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自分の幸せは自分で見つける 【ケイト&ネメア】

戦乱後、ネメアとケイトはバイアシオン大陸を後にし、二人で旅を続けていた。

ギルドの依頼をこなしつつ、旅を続けて約二ヶ月……
廃城に住み着いたモンスターを討伐し終えた二人は、町へと戻る山道で野宿をしていた。

小さな焚き火のそばに座るネメア、焚き火を挟んで反対側に寝転ぶケイト。
それぞれが過去と未来に思いを馳せていた。

ケイトは星空を眺めるのをやめると、まどろみ始めたまぶたを閉じた。
衣をたぐり寄せ外気の寒さにちいさく震える。

もうあとひと月で冬が来る。

目の裏に浮かんだのは、風にそよぐ黄金色の畑。

「ノーブルと父さんの畑と、そして姉ちゃんが帰って来る場所を守ってる」

弟のチャカは父の遺した畑を守るためにノーブルに残った。
いつも袖口を掴んで引っ付いてきた弟と、まさかレジスタンスの一員として肩を並べて戦う日が来るとは思わなかった。怖がりなところは変わりないが、たくましく育っていた。
こう離れてみると寂しいもので、弟を支えているつもりでいたが、支えられていたのかもしれないと思う。
馬鹿みたいに「姉ちゃんなら大丈夫だよな!」と言う、あの声が懐かしい。
チャカが一人で暮らしている姿を思うと胸がきしむ。

(一人にして良かったんだろうか……嫁さんもらうまで待ったほうが良かったのかもしれない……嫁さん……)

「ふっ」と思わず吹き出してしまった。

「どうした」

ネメアの物静かな声に、「ああ」とケイトは返した。

「チャカが嫁さんをもらうと思うと、ちょっとな。あいつ、きっと尻に敷かれるタイプだ」

ククッと声をひそめて笑うケイト。
金髪の偉丈夫は険しい顔をいくぶん穏やかにして微笑んだ。

「チャカ……。お前の弟の。あの青年か。彼は芯がしっかりしている。家族を守る立派な父親になるだろうな」
「父親って……気が早いぞ、ネメア」
「もうそんな歳だろう」
「そんな歳だと言うなら、アタシはとっくに行き遅れてることになるが。つまり喧嘩を売ってんのか?」
「とんでもない。お前に喧嘩を売る度胸なんてないさ」
「よく言う。獅子帝の名が泣くぞ」

いつものように軽口を叩き合って、ちいさく笑いあった。
ネメアはぽつりと言葉をこぼした。

「本当に私と共に歩んで良かったのか」

そこに後悔はないのか。
女としての人並みの幸せがあったのではないかと、問う。

ケイトは焚き火の向こうに座る男を見た。

「一人の男と恋をし、妻となり、やがては母となって生きていきたいとは思わなかったのか」
「はっ。なにを言い出すかと思えば」
「お前も年頃の女だ。そういうことを考えもするだろう」
「よく言うよ。アタシを女だと意識したことがあったかよ」

いくぶん強い調子で言い放つと、ケイトは乱暴に寝返りをうった。
拒絶を示す背中に、ネメアは黙った。

「……だいたい、そう思うんなら旅になんか誘うな」
「確かに、そうだな」
「もう寝る」

静まり返る夜の森。
見張りを交代しながら睡眠を取る。
ケイトは二度目の見張りのなか、弱々しくなってしまった火種に慌てて薪を放りこんだ。
白んできた空の下、ぶるりと身を震わせながら焚き火に手をかざした。
旅衣を頭までかぶって、穏やかな表情で眠るネメア。
やれ英雄、やれ獅子帝と謳われた勇猛な男が「寒さに弱い」と思うと皮肉った笑みがこぼれてしまう。

くあ~と間の抜けた声であくびをして、ケイトはぼーっとネメアを見つめた。

(一人の女としての生……か)

「アタシは……」

ぱちんっと薪が音を立てた。

「自分が怖い……」

かざした手の奥で、揺れるともし火の“赤”が目に痛い。

「みんなの幸せのために動いてきたのに、結局アタシは、誰かを幸せにすることなんかできなかった。あまつさえ竜王もティラをも手にかけた。竜殺しと称されたアタシに、誰が一緒に歩んでくれるというの」

ネメアの質問は愚問だったのだ。
とっくにそんな未来は諦めきっている。
チャカはこの手を、人を幸せにする手だって言ってくれた。

「アタシを怖がる奴だってたくさんいる」

ケイトの脳裏に蘇る――――家の片隅で怯えたように頭を抱える男の姿。
「ボルボラは確かに怖い。だがそれ以上にお前が怖い」と叫んだアイツの姿が。

「だから、アンタに付いていくことに決めたんだ。アタシに止めを刺して――」
「それ以上はいらない」
「っ!? お、起きていたなら寝たふりなんてするな! まぎらわしい!!」
「声を上げるな。モンスターが警戒する」

くっと口を閉じ、恨みがましい目でネメアを睨む。

「お前が我を失ってもこっちへ引き戻すさ。お前が私にしてくれたように」
「なっ。あ、あれは、ケリュネイアが気の毒だったからで……! 仕方なくというか、ついでだ、ついで! 他意はない」
「そうか」
「笑うな、張っ倒すぞ」
「すまない」

あの質問をしたことへの謝意なのか、笑ったことへの謝意なのか。あるいは両方か。
とにかくネメアは昔と変らず、低く響くような声でそう言ったのだった。
これ以上、責めることもできずにケイトは肩をすくめた。

「アンタがアタシのことでいちいち気を揉むことなんてないんだ。自分の幸せは自分で見つける。チャカだってそう思ったからアタシを送り出してくれたんだ。生意気に聞こえるかもしれないけど、アタシたちはそれだけの歳にはなったんだ。もう子供じゃいられないんだ……」

気持ちを切り替えるように、ケイトは「う~ん」と伸びをした。

「とりあえず今は、寒いという点を抜けば満足している」
「そうか……、それなら良いんだ……」

うとうととしてきたのか、ネメアの声がだんだん小さくなっていく。
獅子帝と呼ばれたこいつでも、やっぱり睡魔には勝てないのかと思わず笑ってしまう。

「私も幸せだ……」

わずかばかりの沈黙の後。

「おい待て、まだ寝るな。も、ってなんだ。勘違いするな! おい起きろ、ネメア!」


ネメアは口元にわずかに笑みをたたえたまま安らかに眠っていた。

二人の旅は北へと続く。



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*Comment

おはようございます! 

おはようございます!

ネメア様も素敵だな~(=´ω`=)
レムオン様で癒されて、まさか獅子帝の旦那にまで癒されるとは・・

英雄2人の旅路って、どこまで続くんでしょうね・・
PS3版のジルオールはこの続きをやって欲しかったなぁ・・
ネメア編もありがたく拝見させて頂きます(´∀`*)
  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2013.01/08 06:30分 
  • [Edit]

Re:kaorin114 さんへ 

こんばんは!

> ネメア様も素敵だな~(=´ω`=)
> レムオン様で癒されて、まさか獅子帝の旦那にまで癒されるとは・・
ありがとうございます!
ブログ開設したての頃はなにをどう手をつければ良いのかわからず
「とりあえず、ネメアでも書こう」という勢いで書きましたw
レムオンを最初に書こうと思っていたんですが、ぐっと堪えましたw

> 英雄2人の旅路って、どこまで続くんでしょうね・・
> PS3版のジルオールはこの続きをやって欲しかったなぁ・・
PS3版って、ネメアたち若いですよねぇ。
グラフィック見たとき、「これ誰だよおい」って思いましたw
ケリュネイアなんて別人になってましたww

> ネメア編もありがたく拝見させて頂きます(´∀`*)
ありがとうございます><
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.01/08 21:41分 
  • [Edit]

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