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【恋愛SS】 七夕

 七夕。一年に一度、織姫と彦星がホンの少し会う日。
 会わない期間がそんなに続いていたら、恋の熱なんか冷めてしまうんじゃないかと思う。
 女である私は織姫が嫌いだった。
 もっと言うと、19歳の時「アソビ」を知ってから織姫のことが嫌いになった。
 純情ぶっちゃって、と笑ってしまう。
 待っていられるわけないじゃない。
 寂しさを埋めてくれる人がほしいに決まってる。

 男も女も、心変わりなんてすぐしてしまう。
 浮気も簡単にできてしまう。
 関係を捨てるのは、簡単だ。


 駅の改札口近くに、笹が置かれている。
 会議室でよく見る茶色い長机に、小さな箱と鉛筆がいくつか用意されていた。
 小さな箱には赤、黄色、ピンクの短冊が乱雑に入っている。
 笹の葉にはすでにたくさんの短冊がくくりつけられ、少しの風でサラサラと音を立てた。
 欲まみれの木を前に、私は心のなかでたじろいだ。
 汚いな。みんな汚い。自分だけ、幸せになりたい。そんな叫びが見えてきそうだ。
 26歳にもなって神様にすがるような願いなんて、ない。
 
「書かないの?」

 聞き覚えのある声、他人を小馬鹿にしたような調子に、私は敵意をむき出しで振り向いた。
 私の反応が予想できていたのか、黒髪の男は口のはしを上げた。

「彦星登場」
「なんで、居るの。ここに」
「だって今日は特別な日だから」

 男が私の横に寄り、そっと身を屈めた。
 
「8年前、朱鳥(あすか)ちゃんの初めてをもらった大事な日だから」
「黒歴史を掘り起こさないで」

 眉目秀麗、文字通りの男。176センチメートルの身長から見下ろされるのは、すごく腹立たしい。 
 私と同じ歳なのに相変わらず年を重ねた様子のない面だ。
 高校生の時から年をとっていないんじゃないかと疑いたくなる。
 
 他人を馬鹿にした目が、私の頭からつま先まで観察するように動く。
 ふーん、と鼻先で笑いながら頷く。
 私が怒れば怒るほど、こいつは喜ぶ。
 簡単な言葉で、私が翻弄されているのを馬鹿にして、気持ちよくなっている。

「柄島、アンタさ、どこで私の情報を手に入れるわけ? 去年と今年じゃ、私の住んでいるところ変わっているのに。てか、アンタのしている行為なんて言うか知ってる? ストー」
「だって彦星だから。一年に一度、会いに来なきゃでしょ。織姫に」
「どういう理屈。馬鹿なんじゃないの」

 柄島シンとは高校時代に付き合っていた。
 性格は今と変わらない最悪な奴だったが、それでも好きだった。ぞっこんだった。
 結婚したいって夢を抱いていた。それなのにこいつは簡単に。

「あれれ、また思い出してるの? 別れたときのこと」
「誰かさんが一年に一度、絶対に姿を現してくれるから、忘れたくても忘れられないの」
「じゃあ、また言ってあげようか」

 すっと目を細めて、キレイな顔を近づけてくる。

「付き合った理由は暇つぶし。別れた理由は飽きたから捨てただけ」
「っ!」

 私が平手打ちを繰り出すのを分かっていたように、簡単にさけられる。
 クスクスと笑い声を立てて、私からぱっと離れていく。

「ねぇ、いつまでアソビ歩いているつもり? もう26なんだからさ、そろそろ落ち着いたら?」
「余計なお世話だ!」

 ぐっと喉の奥がつまる。
 こんな奴、どうだって良いのに。無視して帰っちゃえば良いのに。

「アンタ、ほんとなんなの? 毎年この日にひょっこり現れて、また消えて……一体、なにが目的なの」

 目が熱い。余計なものが溢れて頬を伝う。
 柄島がいない期間を他の男で埋めて過ごす。
 一年に一度を心待ちにしている。
 バカみたいだ。もう解放してほしい、こんな日々から。

 柄島が笑った気がした。
 答えてくれないのは毎年のことだった。
 泣いている私の腕を取って、駅から出て行く。
 行く場所は決まっていた。ネオンがキラキラ眩しいのに、ひっそりと闇を抱えた路地。
 明日の朝になれば柄島はどうせ消えている。
 ホテル代と赤い短冊だけ残して。

「また来年」

 短冊にはそう書かれていた。
 この走り書きを見るたび、もう来年なんかねーよと心に決めるのに。
 耳朶に残る愛の言葉が、私の心を縛っていた。
 ムカつくから短冊を破り捨ててやろうかと持ち上げたとき、短冊が透けて、黒い線が滲んで見えた。

「え? あれ? 裏に続きが――」

 来年はもう来ないよ。

 書かれていた言葉に、思考が止まる。

「なんなのよ、表でまた来年って言っておきながら」

 声が震えた。
 驚いている。狼狽している。戸惑っている。
 ほっとしろよ自分! 喝を入れても、涙が溢れて止まらない。

「そんなのいや、いやだぁ。いやあ!」

 別れたあの日みたいに、私は泣いていた。
 男で泣くものかとずっと心に決めてきたのに、どうしてあいつのことになるとこうなるのだろう。

「いい反応~」

 部屋に柄島の声が響いた。

「へ?」

 お風呂場に続く扉に寄りかかって、にたにた笑う男。
 涙に濡れた顔のまま、柄島を見つめた。

「なんで、そこに」
「ちょうどシャワー浴び終わって、体拭いてたの。そしたら、泣き声が聞こえたからそっとのぞいてた」
「そうじゃなくて、どうして居るの」
「飽きちゃったんだ、彦星役に」

 なに考えているんだか、本当に分からない。
 柄島は腰にバスタオルを巻いたまま歩いてきて、ベッドに腰掛けた。
 短冊を握り締める私の手に、自分の手を乗せた。

「それとも俺は彦星のままの方が、都合がいい?」
「またそばに居てくれるの……」
「どうかな。永遠って言葉は嫌いだけど、まぁ、しばらくは居てあげてもいいかな」

 柄島はいつもの胡散臭い笑みを浮かべて、私の手を強く握った。

「シン」
「なに?」
「私にタチの悪いイタズラするのやめてよ」
「単純な奴が悪いんだよ」









七夕ネタです。
織姫と彦星に掛けて書きたかっただけで、深いストーリーはないです(笑)
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*Comment

 

おや、七夕ネタですねー!
一風変わったリアルにありそうなドロドロ感と思いきや、
デジャヴ氏節のピュアな面がきちんとあってホっとしましたww
珍しいパターンなので驚かされました!!

しかし女の子の心って複雑なものですね・・・。
野郎の私には難しいことですが勉強になります^^;
  • posted by takeshifarm 
  • URL 
  • 2014.07/09 00:56分 
  • [Edit]

Re: takeshifarmさんへ 

コメントありがとうございますー!!

一年に一度しか会えないなら、浮気もばれませんよねー(。-∀-)
というのが頭にあったんですよねぇ。笑
女の子ってピュアに見えて、ドロドロしてんですよ。怖いくらいw
そういうドロドロを書くのがけっこう好きだったりします♪
負の感情を描く時が、一番イキイキしてるかも(笑)
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2014.07/09 12:20分 
  • [Edit]

 

大人の七夕ですねー。
嫌な奴なのに、なんか、そういうことされると
私も来年を期待してしまいそうです(笑)

でも、もう、彦星も卒業かな?

デジャヴさんらしい、大人っぽい素敵なお話でした!
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2014.07/09 15:03分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

コメントありがとうございます^^
凝ったストーリーじゃなくて、ごめんなさいw

遠距離だと浮気できるよなぁ、
しかも一年に一度しか会わないなら、
ばれないよなぁって思ったのが
この作品を書くに至った理由です。笑
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2014.07/10 12:01分 
  • [Edit]

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