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夏のスズラン 05

 清次郎の部屋はシンプルだった。
 ベッドに机に、小さな本棚。
 本棚には同じ名前の作家しか並んでいなかった。この作家のファンなのだろうか。
 じーっと見ていると、部屋の扉が開いた。

「その人、あんまり本を出さないんだ。でもすごく考えさせられる内容を書くから」

 清次郎はペットボトルとコップを机に置きながら、「待ってしまうんだ」と言葉を落とした。
 ひかりは清次郎から目を離し、本棚を見る。

「静寂は青く。愛染。彼女の欠片……これって全部、恋愛小説ですか?」
「恋愛小説とはまた違うかも。恋愛要素ももちろんあるけれど、人間のさがみたいなものがメインかな」
「ふぅん」

 清次郎がベッドに座り、その横を叩く。
 おいで。そう言っていた。
 ひかりははにかみながら、清次郎に近づき、座った。
 清次郎はひかりに触れようとはせず、脚を組んで、後ろ手で身体を支えた。
 天井を見つめながら、清次郎が言った。

「俺は、ひかりを大事にしたいと思ってる」
「はい」

 気恥ずかしさに、ひかりは唇を甘く噛みしめ顔を逸らした。
 清次郎は気にすることなく続けた。

「ひかりに嫌われたくないから、ひかりの希望には応えられない」
「えっ」

 反射的に清次郎へと顔を向けた。
 ふわりと唇に柔らかな感触が広がる。
 目をみはったまま固まるひかりに、清次郎は真っ直ぐ見つめた。

「ひかりが、オープンキャンパスに来たときから様子がおかしいことは気付いてた」
「せんぱ」
「ごめん。これ以上のことはまだ出来ない。
 俺だってまだ子供だから、そういうことが出来ないんだ。
 夢だけを見ていたら現実で痛い目を見る。だから、出来ない。
 ひかりとの将来を見たいから、大切だと思うから」

 清次郎の声が止まる。
 ひかりがクスクスと困ったように笑っていたからだ。

「もう……ばっさり斬らないでくださいよ」
「ごめん、そんなつもりじゃ」
「乙女の夢を木っ端微塵にしてしまう先輩って、最低ですよ?」
「ごめん……」
「すっごく子供っぽいです。好きな子に嫌がらせする男の子みたい」
「……すごい言われようだな」
「ええ、それだけ罪深いことです。私を怒らせたんですから」

 けれども、ひかりは笑っていた。
 自分で口にした通り、清次郎にはばっさり言葉で斬られた。
 傷ついた。正直ショックだった。
 でも、それと同時に清次郎の本音が聞けて、嬉しかったのも事実。

「先輩、それじゃモテませんよ? 私が彼女で良かったですね」
「うん」

 すんなり頷く清次郎にひかりは呆れ半分に笑った。




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*Comment

 

おおーデジャブさん復活じゃないですかー!!

ひかりちゃんが完全に攻勢ですね☆
「先輩、それじゃモテませんよ? 私が彼女で良かったですね」
控えめ気質だったような気がしましたが、成長しましたねぇ!!

清次郎くんのマイナス思考をガンガン打ち砕いて下さい^^



  • posted by takeshifarm 
  • URL 
  • 2014.03/25 17:45分 
  • [Edit]

さりげないキスが素敵。 

今、小説を読めない頭なんですが、
2話から続きが気になって、一気に読んでしまいました。

さすが、慎重派な清次郎さんです。
でも、それだけひかりを大切に思っているんだなというのが伝わってきます。
いいなあ。いいカップルだなあ。
1年の差は、やっぱり、大学4年生と社会人というところでも
大きくなってしまうと思うのですが、
この二人はこのまま幸せになって欲しいです。
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2014.06/13 22:44分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

> 今、小説を読めない頭なんですが、
> 2話から続きが気になって、一気に読んでしまいました。
ありがとうございますっ!!感激です!!


> さすが、慎重派な清次郎さんです。
清次郎はバカみたいにお堅いです。笑
ひかりの方がお盛んです。肉食系女子です、清純な彼女はどこいったww
しばらく、ひかりはなまごろし状態でしょうね。
学生の頃はたった一学年違うだけで遠い存在に感じる、これ不思議(℃_゜)
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2014.07/08 14:18分 
  • [Edit]

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