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ビー玉色の思い出 28


 短冊をびりびりに破かれ、失意の底に沈む少年が居た。

 賢吾けんごは落ちる涙の冷たさに身を震わせた。

 猛に破かれた短冊の切れ端は、賢吾の手の中で浮き上がり、夏風に揺れて吹き飛んだ。
 心がバラバラになった気分だった。

「お父さんとお母さんと一緒に居られますように」

 賢吾は言葉に出来ない思いを、短冊に込めていた。
 文字におこしてしまったら。それを両親が見てしまったら。
 きっと思いつめるに違いないと思った。悲しい目をするだろうと思った。
 お金がないと生活ができない。
 子供でもそんなことは分かっていた。だから何も言えない。
 だから言葉にしてはいけない。
 でも、見えない神様にすがるほどの強い願いでもあった。

 どうか、どうか。

 神様、ボクの願いを叶えて。

 どうか。

 どうか。

 賢吾は奥歯を噛みしめ、まぶたをぐっと閉じた。
 両頬を滑る涙。

 そんな時だった。


 不思議な風を感じた。
 甘い花の香りをいっぱいに含んだ風が、背中の向こう側でふくらんで弾けた様だった。
 ぶわっと薫る。

 振り返ると二人の少年が立っていた。
 和装の少年たちだった。
 年のころは自分と変らないだろう、その少年たちは賢吾を見つめていた。

 さっきまで人の気配なんてなかったのに。
 呆然とする賢吾に少年二人は顔を見合わせ、一方はふっと笑い、一方はうなだれた。

「風介、こいつ見えてるみたいだ」
「だから近づくのは止めようって言ったんだよ。ああ……父上に怒られる」
「こいつが呼んだんだよ。俺らのせいじゃない」
「そんな言い訳、父上に通用しないってば。雷太は父上のことをちっとも分かってない」

 雷太と呼ばれる少年が、困ったように笑って賢吾をちらりと見た。
 風介も呆れの表情を滲ませながら、つられるように顔を持ち上げ、賢吾を見た。

「で、お前悔しくないの?」
「で、君は悔しくないの?」

 声を揃えて、そう訊かれた。
 賢吾は突然のことに目を瞬き、唇を震わせた。
 雷太という少年は足元に流れてきた短冊の切れ端をつまみ上げ、目を細めた。

「お前の感情が流れてくる」

 風介という少年も足元に流れてきた短冊の切れ端を、優しく一枚一枚拾い上げ、目を伏せた。

「君も、なんだね」

 なぜ二人が切なそうにするのか、賢吾には理解できなかった。
 それなのに、なぜだろう。

 胸に熱いものが込み上げてくる。
 目の奥がじんわりと熱くなる。


「辛いよな。悲しいよな」
「こんなに強い願いを、引き裂かれて」

 堰を切ったように、賢吾は泣き出した。
 
「うぅ……」

 少年二人は賢吾が泣き止むまで、隣に立っていた。
 なぜかは分からない。
 けれども、彼らのまとう雰囲気からは優しさを感じた。



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お久しぶりです。
久しぶりの更新です。
内容が飛びかけてて、読み返すのに必死でした。
ちょこちょこ更新していこうと思います。
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