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レディ・バレンタインとタクト

魔女、こと予言者の話を聞いて数日。
サラは今日も一人でヴァイオリンと向き合っていた。
練習に身が入らないのはいつものことだったが、今日はすこし違った。

予言者の言葉が頭から離れない。
――――楽器が、潮風で傷む。

(私……やってみようかな……イルカたちも助かるし……)

サラはヴァイオリンを目の前に掲げた。
一石二鳥じゃないか。





バレンタインはあれ以来、図書館で小説を書くことをやめた。
見られる恐怖、ありもしない視線を気にすることはなくなった。
噂を気にして図書館には寄り付かなくなった。

「よっと」

自室のベッドに放り投げっぱなしだった鞄を、魔法を使って引き寄せる。
鞄から授業用のノートを取り出すなり、最後のページだけを破った。

結局、授業用のノートに書くことを止められなかった。
染み付いてしまった習慣はどうやったって変えられないのだ。


唐突に、

コンコン

部屋の戸を叩かれた。


「なに?」
「お姉ちゃんだけど」

部屋の戸を開けると、キレイに化粧をした姉、シェロームが立っていた。
セミロングの金髪をゆるく巻いて、耳にはプラチナのイヤリングが輝いていた。
姉のシェロームは、背が低い。
バレンタインの方が高くて、すこしだけ目線を下げた。

「やあ、一ヶ月ぶりだね」

他人行儀にシェロームは言った。
バレンタインは頷いた。


「おかえり。全国公演終わったんだ」
「うん。さっき帰ってきた。玄関で出迎えてくれないなんて、冷たい妹だなぁ」
「晩御飯の前に帰って来ないから、今日はホテル泊まりかと思ったのよ」


シェロームは後ろ手で隠していた小包を差し出した。
美しく包装された長方形の箱。


「お土産~」
「ありがとう」
「う~、あんまり嬉しそうじゃない」
「お姉ちゃんのお土産って毎回お土産らしくないんだもの」
「今回はヴァイオリンの教本でも、弦でも、ケースでも、メトロノームでもないのです!!」
「メトロノームはまだ貰ってないけど……」


開けて開けて、と急かすシェローム。
仕方ないから開けてみた。
真紅のクッションに挟まれていたものは――。


「これ……」
「タクト(指揮棒)よ。大学に進学したとき、どっちのコースを選んでも良いように」
「…………なんで」
「なんでって……。今から考えておかなきゃ! 三年生になってから進路決めても遅いのよ」


そうだけど。そうだけどさ!
タクトを手に取ることもせず、バレンタインは蓋をした。


「ありがとう。後で手にとってみるよ」
「そう?」


シェローム!

階下から母の呼ぶ声が響いた。
シェロームは階段を降りていった。


バレンタインは固まったまま、手の中の箱を見下ろした。
自分の手には、タクトとヴァイオリンしかない。
このどちらかしか持ってはいけないのだ。

ペンと紙なんて用意されていない。
そんなもの、初めから選択肢として用意されていないのだと、今さらながら分かった。




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前へ ≪ブログトップへ戻る≫  第8話 レディ・バレンタインと中庭の彼
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*Comment

 

いかに家族から愛された存在かが分かる描写ですね。
家族にとっては最高の愛情表現なんでしょうけど、
本人とってはそれでもないのがミスリードで不幸なことなんでしょうね。
  • posted by LandM 
  • URL 
  • 2013.01/20 21:04分 
  • [Edit]

Re: LandMさんへ 

こんばんは!
訪問&コメントありがとうございます。

> いかに家族から愛された存在かが分かる描写ですね。
> 家族にとっては最高の愛情表現なんでしょうけど、
> 本人とってはそれでもないのがミスリードで不幸なことなんでしょうね。

人からの優しさや愛情表現は、時に本人を追い詰めることにもなるんですよね。
ただ、同時にいかに愛されているかを痛感するんです。それを分かっているからこそ、バレンタインは今後、自分の将来を見つめようと頑張るんです。
ぜひ、お暇なときにでも続きを読んでみてください!
改めてコメントありがとうございました。
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.01/20 21:21分 
  • [Edit]

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