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【恋愛】 幸福の再来~白い蕾をつける花~  14

 放課後の図書室は静かだ。
 そして、暖房をきかせた図書室には生暖かな空気が漂っている。
 清次郎は人目につきにくい席につき、突っ伏していた。
 だらしなく伸びた腕、手元に放置された眼鏡。

 思考を鈍らせる空気に目を伏せまどろんでいると、隣の椅子が引かれる音がした。
 人の気配に目をわずかに開け、顔を上げると。

「勉強はいいんですか?」

 くすくすと忍び笑いをする千里ひかりが居た。
 髪を解いたのか、彼女の肩口に黒髪がさらりと流れた。
 清次郎はぼやける視界を定めようと、目を細めた。
 清次郎の視線に千里ひかりは、ああ、と視線の意味に気付いた。

「ゴムが切れちゃったんです」

 清次郎は眠り眼で、千里ひかりの髪に手を伸ばした。

「あとがついている?」

 するりと指に絡む髪。
 千里ひかりはされるがまま、清次郎が辛くないようにと、そっと身を寄せた。
 ゆっくりと隣の席につき清次郎の前髪に触れた。

「会長も、あとがついてます。お揃いですね」
「そうだな」

 清次郎は穏やかに微笑み、身を起こした。
 互いに手を引き、けれど、どこか惜しそうに視線を落とす。

「眠い……」
「寝起きですもんね」
「……ふあ……」

 清次郎は伸びをしながらあくびをする。
 いつもの、あの堅苦しい清次郎の姿からは考えられない気の緩めように、千里ひかりは目を丸める。
 清次郎はあくびの後、そのまま流れるように千里ひかりの肩に頭を乗せた。
 千里ひかりは驚いたように身を固めた。

「あ、あの」
「考えてくれた?」

 秘め事のように、清次郎は声を落とした。
 千里ひかりの、息を詰める気配を感じた。

「俺は、好きだよ。千里ひかりが、好きだ」

 彼女の緊張が、制服を通して伝わってくる。
 熱く震える息も、鼓動も感じる。
 清次郎は動くことなく、視線も上げることなく、どこともない場所を見つめながら言葉をつむぐ。

「俺にとってのスズランは、君だった。幸福を呼んでくれたのは、ひかりだった」
「え……」
「君が俺を見上げていたように、俺も君をあの教室から見ていた。
 楽しそうに、幸せそうに、花壇の手入れをする君を見ていると心が落ち着いた。
 疲れた時、外を見ればいつでも君がそこに居た。驚くほど、毎回」
「それは私が……馬鹿みたいに、通っていたから」

 気を落とす声に、清次郎は目を伏せた。
 そうではない。そんなことを言わせたいわけじゃないと、彼女の手を繋ぐ。

「だから、自然と君を探した。
 全校集会の時、廊下を進む中、無意識に君の姿を探していた。
 君を知りたかった。どんな名前なのだろう、どんな声なのだろう。
 どんな風に友人たちと話すのだろう。そんなことばかり考えながら、俺は君を想っていた」

 絡ませた指先を持ち上げ、彼女の細い指先を己の唇に寄せる。
 千里ひかりは熱っぽい吐息をもらし、目を逸らした。

「こんなことをしたいと、平気で妄想していた。この、俺が」
「会長……」
「幻滅した?」
「そんなことっ、そんなことありません!」

 いきなり声を上げる千里ひかりに、清次郎はさっと身を起こした。
 彼女の唇に指を添えて、静かにさせる。そして、そのまま問う。

「そう? 気持ち悪くない?」

 千里ひかりは、唇に当てられた指に手を添え、口付けするように目を閉じた。
 そして、ゆっくりと目を開けながら、答えを返す。

「そんなこと、絶対にありません。私は会長が好きです。会長だから、嫌じゃないんです」
「俺も、ひかりと同じことを思うよ」

 千里ひかりは目を瞬く。

「ひかりは、自分がいかに気持ち悪いか泣きながら教えてくれたけど、
 俺からすれば、今ひかりが言ったことと同じ気持ちだった。
 ひかり以外の女の子からされたら、どう思うかと訊かれたら分からないけど。
 もしかしたら……。でも、俺はひかりだから許せる。受け入れられるよ」
「会長」
「両思いだって知ったらやっぱり諦めきれない、だろ?」
「はい……」
「最初から答えは分かってたんだ。ただ覚悟を決められなかっただけで」
「はい……」
「悩ませて、ごめんな」
「いいえ。これほど真剣に向き合ってくれるのは、会長だけですから」
「念のために訊くけど、付き合ってくれるのか?」
「もちろんです」

 千里ひかりがはにかむと、清次郎はふっと息をもらし、椅子の背もたれに身を投げ出した。
 唐突な行動に千里ひかりは目を白黒する。

「か、会長っ!?」
「慣れないことはしない方が良いって、身をもって知ったよ。久しぶりに緊張して疲れた」

 あぁ、と深いため息をついて天井を見上げる清次郎。
 千里ひかりは愛らしい忍び笑いで、言った。

「せっかく貯めた幸せが飛んでいっちゃいますよ?」
「それなら」

 ばっと体を起こして、千里ひかりの肩を抱く。

「俺のスズランから幸せを貰えばいいだけ」
「えっと」
「それから、キスの後は名前で呼ぶように。最後の会長命令」




☆END☆

お疲れ様でした、そして最後まで読んで頂きありがとうございました。
『幸福の再来~白い蕾をつける花~』はいかがでしたでしょうか。
また、短い話なのに、更新が不定期で申し訳ありませんでした。

最後の展開は、想像にお任せいたします(笑)

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*Comment

No title 

きゃあーヽ(*´∀`)ノ

もう、きゃあーヽ(*´∀`)ノしか言葉になりません!

うわ~このカップルいいなあ。

最高の最終話をありがとうございました!

私、書き出しは勝手に書けるんですけど、
終われないんですよw

こういう素敵な最終話、書いてみたいです。

なんか、その後(大学生と高校生)も読んでみたいです。
と、どさくさに紛れてリクエストする(笑)
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.11/20 12:14分 
  • [Edit]

Re: Sha-Laさんへ 

こんにちは( ´ ▽ ` )ノ
訪問、コメントありがとうございます!

> もう、きゃあーヽ(*´∀`)ノしか言葉になりません!
楽しんで頂けてなによりですっ!

> 最高の最終話をありがとうございました!
こちらこそ、最後まで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

> 私、書き出しは勝手に書けるんですけど、
> 終われないんですよw
その気持ち分かりますw
私も終わってないのが、ありますから\(^o^)/

> なんか、その後(大学生と高校生)も読んでみたいです。
> と、どさくさに紛れてリクエストする(笑)
妄想が形になったら、リクエストにお応えしたいと思います(笑)

改めまして、最後まで読んで頂きありがとうございました!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.11/20 16:38分 
  • [Edit]

No title 

お疲れ様ですこんにちは。

『幸福の再来~白い蕾をつける花~』、無事の完結おめでとうございます。そしてお疲れ様でした☆
私にとっては遠い過去となった学生時代、そして縁の無かった甘く切ない青春模様に、デジャヴ様の素敵な物語は眩し過ぎました(笑)。

これからも沢山の素敵な物語を期待し影ながら応援しておりますので、頑張って下さいませ。
  • posted by 月華@ 
  • URL 
  • 2013.11/21 20:45分 
  • [Edit]

Re: 月華@さんへ 

こんにちは!
訪問、コメントありがとうございます♪

私も、こんな甘酸っぱい恋を学生時代に送りたかったです(笑)
私は男子と対等でありたい、猫を被りたくないと思っていたので、
クールなイメージで通っていました。
そのためか、まったく色恋沙汰に発展しなかったんです><


> これからも沢山の素敵な物語を期待し影ながら応援しておりますので、頑張って下さいませ。
温かいコメントをありがとうございます!
少しでも楽しんで頂けたら、幸いです。
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.11/23 15:04分 
  • [Edit]

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