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第一回 家族

レムオンの妹となったアタシは農民から貴族へと立場も、生活も一変した。
冒険者にもなった。
名を上げれば上げるほど心労は増えていった。
宿屋に泊まる時にも酒場に行った時も「ノーブル伯」の称号は付きまわる。
「ノーブル伯」の一声で反応する人々。
向けられる視線が、怖い。
実際どう思われているのかは分からない。
ただ、自分が今まで「貴族」に対して向けてきた視線とどうしても重なってしまう。

そして、「貴族」から向けられる目も怖かった。


           『 家族 』


リューガ家へ幾日ぶりに帰ってきたときのことだった。

「ちょうどいいところに帰ってきたな」

レムオンは上着をメイドに手渡し、応接間へと向かうなか言葉を続けた。
付いて来いといった雰囲気だったから、暗黙の了解で付いて行った。

「ノヴィンからお前を貴族共に披露せよと命令を受けた」
「ノヴィン?」
「ふっ。覚えていないならいい」

セバスチャンが現れ、紅茶の用意ができていると言った。
応接間を開け、レムオンはアタシに入るよう顎をしゃくった。
彼は神経質だ。行動が遅ければ叱責が飛ぶ。
速やかに入り、レムオンが対のソファに座ってから席についた。
紅茶の香りが漂うなか、セバスチャンは静かに出て行った。

「披露とは?」

レムオンは紅茶を口に含み、ゆっくりと喉を動かした。

「せっかちな奴だな。少しはゆっくりさせろ」
「ごめん、なさい」
「……おそらく、お前をいびるためだろう」

いびる。いびる、か。
いつか来るとは思っていた。思っていたから、この家を避けるように冒険をしていた。
たまに帰らないとセバスチャンが心配するから、帰ってきただけなのに。
レムオンは足を組み、肘掛に肘をつきゆったりと背をもたれた。

「明日だ。明日、お前を披露する。異論は認めん」
「はい」

レムオンは目を薄く細めた。笑ったようだった。

「やけにしおらしいな。それでも反乱の首謀者か?」

*   *   *   *   *   *   *   *

クリーム色のドレスを身につけた。
普通の女の子だったら嬉しくて、鏡の前で身を捩ったりして、何度も自身を見つめていただろう。
けれど、アタシは自分を直視したくなくて目を伏せていた。

「ベールをちょうだい」
「え? あ、ですが、今日はお披露目だとお聞きしました。顔を隠すのは――」
「いいから。責任はアタシが持つから用意して」

メイドの進言を一蹴して、アタシはベールをかぶった。
全ての視線という視線を遮断する、素敵なベールを。

*   *   *   *   *   *   *   *

「これはこれは! エリエナイ公、ようこそお越しくださいました!
 今日は妹君をご紹介くださると聞き及んでおりますが……こちらの淑女がそうですか?」

貴族の一人がレムオンを出迎え、アタシは彼らの後ろについた。
下心でも持っていたのだろうか。
中年の男はアタシの顔がはっきり見えないことに落胆していた。

ノヴィン、という男が中央に立ち、レムオンと対峙した。
ああっと思った。この人は王妃の兄だ。いけ好かない奴だって思い出した。
レムオンは「あんな小物、殺すに足らん」と嘲笑していただけあって、氷のように冷たい表情は変らなかった。

「ようこそ、隠し子のケイト様!」

そんなことを言った。
一同がどよめき、すぐさま不穏な空気になった。
会話をするように目と目を合わせ、これからアタシを惨めにさせる準備を作っていた。
アタシは視線という視線から隠れるように、レムオンの背中にまわった。

「堂々としろ」

声音は硬く、苛立っていた。
アタシの行動で腹を立てたのだ。ノヴィンではなく、アタシのことで。

「顔を隠されるとは。直系ではないことを恥ずかしく思っておられるようだ。
 ふっ、可哀想な妹君ですな。我々の前で顔も見せることもできないとは……」
「申し訳ない。人見知りなところがあるもので」
「己がリューガ家の家名を傷つけていることを自覚しておられるのでしょう」

誰かが小さくそう言った。
アタシの体は怒りに震えていた。けれど、唐突に怒りは突き抜けて消えていった。
アタシ、なにを考えているのだろう。
本当のリューガ家ではないのに、リューガ家を馬鹿にされて怒っている。
……どうして、本当の家族じゃないのに馬鹿にされて腹を立てているのだろう。
驚いて、口を押さえた。

ノヴィンはそうとは知らず、アタシが悲しみに震えている哀れな娘のように映ったのだろう。

「可哀想に、可哀想に。エリエナイ公の不始末で、彼女が泣いているではありませんか」

嗤った。
レムオンを馬鹿にした。
許せない。
怒りは再び沸き起こった。黙っていても、言い返しても状況はきっと変らない。
それならいっそ――。

「ノヴィン様」

アタシはここに来て初めて声を出した。

「なにかね」
「それほどまでに私(わたくし)の顔を見たいのなら、ご自分でお取りになってください」
「なに?」
「私のことはどうおっしゃられても構いません。私は今日、覚悟をしてこの場に立っているのですから。
 ですが、リューガ家と私の家族への無礼は許しません。私だけを責めてください。さあ!」

アタシは構わず進み出た。
レムオンが口の端をわずかにつりあげたのが見えた。
ノヴィンはアタシを蔑むように見下して、ベールに掴みかかろうとした時だった――。
レムオンの手が、ノヴィンの手首を掴んだ。

「妹の不敬をお許しください」
「今さらなにを言う!!」
「申し訳ない。だが、レディに、それも妹に触れられるのだけは我慢がなりません」
「私にこんなことをしてただで済むと思うなよ! 王妃に知れたらどうなると――」
「私は家族を守ったまで。エリス王妃もご理解くださると思いますが?」

思わず目を瞠った。心臓が跳ねた。
レムオンがまさか、そんなことを言うとは思っていなかった。
かばう、なんてことをするんだ。この人は。
家族、なんてことを思ってくれていたんだ。
アタシは事が収まるまで、固まっていた。

*   *   *   *   *   *   *   *

「たっだいまぁ~!!」
「お前はっ、リューガ家の者ならば粛々と帰って来い!!」

レムオンの叱責が飛んでくる。
あのお披露目から半年が過ぎた。
今じゃ、貴族と利用された娘、なんていう冷え切った関係は解消され、兄妹らしくなっている。
レムオンの怖い顔もずいぶん慣れた。

「妹に手を上げるなんて!!」
「しつけだ!」
「ノヴィンの前じゃ、あんなに立派なことを言っておいて、自分で触れるなんて!キャー!!」
「黙れ小娘!!」
「痛いっ、痛いって!!」

応接間で暴れていると、駆けつけたセバスチャンに「お静かに!」と叱られた。
それから二人して延々と続くセバスチャンのお説教を並んで聞きながら、小突きあう。
出会った頃は、あれほどまでに倦厭していた家だけど。
今じゃ無性に帰りたくなるときがある。

帰れば怒られっぱなしだけれど、温かいって思うんだ。
アタシはセバスチャンの目を盗んでレムオンに耳打ちした。

「また帰って来るね」
「ああ」



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*Comment

こんばんわ♪ 

こんばんわ♪

もう一度一話から読ませて頂いてます♪
レムオンやっぱり良いツンデレ兄貴ですねw
ついにPSPジルオール買っちゃいましたよ(´∀`*)
スカイリムのキャラもジルオールのように綺麗系だったらなぁ・・なんてw

デジャヴさんのお話は凄く好きなので、更新楽しみにしています♪
  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/12 21:22分 
  • [Edit]

Re: kaorin114 さんへ 

こんばんは^^
いつもありがとうございます。

> もう一度一話から読ませて頂いてます♪
ありがとうございます!!

> レムオンやっぱり良いツンデレ兄貴ですねw
分かりやすいツンデレって最高ですヾ(*´∀`*)ノ

> ついにPSPジルオール買っちゃいましたよ(´∀`*)
> スカイリムのキャラもジルオールのように綺麗系だったらなぁ・・なんてw
買っちゃいましたか^^
これはもうレムオン兄さんを攻略するしか(こら)

> デジャヴさんのお話は凄く好きなので、更新楽しみにしています♪
ほんっとにありがとうございます!!
そのお言葉が私の活力です><
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/12 22:33分 
  • [Edit]

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