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星の民の少女 (01)

 
 
 太陽の民の国エール王国。
 その最南端の町ラヴィウスはリュミエール王国との国境付近にある。
 ブリズ山の裾野にあり、商業が盛んで活気に満ちた大きな町であった。交通の要所でもあるこの町では、様々な人種、民族が行き交う。
 ここでは、旅や商いで訪れた者たちがゆったりとくつろぐ姿が見られる。しかし、邪神が残した怪物がさまようこの時勢では珍しい光景であった。
 その要因のひとつに、怪物たちを侵入させない鉄壁と堅牢な門があげられる。背の高い白壁が怪物の侵入を許さない。陽が高いうちは怪物たちは動かない。動き出すのは夜だが、門が閉ざされた夜間に警鐘は鳴らなかった。この町は、夜目が利かない太陽の民が、長い時間をかけて造りあげた堅固な町であった。
 
 酒場のテラスから雑踏を見つめながら、ロランドは果実酒をひとくち含んだ。
 大通りを行き交う人々の足取りは軽く、顔色も明るい。

「だんなさん、お忍びかい?」

 唐突に声をかけられて、ロランドは弾かれたように振り返った。
 テール人の女だった。その証拠に髪が黒い。体のラインを見せるようなワンピースを着て、いかにも、娼婦という格好だ。
 木製の丸テーブルに指をすべらせて、ロランドと対面するように移動してゆったりと腰かけた。そして、流れるような動作で頬杖をついて彼をねっとりと見つめる。

「ずいぶんといい男じゃない」

 面倒なものに絡まれたと嘆息して、視線を落とす。
 ロランドは果実酒に映る自分を見た。額から鼻筋にかけて流れる象牙色の髪は、太陽の民の証。整ってはいるが、きつい印象の容貌だ。とくに眉と目つきに鋭いものがある。
 この容姿のどこに「いい」ものを感じるのだろうか。

「なぜそう思う」

 ロランドは目を上げて尋ねる。

「うん?」
「お忍びかと訊いただろう」
「ああ、そっちのことかい」

 女は自分の頭を指差しながら、くすっと笑った。

「頭に巻いてるそれが、よく似合うから」
「この国の男なら、誰でもこの格好だろう。珍しくもない」

 ロランドの頭には深緑の布が巻かれている。
 詰襟の、ゆったりとした丈の長い白いシャツ、深緑の腰帯。たっぷりと布を使ったズボンは、裾をたるませている。身につける服の色こそ違えど、これがエール国の市民服だ。

「お貴族さまが市民服なんか好んで着るもんかい」
「お貴族さま……?」

 肩に垂らした布の端に、ラピスラズリが埋め込まれた金の装飾が輝いていた。
 女はそれを目ざとく見つけて、すっと目を細めた。

「それがいけない。いかにもお貴族さまの匂いがするもの」
「ただの飾りだ」
「ただの、ねぇ。平民から言わせりゃ、一生かかっても手に入れられない代物だけどね」
「やらないぞ」
「あははっ、つれないねぇ。ま、気が向いたら店に来ておくれよ」

 場所を伝えられても地理に疎いロランドには、見当がつかなかった。
 わかったとしても、行くことはないだろう。
 適当にあいづちを返すと、女は笑みを崩さず、去り際にロランドの肩口にささやいた。

「隠れるなら娼館がおすすめだよ。特にだんなさんみたいな、堅物の男はね」
「去れ」

 ロランドは乱雑に手を振った。
 女の短くため息をつく気配がした。
 去っていく気配にようやくほっとする。よくよく計画を立てて王城から抜け出してきたとはいえ、刺客が差し向けられたのではと最後まで疑っていた。結局のところ、ただの女だったが。
 やはり国を出るまでは気が抜けない。
 ロランドは己の片目を覆って、深いため息をついた。




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*Comment

No title 

こんにちは。
日が空いてしまって、泉の誕生から読み直しました。
なかなかカタカナが覚えられない脳みそが嫌です(苦笑)
ロランドはどこへ向かうんでしょう。
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2014.09/10 08:45分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

コメントありがとうございます。
いちから読み直して頂いたんですね。
作品の単語ってなかなか覚えられないものですよ。
登場人物の名前すら、まともに覚えられないわたしです(苦笑)

ロランドはとりあえず、国から出たいようです。
その後は、どうでしょうね。どこに行くのだろう(笑)
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2014.09/13 22:23分 
  • [Edit]

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