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すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

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じゃれあい

悩んだあげく、ケイトはどのドレスも取らなかった。
ゼネテスは納得したようだったが、他の三人は不満あるいは落胆した。
ケイトはへらへらと笑った。

「いや~、だってさ、みんな貴族じゃない。
 アタシにはきらびやかなドレスなんて壁が高すぎる」
「しかし、王宮に出入りするならばそれ相応の格好があるだろう」

ケイトはバスローブの襟に触れ、整え直すと部屋から出て行こうとする。

「おいこら、どこへ行こうと」
「アタシにぴったりの格好をしてきてあげる」

きゅるんっ♪
ウィンクひとつ残してさっさと出て行ってしまう。
レムオンはこめかみの痛みに顔をしかめ、手を額に当てた。

「俺は、人生で最大の失敗をしたのかもしれない。
(あんな奴を妹になんかしなければよかった……)」

ケイトを待つ間、ドレスを片付けさせティータイムにしていた四人。
カチャリ、カチャリ……と食器が小さく鳴るだけの静かな部屋。
おいしいと感想を述べるティアナ。
レムオンは微笑み、焼き菓子を勧めた。

「レムオン様……」

声をかけられ驚いた。
まさか、アトレイアから声をかけてくるとは思っていなかったのだ。
目で続きを促すと、アトレイアは控えめに言った。

「ケイト様、なんだか落ち込んでおられるようです……無理して元気なところを見せているような」
「え? 私はそんな風にはお見受けできませんでしたが」
「ああ、俺もだ。貴様はどうだ?」

ゼネテスは肩眉を上げ、「俺か?」と言った。
ちょっと黙って、言葉がまとまったのかゆっくりと口を開いた。

「ここに来る前、ギルドに顔を出したんだけどよ。
 新米の冒険者が依頼を受けたはいいが、城塞都市跡の魔獣の襲撃にあった。
 仲間のうち一人だけが命からがらここに帰ってきたんだとよ。
 そこにちょうどケイトが現れて、仇討ちとして魔獣討伐を引き受けたらしい。
 ま、あのケイトのことだ。造作もなかったんだろうよ。
 すぐに帰ってきたらしいが、あの冒険者は仲間のもとへ逝っちまったんだと。それが三日前だ」

室内は更に静まり返る。
ティアナとアトレイアは思いつめたような顔で、テーブルを見つめていた。
ただ、レムオンだけは腕を組み苦い顔をした。

「あのバカ。同情したな」
「レムオン様、そんな言い方」
「……あいつは優しい。だが、そのせいで余計なことまで考える癖がある」
「あなたにケイト様のなにが分かるのよ」
「分かるさ。分かるんだよ……」

ティアナは口をつぐみ、苛立たしげにカップに口をつけた。
アトレイアはずっと黙っていたが、やがて静かに言った。

「元気になってくれると良いですね。
 私の力でそうして差し上げられたら良いのですが……」
「心配ないでしょう、アトレイア様。あの馬鹿はあなたをたいそう気に入っておられる」
「えっ」
「代わりに、私は気に入られていないとでも? レムオン様」
「代わりに俺が気に入っている」

ゼネテスが感心したように口笛を鳴らした。
ティアナがぱっと顔を赤らめた瞬間、部屋の扉が開いた。

「人がいない間に、なにさらっと色ボケたこと言ってんだよ。お兄様」
「お前は――なにを考えている! 俺に喧嘩を売っているのか?
 そうか、そんなに恥をかかせたいか!」
「いやん、今頃知ったのん?」

ケイトはレムオンの服を着て、歩きにくそうにやってくる。
上着はぶかぶか。
ズボンは裾が余りすぎて引きずっている。
レムオンを真似ているのか、頭の頂点で髪を束ねている。かなり珍妙な格好をしている。

「俺でも庇いようがないわ」
「でも、可愛いです!!」
「アトレイア様、すごい勢いですね……」
「どういうつもりだ? ケイト」

ケイトは上着の袖口を口元に寄せ、すぅ~っと匂いをかいだ。

「なっ、やめろ! はしたない!」
「お兄様の香り……」

首根っこを掴んでやると、ケイトは嬉しそうに笑った。

「この服を着たら、みんなアタシに平伏するよ。
 だってお兄様の服だもの、汚したら打ち首よね!」
「すでにお前が汚しているだろう!!」

ケイトはとぼけて、レムオンに抱きついた。

「リューガ家の兄妹は強いのだー!! 平伏しろー、叩っ斬るぞー!」
「やめろ、じゃれるな!!」
「このダブルソードで、貴様らを――」

がやがやと騒ぎ出す二人を眺め、アトレイアとティアナは微笑んだ。

「私たちが手を出すよりレムオン様とじゃれる方が元気が出るのですね」

アトレイアが言った。
ティアナは頷き、ふと思い出したように目を細めた。

「どう? 悔しいでしょう、ゼネテス様?」

ティアナはちらりとゼネテスを見上げた。
ゼネテスは肩を竦めた。

「別に。俺は始めからわかってた。あいつを笑顔にしてやれるのは、レムオンだけだってな」
「負け惜しみ」
「ほっとけ」


こうして、ケイトのドレスは決まることがなかった。
しかし、レムオンは秘かに四人が選んだドレスを購入していた。
そうすることを分かっていたからこそ、ケイトはどれも選ばなかった。

それをレムオン当人が知っているかどうかは、別のお話。

END


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