FC2ブログ

すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第六回 兄妹喧嘩

レムオンが言った。
ティアナが好きだと。ずっと思い続けてきた、と。

聞いたとき、傷つきはしなかった。
その瞬間に湧き上がった感情は、やっぱり、という気持ちと――自分は、誰かを好きになったことがあるだろうか、という疑問だった。

初めて「恋」っていうものを見た気がした。

それからだった。

アタシは、時々思い出したように発作を起こす。
レムオンに、怒られてしまいたいと思ってしまう発作。


*   *   *   *   *   *   *

「おかえりなさいませ、ケイト様」

昼に差し掛かった頃。
二ヶ月ぶりにリューガ家に帰ってきたが、いつも通りだった。
セバスチャンに出迎えられて、アタシはしばらくロストールを拠点にすることを話した。
食事を適当に済まして、湯で体を洗った。
レムオンの政務が、今日は午前中で終わるのだと聞いた。
体を拭いてもらいながら、アタシは天井を仰いだ。

突然、あの発作が起こる。

切ないような、苦しいような。
どうしようもないくらい悲しい気持ちになった。

泣ける、と思ったけど、本当に泣けるわけがなかった。
それができるほどアタシはデリケートな人間じゃない。


「ねぇ」
「はい」
「今日は少しだけ、オシャレしてみたい」
「え?」
「お願いできる?」
「か、かしこまりました」


メイドは驚いたようだった。
普段のアタシは男勝りで、大雑把で、オシャレなんて気にしないから。

でも、今日はダメだった。
情緒不安定なのかもしれない。
傷つきたかった。

レムオンに「似合ってない」って言われて、怒って、喧嘩して、傷つきたかった。

(どうしちゃったの、アタシ……)

髪をとかされるたびに、アタシの頭は揺れた。
丁寧に扱っていない髪はパサついて、干からびた雑草みたいだった。


「ケイトお嬢さま、提案があるのですが」
「うん?」
「髪を巻いてみてはいかがですか。
 髪が痛んでいるようなので、巻いて誤魔化しましょう」
「ん~任せる」
「はい! お任せください!」

こういう時、女の子って生き物はどうしてこうも顔を輝かせるのだろう。


*   *   *   *   *   *   *

白い、フワフワのワンピースを着てみた。
レムオンの部屋の扉をノックする。
アタシが用意している間に帰ってきたことは知っている。
髪に飾った白いリボンが、頬を擦ってかゆかったけれど、掻かずに我慢した。

「誰だ?」
「アタシ」
「ああ。帰っていたのか、入れ」

ゆっくり深呼吸して、部屋に入る。
レムオンが机で仕事をしているのは初めて見た。
書類と睨めっこをしていたレムオンは、目だけを上げてすこし固まって、それから顔を上げた。
笑った、みたいだった。

「どうしたんだ」

待ち望んでいた反応だった。
火に油を注がれたように、アタシのなかで、何かが燃え上がった。
怒り?
悲しみ?

分からないけれど、無性に暴れ出したくなる。
八つ当たり、って言うのかもしれない。

「変?」
「似合ってるんじゃないか」

お世辞、だろうか。
真意が読み取れないまま、レムオンは書面に目を落とし、仕事を再開した。
それを、ソファに座って眺める。
しばらくしても、仕事を切り上げてくれる様子もなかった。
悔しいなぁ、なんて漠然と思ったら、口が滑っていた。

「バーカ」

レムオンは一瞬顔をしかめたが、また仕事を続けた。
相手にされてないのが分かったら、余計に腹立たしかった。
クッションを手にしたら、すかさずレムオンが顔を上げた。

「公式文書だ。これがどういう意味か分かるな?」

アタシの八つ当たりは不発に終わった。
どうにかして、アタシはレムオンに噛み付きたかった。

ソファに横になって、しばらく考える。
なんでこんな気分になっているんだろう。
――――なんて、真面目くさって考えたって答えがでない。

今は、ただひたすら怒られて、傷つきたかった。
そしたら素直に怒れるのに。
なにか、してやりたい。
怒らせるようなこと。


「よし、終わったぞ。用件はなんだ?」


レムオンは書類を片して、背もたれに寄り掛かった。
じっと見つめて、なにかしてやろうと画策するアタシ。

レムオンは、ティアナが好き。

報われないのに馬鹿みたいに、愛していた。

アタシは何かにとり付かれたみたいに、立ち上がってレムオンの隣に立った。

見下ろして、もう一度「バーカ」って言ってみる。
レムオンは顔をしかめるだけだった。

(どうして怒らないの)

アタシは怒りをぶつけるように、レムオンの唇を奪った。

(これなら、怒るでしょう?)

顔を離す。



「怒った?」
「いや、別に。驚いた、が。平気だ」
「なんで怒らないのよ」
「お前はさっきから……なにをムキになっているんだ?」
「だって、ティアナのこと好きだって、アタシ知ってるんだよ!? 怒るでしょう、普通!!」
「怒られるはずのお前が、なぜ逆切れしているんだ?」
「それだからバカだって言ってんのよ!!」
「俺には何がなんだか分からないのだが」



疲れたようにレムオンは言い捨てて、急に立ち上がった。
立ち上がられると、もう見下ろせない。
アタシの気持ちは急に小さくなって、後ずさる。
だけど、レムオンはアタシを壁際に追い詰めた。

「怒られたいなら、たっぷり叱ってやるがな」
「う……」
「なにを泣くことがあるんだ。まったく……」

よしよし、とレムオンはアタシの頭を撫でる。
撫でられたら、もうダメだった。
抱きしめられたくて、体温を感じたくて。
アタシからレムオンの腕の中に飛び込んだ。

こんな気持ち、気付きたくなかった。
いやだ。
喧嘩をして、叱られて、今まで通りの関係でいたかった。

加速する後悔。
この人を好きになんて、なりたくなかった。




スポンサーサイト

*Comment

こんばんわ♪ 

こんばんわ♪

レムオンのあの告白は爆笑しちゃった自分です(ノ´∀`*)
「俺はティアナが好きだった!」って家の前で叫んでいいのかってw

ケイトが自分の気持ちに気付く瞬間ですね。
これからはもっと親密な関係に展開して行けばいいな・・と思います。

  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/17 20:34分 
  • [Edit]

Re: kaorin114 さんへ 

こんばんわ♪

> レムオンのあの告白は爆笑しちゃった自分です(ノ´∀`*)
> 「俺はティアナが好きだった!」って家の前で叫んでいいのかってw
同じく笑いましたw
え、主人公言っちゃったの!? って思いましたね。
しかもレムオン、半切れで打ち明けてくれるという!
可愛いぞこのやろう><

> ケイトが自分の気持ちに気付く瞬間ですね。
> これからはもっと親密な関係に展開して行けばいいな・・と思います。
ケイトもケイトで不器用な性格なので、横道に逸れつつ仲が深まりそうな予感(笑)

コメント&訪問ありがとうございました!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/17 22:09分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

カウンター

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ  

FC2Blog Ranking

ワンクリックで応援お願いします!

最新記事

プロフィール

デジャヴ

Author:デジャヴ


二次創作小説・オリジナルファンタジー小説を書いています。訪問して下さった皆様に少しでも楽しんでいただけると幸いです。

恋愛小説サイト『恋砂糖*ひと匙』も運営中


【補足と注意】

・過度な性描写・暴力シーンはありません。

・原作キャラでの同性愛は一切書きません。

・コメント、感想はありがたく頂戴いたします。誹謗中傷やマナーのないコメントは受け付けません。

・当ブログを利用するにあたり、一切の責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。

・小説、イラストともに転載・複写×
著作権は放棄しておりません!

以上の点をご理解いただけますことを心よりお願い申し上げます。まだまだ不慣れですが、温かく見守っていただけると幸いです。

右サイドメニュー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。