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ケイトの居場所

ロストールを拠点に、ギルドの仕事を受けていたケイト一行。
ギルドの仕事の合間にリューガ家へ行き来するケイト。
弟のチャカは姉の疲れた様子を心配しながらも、口を出さなかった。
口を出したところで無意味なのだ。

「貴族の連中と関わるのはアタシだけで充分」

そう言って譲らない。

(あの人と、なにかあったのかな……)

チャカは、苛立ちを滲ませるケイトの背中を見つめた。
仲間のヴァンとナッジに見せるときの顔はいたって普通で、二人とも疑ってはいなかった。
血の繋がった弟だけに見せる顔。
うれしいけど、複雑。
いつだって笑顔でいて欲しいのに。
世界に変化が訪れ、時間が進めば進むほど、ケイトの表情は暗く、曇っていった。

今日もギルドでモンスター退治の仕事を請け、ゼグナ鉱山へと向かうことになった。
ロストール郊外の街道を歩いているときのこと。
ならず者たちに突然囲まれ、仲間のヴァンとナッジはたじろいだ。
チャカも驚き、慌てて槍を構える。
ヴァンとナッジも構え、対峙した。
だが、ケイトだけは構えずにそれらを眺めていた。

「ちょ、姉ちゃん!?」
「…………」

目元に怒りを滲ませたまま、ケイトはならず者を睨みすえた。

「命が欲しくば金目の物は全部置いていきな!!」
「俺たちは、そこらの冒険者より強ぇーぜ?」
「コーンスもいる。ついでに角も狩っちまえ!」
「女は俺がいただくぜ」

6人の男たちが剣を突き出してくる。
ナッジはびくりと震え、ヴァンは強気にあざ笑った。

「できるもんなら、やってみろってんだ!」
「姉ちゃんに指一本でも触れてみろ、ただじゃおかねーからな!」

睨み合いの攻防。
ケイトはヴァンを押し退け、進み出た。
動くたびにケイトの腰飾りがチャリッと音を立てる。
チャカは怪訝そうに眉をひそめた。
銀色の腰飾り。いつから持っていたのだろう。
じっと見つめる――そこにはリューガ家の紋章があった。

「お? お嬢ちゃん、俺たちとやろうってのか?」
「……はっ、姉ちゃん!」
「アタシがやる」

ケイトは、あろうことか剣をヴァンに預けた。
そして、王妃エリスから賜った盾をもナッジに押し付けた。

「おいケイト!」
「アタシ一人で出来るわ」
「姉ちゃ――――」

ギロリ。
横顔から覗く瞳が殺気立っていた。
心臓が震えた。

(こんなの、姉ちゃんじゃない……)

ケイトが動き出す。
男たちがどっと嗤い出し、一斉にケイトに飛び掛る。
ナッジは槍を胸に抱き頭を振った。
ヴァンも苦い顔をして、ケイトから預かった剣を、柄をきつく握った。
白んだ指先、震える手。

「ケイト、どうしちゃったんだよ……。なあチャカ、お前の姉ちゃんどうしちゃったんだよ!」
「こっちが聞きてーよ」

ケイトは易々と敵の武器を奪い、その短刀で攻撃を防ぐ。
体術だけでならず者たちを倒していくケイト。
圧倒的な強さの前に崩れ落ちる者たち。
ケイトはそれらを見下ろし、足元にのびる男の手を思い切り踏みつけた。

「ぐっ!」

ナッジは思わず目をそらした。
男の手から、剣の柄がこぼれ落ちる。
チャカはケイトと、地に伏す男たちを交互に見やる。
だが、ケイトが短刀を手のひらで持ち替えた瞬間、チャカはケイトの体を抱きしめた。

「やめろよ! おかしいよ、姉ちゃん!!」
「放せ!」
「人は殺さない、神官も罪人も関係ないって言ってたじゃないか!
 誰よりも人に優しい姉ちゃんが、なんで――――」

ケイトはチャカを振りほどき、短刀を男の首のそばに投げた。
ザクッと生々しい音を立てて短刀が突き刺さり、男は顔を真っ青にした。

「……仕事に行こう」
「う、うん」

ナッジが気を取り直すように頷き、盾を手渡した。
ヴァンは怒ったような顔で剣をつき返す。
気まずい空気のなか、ゼグナ鉱山の近くまで来た。
ナッジとヴァンが先に進むのを見ながら、チャカはケイトの顔を窺った。

「姉ちゃん?」
「なに……」
「変らないって約束、してくれたの覚えてるよな」
「うん」
「なら、どうして」

ケイトは、ふっと力なく笑った。
困っているような、泣きそうな表情を浮かべて。

「アイツらに言われたんだ。ずいぶん田舎の匂いがしますね、本当にリューガ家の者ですかって。
 冒険者は所詮、自由を謳いながらも地を這うような生き方しかできない野蛮人だって。
 そんな者に成り下がる前に、テーブルマナーでも覚えたらどうですかって」
「姉ちゃん……」
「別に良いんだ、分かっていたことだし。でも、柄にもなくムカついたのは」

ケイトは地を睨んだ。

「レムオンはなにも言ってくれなかった。
 目の前にいるはずなのに、アタシのことなんかちっとも見てなかった。
 アタシを貴族にしたくせに、アタシの居場所を用意してはくれなかった……。
 世界を見て来いって言いながらも、本当はアタシを手元に置いておきたくはなかったんだ。
 ノーブルの居場所も奪われて、リューガ家にも居場所がない……。
 利用されるだけの存在だってことは分かっていたのに、どうしてだか」

姉の目に涙が浮かんだ。

「苦しいんだ。苦しくて、胸が張り裂けそう。
 そのこと自体が悔しくて腹立たしくて仕方ない」
「姉ちゃん……」

チャカはケイトの手をしっかりと握った。

「姉ちゃんの居場所はここ、俺の隣だろ」
「チャカ……」
「ここだけは、どれだけ月日が経とうと、世界がどんなに動こうと、変らない。
 姉ちゃんが帰って来るべき場所はここだよ」
「ん……」
「頼りない弟かもしれないけどさ、それでも頼ってよ。
 そんななるまで苦しまないで話してくれよ。俺たち、たった二人だけの家族だろ」
「うん……」

ケイトの頬に涙が一筋だけ伝った。
チャカは見てみぬふりをして、鉱山の道を進んだ。
これから先、ケイトの進む道がどんなに暗く険しい道であったとしてもそばにいよう。
迷子になっても帰ってこられる場所を守っておこう。


「姉ちゃん、俺がいるからな」
「うん」
「俺、頑張るから」
「うん」

チャカは繋ぐ手に、わずかに力をこめて地を踏みしめた。


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