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星の民の少女 (06)

 
 
 翌朝のこと。
 ロランドとカロンは荷物をまとめて宿を出た。
 ロランドは黒い毛並みの馬、カロンは白い毛並みの馬をそれぞれ所有している。厩から馬を受け取り、荷を馬の背中に預けた。王国を出れば、しばらく野宿もするだろう。昨日のうちに買い込んだ携帯食料が、荷の中に詰まっている。
 二人は王国を出る前に、別の宿屋に寄った。
 カロンがその宿屋に入る。しばらくすると、知り合ったばかりの少女がカロンと一緒に出てきた。
 泣き笑いを浮かべて、ロランドと、そして彼の隣に並び立つカロンを見つめた。

「ロランドさん、カロンさん、本当にありがとう!」

 ロランドは視線をそらし、「気にするな」とつぶやく。
 純粋な感謝の気持ちを向けられるのは久しぶりすぎて、妙に気恥ずかしいものがあった。
 カロンはキッカに温かな笑みを向けて、手を差し出した。

「さあ、行こう。一緒に」

 キッカは大きく一歩を踏み出し、カロンの手を取った。

「うん!」




 関所を出て、本格的に王国から出た後のこと。
 街道に沿って、ここから一番近い町ルーノスへと向かっていた。

「まさか、殿下があんなこと言うなんて」
「蒸し返すな」
「だって、殿下の生き方からして、人を信じることなんてないじゃないですか。珍しいというか、逆に危機感ないなぁって。いや、いいんですよ? 俺はキッカのこと気に入っているんで。もちろんキッカのことを追っ手だとは思いませんし、そもそも危ない子だと思ったら、あの日の時点で声を掛けてませんって」

 聞いてもいないことを、カロンはべらべらと話し続ける。
 カロン自体も、ロランドより警戒心は強いはずなのだが、いかんせん人が好すぎる。
 キッカと同じように「顔を見ただけで、善悪がわかる」と豪語する者だ。世の中、善悪で区切れるものはないと思うが、しかし、カロンの勘は外れたことがない。それが恐ろしいところだった。

 ロランドは前方を行く少女を見つめた。
 ロランドの馬の手綱を引き、楽しそうに馬と会話をしている。星の民は生き物の言葉がわかるのか。しかし、そんな話は聞いた事がない。おそらく彼女は、馬の感情をぼんやりと考えて喋っているに違いない。
 おかしな娘だ。それなのに、キッカが馬に話しかける光景は至極自然なものに見えた。
 視界のなか、彼女が笑うだけで、世界は瑞々しさを取り戻したかのようだった。

「なんとなく、あの子は……」

 ロランドは言葉を飲み込んだ。
 カロンやキッカの「人相判断」を否定しておきながら言う言葉ではない。
 ただ、もし――もしも世界が善悪で区切れるなら、彼女は「悪」ではない気がした。
 それだけのことだった。
 カロンが小首を傾げるが、なんでもないと頭を振った。
 カロンはキッカに呼ばれて、馬を引きながら彼女の元へ行った。
 和気藹々とする二人を眺めながら、ロランドは口元を緩めた。

「ただ、一緒にいたいと思っただけだ」



―END―


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