FC2ブログ

すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Entries

第五回 贈り物

執筆中作業用BGM: HALCALI 『Re:やさしい気持ち』



レムオンとエストは、ケイトに呼び出され、夜の酒場に訪れていた。
なんでもリューガ家の中では話せないことがあるらしい。

久しぶりにレムオンとエストは顔を合わせ、兄弟にも関わらずぎこちない挨拶を交わした。
なんともいえない沈黙に耐えつつ二人で酒場を目指す。


「やあ!」

ケイトは手を上げて出迎えた。
レムオンは席には着かず、さっさと話せと急かした。

「セバスチャンに日ごろの感謝の気持ちをこめて、なにかプレゼントをあげようと思うんだ」
「はあ?」
「どうしたの、急にそんなことを言い出すなんて」

乗り気でない二人に、ケイトは表情を曇らせた。
主従のあり方をレムオンに説かれる。
雇い主であるレムオンやエストが、使用人であるセバスチャンに褒美をあげることは変だ、と。

でも、とケイトは頭を振った。

「セバスチャンは、家族だ」

エストは神妙に頷いた。
一方のレムオンは、脇を通っていく冒険者たちをいちいち煙たそうに一瞥していた。

「少なくとも、リューガ家と全然関係ないアタシを、
 笑顔で迎え入れてくれる唯一の人だと思ってる。
 アタシを、心配してくれる。そういう人を、使用人だからって粗末にはできない」

「それならば、お前は他の使用人にも褒美を与えてやらねばならないだろう。
 帰ってきたお前に食事を作る者、風呂を沸かしてくれる者。
 そういう者たちにも平等に接しなければならないだろう。
 セバスチャンだけを特別に扱ってみろ。他の使用人たちの妬みが、セバスチャンに向けられる。
 お前はそれで良いのか?」

ケイトは言いよどむ。

「それは……確かにそうだね……」
「そう落ち込まないでよ、ケイト。セバスチャンはケイトの気持ちだけで嬉しいと思うよ」
「…………うん」

それでも納得できない。
平等性を欠くとしても、セバスチャンに恩返しをしたい。
リューガ家の人間じゃないのに優しく接してくれた。
ケイト、として見てくれて、身を案じてくれた人だから。

「帰るぞ」と一言残し、レムオンはさっさと酒場から出て行った。
エストはケイトの手を繋ぎ、レムオンの後に続いた。

*   *   *   *   *   *   *   *   *

翌朝のこと。

ケイトは、貴族社会で知っておかなければならない作法やマナーを、セバスチャンに教わっていた。
もちろんドレス着用で、歩き方など一から叩き込まれる。

勉強が一段落したところで、ケイトとセバスチャンは休憩を入れた。
ケイトは、セバスチャンに座るように言った。

「セバスチャン」
「なんでしょう、ケイト様」
「ごめんね」

おもむろに、しかし唐突にケイトは言った。
セバスチャンには何のことだか分からず、ただ首をかしげるだけだった。

「いつも、感謝してるんだ。忙しいのに、アタシの面倒みてくれて」
「リューガ家に仕える者として――」
「うん、分かってる。でも、アタシはセバスチャンに恩返ししたかった。
 なにかあげられたら良いんだけれど、レムオンにダメだって言われたんだ。
 主が使用人たちに対して平等性を欠いたらいけないんだって」

セバスチャンは困ったような、呆れたような微笑を浮かべた。
レムオンの言うことは正しい。だからこそ、慕われているのだ。
だが、ケイトは不服だった。
正しいから、気に入らないんだ。

「アタシは、セバスチャンになにかしてあげたい。
 あなたじゃなく、別の人だったらきっとこんな風に思わないと思うんだ。
 
 セバスチャンの人となりが良いから、アタシはセバスチャンになにかしてあげたいって思える。
 
 これって可笑しなことなんだろうか。いけないことなんだろうか……。
 仮にも主であるアタシ個人の感情は、どうすればいいんだろうか」

ケイトは光射す外を眺めた。
思案するような顔は、真剣で、思い詰めているようだった。

セバスチャンは短く息をついた。

「ケイト様」
「うん?」
「ケイト様のお気持ちだけで充分です」
「うん。分かってる。アタシにはこう言うしかなかったんだ。だから歯がゆい」
「いいえ、そうではないのです」

セバスチャンはいつもと変らない、優しい表情で続けた。

「ありがとう。その一言だけで、我々はそれだけで充分なのです。
 私の仕事を見ていてくださる。認めてくださった。
 自分がしてきたことは決して無駄ではなく、ちゃんと認めていただけた。
 そう思えるのです。ケイト様たちにとっては、取るに足らない平凡な言葉であったとしても」

ケイトは、セバスチャンの言葉を咀嚼するように思考した。

「うん。そうかもしれない」
「顔には出さないようにしておりますが、これでも結構にやけるのを我慢しているのですよ」

ふふっとケイトは吹き出した。
セバスチャンがおどけてみせるのは珍しい。
気を遣わせてしまっただろうか。

「平等を気にしてくださるなら、他の者たちにも声をかけてやってください。きっと心から喜ぶでしょう」
「そうだろうか。アタシ、全然屋敷にいないから、ありがたみがないんじゃない?」
「そんなことはございません。ここだけの話、レムオン様よりずっと身近に感じるはずです」
「冒険者だから?」
「人となり、でしょうね」

これには声を出して笑った。

「ケイト様は、誰よりもお優しい。スラムの少女の頼みを聞いたのだとか。
 それを知った使用人たちはケイト様のことを、心より信頼しておりますよ」
「そうか。良い事聞いた」

ケイトは立ち上がると、セバスチャンの手を取った。

「じゃあ、一番お世話になってるセバスチャンに、一番に贈るよ」

握る手に、ぎゅっと力を込めた。

「いつもありがとう」
「ケイト様……」

セバスチャンは照れくさそうに笑った。





ありがとうございました&お疲れ様でした
  クリックしてくださると励みになります!!

ブログトップへ戻る
スポンサーサイト



*Comment

おはようございます♪ 

おはようございます♪
リューガ家にはエストやセバスチャンみたいに
ケイトの話を聞いてくれる人がいてほんと、良い家族だなと思います♪
レムオンも根は良い人ですし(たぶんw
チャカの存在がかすみそうで心配ですが
チャカもリューガ家の皆さんに負けないくらい良い弟だっ!(主に自由に成長させられる所とかw
  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/17 06:54分 
  • [Edit]

Re: kaorin114 さんへ 

こんばんは!

チャカとリューガ家が関わる話もあったら良かったんですけどね。
大事なお姉ちゃんが貴族にされたのに、
序盤で「姉ちゃんは俺の姉ちゃんだよな?」て聞いて納得してそれ以来、
まったくリューガ家の話と関わらなくなるんですよね(笑)
チャカのイベントは後はヴァンとのギャグネタしかないというw
少しは姉ちゃんのこと気にしろ!!て笑ってしまいましたw

セバスチャン良い人過ぎる(´Д⊂ヽ
ゲームをプレイしていて、どうにもセバスチャンには癒されてしまうデジャヴです。

また読みにいらしてください♪
訪問&コメントありがとうございました><
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/17 20:02分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

カウンター

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ  

FC2Blog Ranking

ワンクリックで応援お願いします!

最新記事

プロフィール

デジャヴ

Author:デジャヴ


二次創作小説・オリジナルファンタジー小説を書いています。訪問して下さった皆様に少しでも楽しんでいただけると幸いです。

恋愛小説サイト『恋砂糖*ひと匙』も運営中


【補足と注意】

・過度な性描写・暴力シーンはありません。

・原作キャラでの同性愛は一切書きません。

・コメント、感想はありがたく頂戴いたします。誹謗中傷やマナーのないコメントは受け付けません。

・当ブログを利用するにあたり、一切の責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。

・小説、イラストともに転載・複写×
著作権は放棄しておりません!

以上の点をご理解いただけますことを心よりお願い申し上げます。まだまだ不慣れですが、温かく見守っていただけると幸いです。

右サイドメニュー