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第二回 if (もしも…)

レムオンに連れられティアナの部屋を訪れるため、王宮へ向かった。
優しい匂いがする、春のことだった。


           『 i f 』


ティアナの部屋の前に着き、レムオンは侍女に「お取次ぎを」と静かに言った。
謁見を了承されてティアナの部屋へ通る。
きちんと手筈を整えてこの扉を開けるのと、クローゼットからティアナの部屋に入るのとでは、気持ちが違う。
クローゼットを通して会うときは「ケイト」でいられるのに、話を通してから会うときは「ノーブル伯」でなければならない。

「ようこそお越しくださいました。レムオン様、ケイト様」

ティアナはちらっとアタシを見て、意味深に笑みを浮かべた。
クローゼットのことは彼女とアタシだけの秘密だから。
今日は正門から来たのですね。口にしなくても伝わってきた。

「ご機嫌麗しゅう、ティアナ王女」

レムオンに倣って礼を尽くす。
ティアナとレムオンの談笑が始まり、アタシは頷いたりして相づちを打つだけ。
「ノーブル伯」としてこの部屋に入ったとき、アタシは極力口を挟まないことにしていた。

レムオンの楽しみを、心安らぐときを奪ってはいけない。
冷血の貴公子、なんて呼ばれている彼が笑っている。
あんなに嬉しそうに、あんなに楽しそうに。
まるでその笑顔が輝いているように見えた。

もしかしてこんな風に見えるのは、アタシのなかで何か得体の知れない魔法がかかっているせいかもしれない。

レムオンに「ティアナが好きだ」と打ち明けられた日から……。

アタシは魔法にかけられてしまった。
ティアナと会う彼が、アタシの目には以前より幸せそうに映るようになった。
よかった、よかった。
嬉しいなら、それで良いんだ。

レムオンの幸せを守ってあげたかった。

アタシはいいことをしたつもりだった。
こう思うことは悪いことじゃない、間違ってはいなかった。
たとえそれが自虐だったとしても。

「いつも快く招いてくれるが、婚約者殿にもこうなのか?」

レムオンの意地の悪い質問が飛ぶ。
ティアナは口を尖らせ「まさか」と言った。

「むしろ、あの方は母の命令がない限り、私の部屋には来てくれません。どうせ酒場にいるのでしょう」

ティアナはゼネテスが好きだ。たぶん。きっと。

「そうか。そうかもしれないな」
「レムオン様を見習ってほしいものですわ」

レムオンはティアナが好きだ。
だから無神経なふりをして、彼女を傷つけることを言う。

「会いたいのか?」
「なっ! そういうことを言っているわけではなくて!」
「ふっ。冗談だ」

レムオンは口の端を上げた。
笑っているけど、笑っていなかった。
悲しんでいるのかもしれなかったし、その実なにも感じていないのかもしれない。

ティアナとの談笑が終わり、退室する。
アタシはレムオンの顔色をうかがう。

「楽しかった?」
「まぁな」
「そっか。それなら良いんだ」
「変に気を遣うな」

でも嬉しそうに言うから、アタシはきっとこのまま変らないだろうと予感した。

「もしも、好きですって言われたら、どうする?」
「聞くな」
「でもさ」
「もしも、の段階でもう話はついてる。そうだろう」

きっと全部ばれている。
アタシの愚かさも、偽善も、全部。

耳に痛い話だった。
でも、アタシはそんな答えを期待したわけではなかった。
だから食い下がる。

「もしも、が起こったら?」
「……起こってほしいのか?」
「うん」

レムオンはすこし黙って「そうか」とだけ呟いた。
アタシはいいことをしたつもりだった。
レムオンが「もしも」を否定した意味も、理由も分かっているのに。

「ありがとう」

ため息まじりに、愚かなアタシを見下ろして、レムオンは笑った。


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*Comment

こんばんわ♪ 

こんばんわ♪
ティアナ王女とのやり取りは、何回プレイしても
レムオンの心の内が分からなかったのですが、なるほどそういう事か、とw
ケイトの感情がリアル過ぎてドキドキしました(ノ´∀`*)
レムオンにはやっぱり偽善にしか見えてないのかなぁ・・・
  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/13 20:37分 
  • [Edit]

Re: kaorin114さんへ 

こんばんは、コメントありがとうございます!

レムオンはティアナに会うたびに、幸福と悲しみを味わっている気がしますね。
話していると幸せだけれど、政敵の娘だから結ばれない残酷な現実。
ケイトはそれを承知で、でもどうにかしてレムオンの心を救ってあげたかったんです。

ただ、レムオンは鈍感さんなので、
ケイトが自分に対して恋愛感情を持っている
という点だけは見抜けてなさそう(笑)
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/13 21:57分 
  • [Edit]

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