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レディ・バレンタインと王子様

ヴァイオリンの練習は嫌いだった。
上手に弾けるってだけで、心を込めた演奏はできなかった。
それを見抜く先生もいれば――――「みんなもバレンタインを見習うように」とおかしなことを言う先生もいる。

誰かが作った曲をなぞること自体が嫌いだった。
それは「音楽」を馬鹿にすることと同義かもしれない。
だから、学校は息が詰まる。

午後に実技の授業がある日は、特にダメだった。

実技の授業が終わり、ホームルームが終わった瞬間――バレンタインは図書館に駆け込んだ。
中庭が見える、いつものところに行って念じた。

“ 海の写真集! 海の、蒼い海の!! 何でも良いから早く!!”

切羽詰ったように、バレンタインは魔法を使った。
風に煽られてバサバサと紙が荒ぶる音。
手元に舞い降りたのは、たったの一冊だけ。

分かってはいたけれど、あんまりだ。

落胆したまま、バレンタインは海の写真集を見ることもせず、胸に抱えた。
震える体を落ち着けるように、しゃがみ込んで深呼吸した。

資料を集めて、

『あのバレンタインって奴、俺らのこと舐めてるよな~』


読んで、


『涼しい顔して弾きやがって』


頭が回らなくなるほど思考して、


『そうそう! それにあの子、先生に褒められても笑わないよね。
 あれって私らに気を遣ってるの?』


小説を書かなければ。


『だとしたらすっげームカツク! 見下してんのか? って感じだよな』


呼吸をしなければ。
ちゃんと、落ち着いて。
泣くなんて見っとも無いことだから。

(私は大丈夫。私には小説だけだから、傷つく必要なんて……ない!)

「大丈夫か?」

声は突然、頭上から降ってきた。
誰だろう。素敵な男性だった。
大人びているけれど、同じ学校の制服を着ていたからここの生徒だ。

「泣いてるの? どうした、本当に」

栗色の髪をした男子生徒が、バレンタインの隣にしゃがんで顔を覗き込んできた。
優しい。なんて優しいのだろう。
こんな場所で、こんな世界で、こんな自分に優しくしてくれるとしたら。
やっぱりそれは王子様っていう存在なのかもしれない。




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*Comment

 

音楽の技量はあるんでしょうね。
しかも相当に。
気持ち・・・気持ちねえ。
私も15年ぐらいピアノやっていましたけど、
意外に気持ちは伝わらないものですよ。
まあ、要するに人と同じです。

結構練習は作業的ですし、自分なりにアレンジするのも結構作業になりがちですからね。
その工程の結果が気持ちというのであれば気持ちなんでしょうけど。
  • posted by LandM 
  • URL 
  • 2013.02/02 19:45分 
  • [Edit]

Re: LandMさんへ 

こんばんは、訪問ありがとうございます。
そしてコメントもいつもありがとうございます^^

バレンタインは立場上、首席クラスのような存在です。
本人は無自覚ですが(笑)
私もピアノを習っていました、十年程…だった気がします。
そのときの気の持ち様で音が変る、ということはある気がしますね。
先生には「音」の響きをよく指摘され、どう違うのか分からなくて戸惑ったこともしばしば…(苦笑)
気持ち、というのはプロにしか分からない表現、解釈なのかもしれません。

またお待ちしております^^
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.02/02 21:22分 
  • [Edit]

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