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愛染

神:十六夜 伏丸 (いざよい ふせまる)

主人公:相模 染乃(そめの)


『愛染 あいぞめ』


相模家に仕えるイツ花は、世話係でもあり巫女でもあった。


「お呼びでしょうか、春様」
「ああ、うん」


2代目当主春(襲名前:笹丸)は、読みかけの指南書を閉じた。
中性的な顔を持つ笹丸は、母である初代春の美しさを受け継いでいた。
短命の呪いゆえ容姿は衰えることがなく、いつまでも変らぬ美しさがあった。
しかし、この美丈夫は二児の父である。


「染乃の交神の儀を行おうと思うんだ」
「まあ。染乃様にはお話になられましたか?」

「いや、言ってない。だから、イツ花に頼もうと思ってね。
 この家に女はイツ花と染乃しかいないだろう。
 宗太郎に言ったって、あの子も妹に話しにくいだろうしね」

「かしこまりました。バーントォ! イツ花にお任せくださいまし!」
「頼んだよ」


笹丸は微笑み、ふとイツ花の背中の向こうに目をやった。
障子戸に隠れる小さな影。
宗太郎の子、謙太であった。


「謙太、どうした?」
「じじ様!」


トタトタと可愛らしい足音を立てて駆け寄ってくる孫。
老体になった覚えはなく、いつになってもこの呼び方は慣れない笹丸であった。
謙太を膝に乗せたところで、イツ花は姿勢を正した。


「それでは今月行うということで、よろしいですね」
「ああ。染乃のことはイツ花に頼んで、私は謙太の教育をしているよ。
 我ら一族の未来を担うのだ。強くなってもらわねばな」


イツ花は深々と頭を下げ、当主の部屋から退室した。
渡り廊下を進み、染乃の部屋へと向かう。
イツ花の呼び声に、透き通った美声が返ってきた。
それも後ろから。


「どうした、イツ花」
「あ、染乃様。お部屋にいらっしゃらなかったのですね」
「今日はいい天気だから、素振りをしていた」


きりりとした眉に、涼やかな目元。
幼い頃より初代春に教育されただけあって、口調もよく似ている。
だから、だろうか。
イツ花は目頭が急に熱くなる思いがした。


「イツ花?」
「いえ、なんでもありません! それより、お話がございます」
「話? まぁ、いい。とりあえず部屋に入って」


染乃は障子戸を開け放ち、イツ花を招いた。


「話というのは、あれか。交神の儀のことか?」
「さようでございます。当主より、今月に行うように、と」
「そうか……」


染乃は肘掛に頬杖をつき、短く息をついた。
イツ花は思わず口元をほころばせた。
この家の者は、「交神の儀」の話を切り出すとみな同じ態度を取る。


「そうか……そう、か」
「ご安心くださいませ。天界の神はみなさん優しい方ばかりです。それに、美男美女揃いですから」
「……色恋に免疫がないんだ、私は」
「イツ花が付いておりますから」


染乃は、表情を曇らせたまま頷いた。

交神の儀当日――。
イツ花と当主はあらかじめ夫となる神を決めておいた。
染乃がそれを望んだからだった。

交神の儀の間へ進む染乃。
表情は硬く、緊張しているようだった。
イツ花は巫女の姿になり、神を呼び出す準備に取り掛かる。


「十六夜 伏丸様をお呼びいたします」
「あ、ああ」


鈴の音が響き、空間が揺れ、神聖な領域と化す。
温かく柔らかな光りに包まれて現れた神。

狼男のような容姿を持つ――――十六夜 伏丸はイツ花が退室するのを見ると、静かに染乃を見下ろした。
一方の染乃は怯えたような表情で、伏丸を見上げていた。

「う、あ……」

固まって言葉が出てこない染乃。
染乃の初々しさに、伏丸はふっと笑った。


「血がたぎりそうだ……」
「っ!!!!」


染乃は部屋の扉へと走り出し、扉を叩いた。


「イツ花!! イツ花、開けて! 喰われてしまう!!」
「大丈夫ですよぉ、染乃様。神様はそんなことなさいませんよぉ」
「イツ花ぁ! 父様、兄様! 謙太でもいいから、私を助けて!!」


染乃の必死な形相と叫びに、伏丸は狼狽した。


「そんなつもりは――」
「いやあ! 喰われる!」


手を伸ばせば振り払われ、伏丸は耳と尻尾を垂れた。
見た目で怯えられるとは、神でありながらもさすがに傷つく。
項垂れる伏丸。
気付いた染乃は、怯えながらも伏丸を見つめた。


「喰うのか?」
「喰わぬ」
「狼だとは聞いてない」
「だが神だ」


どすんと腰を下ろした伏丸に、染乃はおずおずと近づく。
獣の匂いがしないから、獣とは違う。
だが、夫となる神がこれか。


「顔に出ているぞ」
「……神はみなそのような姿なのか」
「河童もおれば、天狗もいる。猿もおれば、大福のようなものもいる」
「そ、そうか」
「俺が怖いか、染乃」


低く響く声音に、染乃は顔を染めた。


「そうではなさそうだな」
「いちいち心を読むのが神なのか」
「お主が分かりやすいだけだろう」


大きな手を差し出され、おっかなびっくり触れてみる。
引き寄せるようなこともせず、伏丸は染乃のしたいようにさせた。
緊張と警戒を解いたのか、やがて染乃はゆっくりと伏丸の指先を握った。


「まずはお互いを知るべきだ。それから、その、儀をするべきだ」
「そうだな。お主にはそれがよかろう」


膝を落とし、染乃と伏丸は向かい合って座った。


「ご無礼をお許しください、伏丸様。
 私は相模 染乃。二代目当主の娘にございます」




ありがとうございました&お疲れ様でした
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