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すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

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きっかけ作り

リーダーであるケイトがいない間、チャカ、ヴァン、ナッジはロストールの近くにある丘へと訪れていた。
ケイトを心配するあまりチャカの顔からは笑顔がなくなっていた。
それを見かねたヴァンが「たまには息抜きしようぜ」と誘ったのだった。

「あいつ、なに空見てぼけ~っとしてんだ?」
「さあ……」

澄み渡る青空の下、座り込んで空を見上げるチャカ。
悲しんでいるわけでも、嬉しそうにしているわけでもなく。
馬鹿みたいに気の抜けた、ぼ~っとした顔で空をただ見上げていた。

「ケイトの心配でもしているのかもね」
「ふむ。あいつもさぁ、弟の気持ち分かってやれねーのかな」
「色々大変なんだよ、ケイトも。たくさんの人たちに注目されているから」
「そうだとしてもよ! 最近、チャカのこと、ほったらかしにし過ぎだと思わねぇ?
 だってよ、あいつの顔から笑顔がなくなってきてることだって、気付いてないんだぞ」
「……まあ。そうかもしれないけど」

ナッジは膝を立て、そこに頬杖をつくとチャカの背中を見守った。

「なにかしてあげられたら良いんだけど……」

ヴァンはナッジの隣にどっかりと座り、あぐらをかく。
二人して沈黙し、ケイトとチャカの為になにができるか考え込む。
時間だけが過ぎていき、ふとチャカが立ち上がった。
その顔はなぜか明るくてかえって、心配になった。

「チャカ?」

ナッジが小首を傾げると、チャカは笑った。

「帰ろうぜ。充分、休憩しただろ?」
「お? おぉ。……元気、出たか?」
「なに言ってんだよ! 俺落ち込んでなんかねーぞ?」
「そういう問題じゃなくて!」

ヴァンがなにかを言いかけて、ナッジが止めた。
これ以上はダメと首を振る。

「帰ろうか。マスターが淹れてくれる紅茶を飲んで、それから宿屋に行こうよ!」
「だな!」

ナッジはその場を取り繕うのがうまかった。
チャカはナッジに気を許し、仲良く肩を並べて丘を下っていく。
その姿を見ながらヴァンは腑に落ちないといった顔をした。

「なあ!!」

二人は振り返る。

「スラムの酒場、行ってみようぜ!」
「「は?」」
「ちょっとさ、大人の世界見てみようぜ!」


*   *   *   *   *   *   *

ロストール。
夕方になり、ヴァンを先頭にチャカ、ナッジと並びスラムへと足を踏み込む。
ナッジは目を泳がせ、辺りを見回したまま落ち着かない。

「な、なあ。姉ちゃんにもスラムには行くなって言われてるじゃねーか。なんで急に……」

チャカの非難の目に、ヴァンは「へっ」と吐き捨てた。

「男がこの程度でビビッてどうすんだよ」
「でもよぉ」
「ケイトがスラムの酒場を出入りしてることは、ギルドのおっちゃんから聞いてるんだ。
 きっと俺らに隠し事してるに違いない」
「姉ちゃんが俺に隠し事するわけ――」
「ないって言い切れるのかよ」

チャカは言葉に詰まり、顔をそらした。
ヴァンは不機嫌そうに渋面をつくり、歩き続けた。


酒場の前に着き、ヴァンは二人に頷くとゆっくりと扉を開け放った。
冒険者たちが酒を飲み賑わう酒場は、思っていた以上に「大人の世界」だった。
その中に、カウンターに席を取り座っているケイトの姿があった。

「姉ちゃん……」
「あれは、ゼネテスさんじゃない?」

ナッジが言うと、チャカも頷いた。
ゼネテス――冒険者の中でその名を知らない奴などいないだろう。
チャカとナッジはケイトの元へと歩いていく。
しかし、ヴァンだけは入り口で立ち止まっていた。

(なんで……笑ってやがんだよ)

ヴァンは唇を噛んだ。
ケイトが楽しそうに笑っていた。
自分たちの前では見せないような、明るい笑顔で。
チャカにあんな顔をさせていることに気付きもせず、のうのうと。
それなのに、チャカはばつ悪そうにケイトに話しかけ、鉄拳を食らい、笑っていた。

(なんで……お前ら、笑えるんだよっ)

ヴァンは大またでケイトに近づき、チャカを押し退けた。

「ヴァン。アンタの提案なんだって? どうしてまた――」
「ケイト……お前、いい加減にしろよ」
「え?」

カウンターに拳を振り落とし、鈍い音が響いた。
その場にいた者たちがみな静まり返り、ケイトも目を丸めていた。

「なんでお前だけ笑ってんだよ」
「ヴァ、ヴァン?」
「こいつの気持ちも少しは考えろよ!」
「……ヴァン」
「ロストールに着けば貴族の連中とつるんで、酒場で俺ら以外の奴らと笑い合って。
 少しは弟のことも気にしろよ! お前がいない間、お前をずっと心配してんだぞ!?」

チャカが肩を掴むのも気にせずに、ヴァンはさらに言い募る。

「いい加減、チャカのことも見てやれよ!」
「ヴァン!!」

チャカは苦しそうに顔をしかめた。

「頼むから。これ以上情けない奴にしないでくれ……」
「チャカ!」

チャカは酒場を出て行った。
慌てて追いかけようとするヴァンの手を、ケイトが掴んだ。

「……アタシが行く」

ナッジがはらはらと見守る中、ケイトはふっと微笑んだ。

「ちょっと目ぇ覚めたよ。殴られるより、きっついよ」
「……悪りぃ……」
「いいさ。アタシ、あの子に甘えてたんだ……」

ヴァンが怪訝そうにすると、ケイトは苦笑した。

「あの子には……辛い思いをさせたくなかったんだけど。
 そうか、アタシが辛い思いをさせてたなんてね。馬鹿みたい」
「ケイト」
「ありがとね。教えてくれて。行って来るよ」

ケイトの歩調は軽快だった。
ヴァンとナッジは気まずい思いを抱えて立ち尽くした。
だが、ゼネテスとマスターは笑っていた。

「よく言った!」

ゼネテスが破顔した。

「え?」
「弟の面倒も見てやれって言ってるんだけどよ、あいつ聞かなくて。
 弟がなんの心配もせずにノーブルに戻れるためなら、なんだってやるって言い張ってよ」

ヴァンは頭を抱えて、しゃがみこんだ。

「俺は、なんってことを……!」
「ヴァ、ヴァン!?」
「なにも知らないで傷つけちまった……」

ゼネテスはカウンターに頬杖を付き、ヴァンを見下ろした。

「だから、大丈夫だって。あいつも言ってたろ、目が覚めたって。
 貴族になっちまったことで、弟とも顔を合わせ辛かったんだろうよ。
 今回が良い機会だ。ちゃんとぶつかって来るだろう」
「そう言ってもらえると、助かるっす」
「おう」

ヴァンはゆっくりと立ち上がり、ナッジとともに席についた。
マスターは気を利かせて紅茶を二つ用意した。

「ま、俺特製の紅茶を飲んで元気を出しな。二人が帰って来るまで、ゆっくりしていきな」

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