FC2ブログ

すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Entries

【恋愛】 幸福の再来~白い蕾をつける花~  08

 清次郎は目を丸めた。
 胸騒ぎのような、今まで感じたことのない心臓の動きを感じた。
 口の中に入ってくる“空気”が重い。
 この教室に満ちる空気は変らないはずなのに、飲み込み、喉元を過ぎる“空気”は重かった。
 初めての状況に、いつもは冷静な頭がフリーズしていた。
 

 千里ひかりは、人の心の気配にさとかった。
 弾かれたように立ち上がり、胸元でぎゅっと手を握った。
 手の中に納まるカイロが、かしゃりと乾いた音を立てる。

「ご、ごめんなさい! おかしなことを言いました。忘れて、ください……」

 清次郎は「あ、いや」と言葉をにごす。
 彼女が悪いわけではないのに。
 必死に謝ってくる姿に気まずさを覚え、あまり頭を使わずに声を出していた。

「君が代わりに誘ってくれると助かる」
「え……」
「俺が誰かを昼食に誘うのは性に合わないというか、格好がつかないというか。
 人には得手、不得手というものがあると思うんだ」


 千里ひかりは、きゅっと唇を結んでうつむいた。
 細い肩を震わせ、ますます縮こまってしまった。
 清次郎は口を押さえて、「まずった」と内心嘆息した。
 誤解されている気がする。
 千里ひかりの横にそっと並び、わずかに顔を覗き込む形で続けた。

「ごめん、拒否したわけじゃないんだ。それだけは分かってほしい」

 ふと顔を上げた千里ひかりと、視線がぶつかる。
 千里ひかりは桜色の唇を震わせ、か細い声で言った。

「一緒に、お昼ごはんを食べませんか」

 精一杯だと言わんばかりの瞳を向けられる。
 たった一言にどれだけの緊張が詰め込まれているのだろう。
 清次郎は苦笑することで答えを返した。

「あの……」

 千里ひかりが納得した様子を見せなかったので、頷き返した。
 すると彼女は、ほっとしたように息をついた。


「男子に今の誘い方はしないほうがいい。きっと勘違いされてしまうから」
「勘違い、ですか」
「たぶんな。俺はそういうことに疎いから何とも言えないけど」
「じゃあ、会長の前だけにします」

 清次郎はまた目をみはった。
 副会長が言った「天然」の意味が分かった気がする。

「俺も、二度目は心臓がもたない気がする」



<ブログトップへ戻る>
次≫【恋愛】 幸福の再来~白い蕾をつける花~  09
スポンサーサイト



*Comment

心理描写が素晴らしいです! 

読んでいて一瞬で物語の世界に引き込まれました。
空気感が凄い!
あえて簡潔な文体を用いることで、作中の人物と読み手を一体化させていくテクニックに酔えます。
ここまで読んだら、後は読まずにいられない!
続きを楽しみにしています^^
  • posted by エンジェルズアイ 
  • URL 
  • 2013.09/30 01:18分 
  • [Edit]

No title 

朝から更新幸せ~ヽ(*´∀`)ノ

きゃああ。きゅんきゅんしますね。青春ですね。
「天然」だというところがいいですね。
これが魔性の女じゃなくて(笑)
かわいいかわいいヽ(*´∀`)ノ
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.09/30 07:34分 
  • [Edit]

Re: エンジェルズアイさんへ 

こんばんは^^
温かいコメントに励まされます。
とても嬉しいお言葉でしたっ(>_<)

> あえて簡潔な文体を用いることで、作中の人物と読み手を一体化させていくテクニックに酔えます。

ブログで小説を掲載するとなると、
簡潔な文体の方が読んでもらいやすいだろうと思い、
あえて短く短くしています。
効果があるかどうかは分からないけれど(笑)

リンクの件、ありがとうございました♪
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.10/03 22:55分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

こんばんは^^
訪問、コメントありがとうございます♪

はやく付き合っちまえよ、と作者は思うております(笑)
天然に振り回される男子、という設定が好きですw


  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.10/03 22:57分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

カウンター

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ  

FC2Blog Ranking

ワンクリックで応援お願いします!

最新記事

プロフィール

デジャヴ

Author:デジャヴ


二次創作小説・オリジナルファンタジー小説を書いています。訪問して下さった皆様に少しでも楽しんでいただけると幸いです。

恋愛小説サイト『恋砂糖*ひと匙』も運営中


【補足と注意】

・過度な性描写・暴力シーンはありません。

・原作キャラでの同性愛は一切書きません。

・コメント、感想はありがたく頂戴いたします。誹謗中傷やマナーのないコメントは受け付けません。

・当ブログを利用するにあたり、一切の責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。

・小説、イラストともに転載・複写×
著作権は放棄しておりません!

以上の点をご理解いただけますことを心よりお願い申し上げます。まだまだ不慣れですが、温かく見守っていただけると幸いです。

右サイドメニュー