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星の民の少女 (04)

  
  
 カロンはあっさりとうなずいてしまう少女を見やって、笑った。
 ここで話すのもなんだから、俺たちのとった宿に来ないかと誘う。
 キッカはまだ宿をとっていないので、と断った。人が集まるこの町では宿とりが重要だ。時折あぶれて、町のなかで野宿なんてことにもなる。
 それなら俺たちと同じ宿を選べばいい、とカロンはこともなげに言った。
 キッカは宿代を訊いて、

「ええっ!? そんなにするのー!? 無理、無理!」

 と、ただでさえ高い声をさらに高くして驚いた。
 ロランドたちが泊まる宿はそこそこ値が張る。王宮育ちのロランドを気遣って、カロンは上等とまでは言わないがそれなりの宿をとった。
 カロンは一人旅の少女をすっかり気に入ったのか、ここで別れるつもりがないらしい。
 キッカに付き合って宿を選び、夕飯をおごる約束までしていた。カロンが「いいかい?」と耳打ちしてくるが、ロランドは「好きにしろ」と肩をすくめた。ここまで独断で進めてきて今更なにを言う、と小言をもらす。
 男二人に付きまとわれて嫌な顔をするかと思えば、キッカはすんなりと受け入れていた。

 キッカは一度別れて、姉探しをしてくると言う。
 日が落ちる閉門の時間にロランドたちの宿で集まることになっていた。
 その時刻になると、約束通りキッカは姿を現した。
 食堂でロランドたちを見つけると手を振って、トコトコと小走りにやってきた。
 身軽な動作で、丸椅子にストンと腰を下ろして、キッカはにこにこと二人を見つめた。

「どうだった?」

 カロンが穏やかな声音でたずねると、キッカは頭を振った。

「お姉ちゃんらしい人はいなかった。でも」

 店員からフルーツジュースを受け取って、こくりと一口飲んだ。

「ん、おいし。でもね、星の民の女が何日か前にいたっていう話は聞いたんだ。エール王国を出るって言っていたらしいの」

 キッカは疲れたように目を伏せて、覇気のない笑みを浮かべた。

「どうして、お姉さんを追ってきたの? たったひとりで旅だなんて危なすぎる」
「それは……その……」

 言いよどむ少女。ただならぬ理由があるのだろう。
 自分たちと同じように。
 カロンは申しわけなさそうに「ごめんよ、詮索しすぎたよ」と微苦笑した。
 二人に微妙な空気が漂う。カロンは人と接するとき、無遠慮に踏み込みすぎるところがある。
 ロランドは軽く嘆息して、話題を変えた。

 ロランドにはずっと気になっていたことがあった。
 それは邪神が生み出したという怪物オグルに遭遇しなかったのかという疑問だ。

「この国に入るまでは町が少ないだろう。野宿の間、オグルに襲われなかったのか」
「ああ、うん。何度かは。でも、オグルは光や太陽に目が慣れなくて、弱いでしょう。だからお昼に寝て、夜に動けばオグルに気付けるし、逃げることもできるよ」

 なるほど、とロランドは納得する。
 太陽の民である自分にはぜったいできないことだ。
 暗闇のなかでも動けるのは、星の民らしいところでもある。星の民は特別に目がいい。闇に目が慣れ、わずかでも光があればはっきりと、ものが見えるという。その目が欲しいと何度思ったことか。
 眩しい気持ちでキッカを見つめるロランド。
 しかし、キッカは彼の気持ちなど露知らず、にっと笑った。

「それに、いざとなれば、これを使えばいいからね」

 キッカは卓に立てかけていた身の丈以上もあるショートスタッフを見せた。
 槍の穂先を取ったような長柄の武器は象牙色をしていた。
 小柄な体に背負う荷物以外は、とくに武器らしい武器は持っていない。

「戦えるのか」
「自分の身を守る程度には。サブルステップにもオグルは出たから、戦った経験はあるよ。といっても、ほとんどお姉ちゃんの援護で直接倒したことはないんだけどね」
「そうか」
「ここまで来られたのはマルス様のお導きと、わたし自身の運の強さかな」
「運がいいって……」

 思わずといった風に、カロンが言葉をもらした。
 ロランドはクスクスと声を抑えて笑った。

「お前以上に楽天的な奴も、世の中にいるものだな」




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*Comment

No title 

おっ、RPGっぽく戦う展開もありそうですねー☆
キッカは卓に立てかけていた身の丈以上もあるショットスタッフを見せた。

何を撃ち込むのか非常に楽しみでございますv-398

思いのほか、
ただのフルーツジュースの文だけでとても美味しそうだと思った私は、
今日ローソンでフルーツ・オレを買わなかったからかもしれません(・8・)
  • posted by takeshifarm 
  • URL 
  • 2014.09/05 19:02分 
  • [Edit]

Re: takeshifarm さんへ 

コメントありがとうございます^^
ショートスタッフですね。短い棍棒のことです。
もう少し詳しく書けば良かったですね、直してこよ~っと☆笑
気付きを得られたので、感謝してます♪

フルーツ・オレ!
仕事で疲れたときって、甘い飲み物についつい目が行ってしまいますね><
ああ、久しぶりに飲みたい、でもそれより焼酎だ!
焼酎を飲みたいぞ!!笑
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2014.09/06 10:26分 
  • [Edit]

No title 

訳ありの王子様と訳ありの少女。
少女は戦えるようだし、若い割に強いのかな。
同じく、フルーツジュースが美味しそうに見えました(笑)
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2014.09/10 09:13分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

コメントありがとうございます。
訳あり揃いです(笑)
彼らが少しずつ、自分の立場や考えを語り合えるような仲になるのが、
私自身、この作品を書くひとつの楽しみになっています。

それなりに戦える設定ではありますが…
本人の言うとおり「運」でどうにかなっているタイプです。
星の神「マルス」様のお導きということで(笑)

フルーツジュース大好評♪
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2014.09/13 22:30分 
  • [Edit]

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