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一緒に踊りたい

アトレイアはホールの隅、誰にも気付かれないような場所でケイトを見つめていた。
光に慣れていないため、あまり動き回ることも叶わなかったのだ。

ケイトはアトレイアの恩人だった。
自分だけの騎士様になってもらえたら、なんて何度妄想しただろう。
ずっと一緒にいたい。
でも、彼女が見つめる先には「光の王女」ティアナがいる。
ティアナから彼女を奪ってはいけない。

そして今、アトレイアはホールの隅から離れ、ゼネテスとケイトの戦いを食い入るように見ていた。
あのゼネテスに引けをとらぬ戦い。
いつの間にか、アトレイアは手をぎゅっと握り締めていた。

(頑張れ、頑張れっ)

柄にもなく熱くなってしまい、試合が終わったときには身体が熱を持っていた。

ケイトが白い薔薇を掲げ、その視線の先にはティアナがいた。
その後ろには、自分がいるのに。結局、最後まで気付いてもらえなかった。
他の貴族たち同様、まさかアトレイアが出席しているとは思わなかったのだろう。
自分を覚えている者などいないのだから。
エリスから、目が治ったのだから少しは外の世界を知るべきだと言われ、パーティーに出席した。
最初こそ断っていたのだが、ケイトが出席すると知り慌てて承諾したのだった。

しかし、今はどうだ。
出席したからといって、彼女に近づけるわけでもない。
ティアナ……。

(私もあんな風になれたら良いのに……)

お日様のように微笑む彼女の周りはとても華やかで、明るい。

(戻ろう……)

再び隅っこへと戻ろうとした時だった。

「えっ?」

手を掴まれるなり、引き寄せられた。
視界の端に黒い髪が映ったのを見逃さなかった。
少しだけ身長の高い彼女は、穏やかな、労わるような視線を向けてきた。
ケイトは周囲の者からアトレイアを隠すように、腕に抱く。

「あ……」
「どこに行こうとしてるの? アトレイア様」
「……わ、私は……」
「一緒に踊らない?」
「でも、ゼネテス様と」
「逃げられた」

肩を竦めるケイトにアトレイアは笑った。

「このままじゃ淑女たちの相手をしなきゃいけないんだ。ティアナも面白がって踊りたがるし。
 ダンスは苦手だし、先約があると言って断ってきたんだ。
 あまり目立ちたくないのはアタシも一緒。ね、どう?」

さっきまであんなに凛々しかったのに、今はもう見る影もなく。
いたずらっ子のように白い歯を見せてにっかりと笑うケイト。
アトレイアは口元に手を当てて微笑んだ。

「どう、しようかな?」

いつもとは違う態度を取ってみた。
軽口を叩き合えるような、そんな関係をイメージしてみたのだが。

「無理しなくていい。相手はたくさんいるから」

パッと手を放し、ケイトは背中を見せた。
アトレイアは慌てて何かを言おうとしたのだが、言葉が出なかった。
過ぎたことをしてしまった。

(私は、そういう子として望まれていないのですか?)

目の奥が熱くなる。
なんとか泣かないように唇を噛みしめて、踵を返した。
部屋に戻ろう。ケイトが見てくれないなら。

力が抜けたように歩いていると、蹴躓いた。
急速に体が地面に叩きつけられようとしていく。
その刹那。

「っと! 大丈夫?」

ケイトの声が再び降ってきた。
アトレイアは顔を覆い、涙の跡を隠した。

「ありがとうございます。助かりました」
「ね、そのままお願いがあるんだけど」
「えっ?」

ケイトが自分にお願い?
思わず胸が高鳴り、首を巡らせると。
腰を強く引かれ、ぐわん! と視界が回った。
そのまま手を組まれ、ステップを踏み出す。

「あっ、あの!」
「ほら、踊って! アタシ苦手なんだ。エスコートできないから自分で踊って!」
「えっ、ええっ!」

そんな無茶な……。
なんだかリズムに合っているような、合っていないような。
だが、それが可笑しくてアトレイアは笑ってしまった。

「さっきの、ごめんね」
「え?」

急に真面目くさった顔で、ケイトは言った。

「怒ってくれて良いんだ。怒ることも大事だよ。友達なら、なおさら」
「とも、だち……?」
「ま、友達になれる身分じゃないんだけどね」

アトレイアは頭を振った。

「そんな! 私こそ」
「アトレイア」
「は、はい!」
「今日はとってもキレイだね」
「あ、はい……ありがとうございます」
「羨ましいよ」

ケイトの寂しそうな表情に、アトレイアは戸惑った。
どうしてそんな顔をするのだろう。
どうしてそんな。羨ましいだなんて。

「アトレイアはもっと、もっとキレイになるよ。
 だから、もっと楽しいことを知ろう?
 寂しい気持ちになったら、またダンスを踊ろう。
 一緒に。こうやって、適当にさ。
 女の子は笑っている時が一番キレイなんだ。
 毎日笑っていたら、今以上にキレイになるよ」
「ケイト様……」

恥ずかしそうに頬を染めるアトレイアの髪に、ケイトは茎を切り落とした薔薇を差し込んだ。

「アタシの冒険者仲間がさ、毎日キレイ探しをしてて。なんだかうつったのかも」
「お世辞でも嬉しかったです」
「まさか。これだからダメなんだ、アトレイアは」

はたから聞けばひどい一言だった。
だが、アトレイアは落ち込まなかった。
ケイトの声音はどこまでも優しい。

「アタシ、嘘って嫌いなんだ。覚えておいて?」
「ケイト様って、とっても口がお上手なんですね」
「少しは見習いたまえ」
「はい」

アトレイアはケイトと見つめ合い、ダンスを楽しんだ。
この時間がもっと続けば良いのに。
こんなに楽しい時間、二度と訪れないかもしれない。
ケイトは冒険者で、いつ命を落とすか分からない。
それに、ティアナのものだ。
もう二度と、自分の元には来てくれないかもしれない。

「アトレイア?」
「へ?」
「アタシに集中してちょうだい。アトレイアのリズム感がなかったら、やばい」
「ふふっ。頑張ります」

ケイトがおどけて見せるのは、アトレイアに気を遣っているためだった。
光に慣れていないアトレイアが自力で踊れるわけがない。
ケイトが力強くずっと支えてくれているから、ようやくついていけるのだ。
それを感じ取れないアトレイアではない。

「ありがとうございます、ケイト様」

曲が終わり、ケイトはアトレイアの手に口付けた。

「こちらこそ。踊っていただき恐悦至極に存じます」

名残惜しそうなアトレイア。
ケイトは微苦笑して、アトレイアに飾った薔薇にキスをし、そのまま呟いた。

「男じゃなくて、ごめんね。夢を見せてあげられなくて、ごめん」
「ケイト様……」
「さようなら、お姫様。また会いましょう」

立ち尽くすアトレイアの頬を撫でて、ケイトはレムオンの元へと去ったのだった。


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*Comment

 

一つの嘘をついたら、その嘘を守るために幾つも嘘をつかないといけない・・・その真理的負担を考えるに当たっては、ケイトのいうことは真理をついていますね。
  • posted by LandM 
  • URL 
  • 2012.11/18 22:23分 
  • [Edit]

Re: LandMさんへ 

訪問&コメントありがとうございます。
ただでさえ、政治的にも利用され、世界中の争いにも利用されているケイトですから、
「嘘をつく」という好意には辟易しているというか、嫌気が差しているんです。
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.11/19 22:17分 
  • [Edit]

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