わずケイトを引きはがした。
エストの首筋には真っ赤な歯型が残っていた。なんと痛々しい。

「お前はなにをしたいんだ、まったく」
「仕事に戻ったら続けるから」

ケイトの睨む顔にレムオンは言い返せなかった。
部屋を出て行く前の言葉を忘れたのか。そう言いたいのだろう。
だが、どんな話をすればいい。
どうやって向き合えばいい。
長年向き合うことから逃げてきたのに、今さら。

「一緒にいるだけでいいから。行かないで」

真剣な声音に、レムオンは目を逸らした。

「いるだけだからな」
「うん」

ケイトは嬉しそうに頷き、再びエストにまたがった。

「ということで、いただきます」
「おいこら、お前これ以上エストを苦しめるな!」
「焼きもちだ~あははははは!」
「なっ、うわ!」

腕を強く引かれてベッドの上に倒れ込む。
ケイトの好きなようにされて、結局三人でベッドに寝るハメに。
嫌がって起き上がればケイトに髪を引っ張られる。
エストはたまらず笑い出した。
レムオンは疲れたため息をついて、ベッドに座った。
ケイトはレムオンの背中に体を預けて、エストとずっと世間話を続けた。

一緒にいるだけでもいいから。

確かに、そうかもしれない。
一緒に、いるだけでもいいのかもしれない。

レムオンの口元に笑みが浮かんだ。




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*Comment

こんばんわ♪ 

こんばんわ♪
エストとレムオンってクーデター以降どうなったんでしょうね?
レムオン的には「ケイトさえ居ればいいや」って言う心境なんでしょうけどw
レムオンの生い立ちからして、エストには羨望の気持ちがあったのかもしれませんね・・
彼が家族に心を開いたシーンを、上手く表現されていて素敵です(´∀`*)
  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/19 20:50分 
  • [Edit]

Re: kaorin114さんへ 

こんばんは!
コメントありがとうございます><

> エストとレムオンってクーデター以降どうなったんでしょうね?
> レムオン的には「ケイトさえ居ればいいや」って言う心境なんでしょうけどw
エストがリューガ家を継いで、裏の仕事をレムオンがやるんじゃないかなぁと。
エンディングでも、主人公とレムオンが悪代官(?)を追い詰めていたので。
エストの力になるんじゃないかと思いますw
そして、主人公と結婚してしたり顔のレムオン兄さんへと(オイ)

> 彼が家族に心を開いたシーンを、上手く表現されていて素敵です(´∀`*)
よかったです><
これからも頑張ります!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/19 22:55分 
  • [Edit]

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