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すっごくRPG!!

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社交場の遊戯 

「なぜ、ドレスではないのだ?」

エリス王妃の呆れと驚きが入り混じった表情。

ケイトは目を逸らしつつ乾いた笑い声で応えた。
エリスの目の前には、男性用の貴族服を身につけたケイトがいた。貴族の娘たちから、羨望の眼差しを向けられているとも知らずに、ケイトは居心地悪そうにパーティーホールを見渡していた。

レムオンは頭痛を感じながら事の詳細を語った。

それは昨日のこと。
パーティーに出席するにあたって、テーブルマナーを教えていた。
何度か練習をしてから本番用のドレスで試してみた。
シルクの、スベスベとした生地の手袋で、ぶどうジュースの入ったグラスを掴んだ。

瞬間――――「あっ、やべっ!」 となったのだった。
代えのドレスでの出席を断った。
なんとしても踊りたくないというケイトなりの抵抗だったのだ。

エリスは呆れ返った声で「そうか」と言った。
しかし、咎めはしなかった。

「男装の麗人、とはお前のような者を言うのかもしれないな」

と感想を述べて終わった。
内心ホッと息をつくが、レムオンには見透かされているらしく。
じっとりとした視線を感じた。

「だって、踊りたくなかったんだもん……」
「言い訳など聞きたくない。まったく何のためにお前に稽古をつけたと」
「まあまあ、兄さん。ケイトの晴れの舞台なんだから、あまりプレッシャーをかけないであげて」

エストのフォローに安堵する。
レムオンの挨拶回りに引っ付いて、媚びた笑みを浮かべ続けてしばらく経ったときのこと。
そろそろ解放してほしいと願っていたところに、ホールに手を打ち鳴らす音が響いた。
一斉にみながエリスの方へと注目した。

「今宵、ひとつのゲームをいたしましょう。ゼネテス」
「はっ」

エリスのそばで控えていたゼネテスが礼をする。
そばにいたティアナ王女が「あの方が……珍しい」と呟いた。

「そこにいるノーブル伯とゼネテス、どちらが強いか賭けをいたしましょう」

ケイトはうんざりとした顔で、口を「へ」の字に曲げた。
また面倒なことに巻き込まれそうな予感。
レムオンが涼しげな顔で「余計なことを」と小言をもらした。

「ゲームのあとに、ダンスをいたしましょう」
「エリス、どういう意図だ?」

王の咎めるような声に、エリスは口の端をわずかにつり上げた。

「若き勢いは希望です。我々には心強い子供たちがいる。最近ではディンガルの動きが怪しい。しかし、この子達がいれば怖くない。そう思うのです。私たちに希望を見せてくれるわね、ゼネテス」
「お望みであれば」
「ノーブル伯はどうだ?」

貴族の視線を受けて、ケイトは慌てた。

「私は剣を携帯しておりませんので――」
「使え」

差し出したのはレムオンだった。
胸倉を掴んでやりたくなったが、寸でのところで抑えて拳を震わせた。

(裏切り者!!)
(仕方ないだろう。エリスは俺に喧嘩を売ってきたんだ)
(は?)
(エリス側が強いのか、俺の方が強いのか。この場で目に見える形で証明しようとしている)
(考えすぎだろ。だったらなんでレムオンじゃないんだよ)
(俺の面目を潰すほど本気じゃないんだろう。あくまでもゲームだ)

「どうした? ノーブル伯」
面倒くさいけど、お受けします」
「そうか。では」

エリスは満面の笑みを浮かべた。

「ノーブル伯が負けた場合、ティアナのドレスを着用しパーティーに出席することとしよう」
「げっ。しょ、承知いたしました」
「ゼネテスが負けた場合は、どうしようか? ノーブル伯が決めて良い」

ケイトはレムオンをちらりと見た。
なんだ、と小首を傾げるレムオン。
その次にティアナを視界にとめて、再びレムオンに視線を戻す。
にやっと笑う。

「私が勝ちましたら、今日一日、ゼネテス様とダンスを踊る権利をくださいませ」
「よろしい」

ゼネテスはいたずらな笑みを浮かべ、ケイトの意図を読んだようだった。
レムオンはわずかに顔を赤らめて、ケイトを睨んだ。
ケイトは小鼻を広げて笑った。

「ざまあみろ」
「どうせ勝てやしない」
「言ってろ。勝って泣いて喜ぶのは、アンタだ」

悪態をつき、ケイトはホールの中央に進んだ。

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*Comment

 

ダンスは衣装が汚れるとそれだけで出るのを中止になったりしますからね。
特にそれが花形だったりすると、延期になったりしますからね。
しかし、どのみち貴族だったら、そういう社交界のダンスに参加せざる得ない状況はやってきますけどね。
貴族はそういう社交界に出ることで、政治や経済の状況を把握しなければなりませんからね。そして、その知識を元に政治家や官僚になって国家を動かす存在にならないといけないですからね・・・ってそういう話ではないですね。
  • posted by LandM 
  • URL 
  • 2012.11/08 14:47分 
  • [Edit]

Re: LandMさんへ 

> ダンスは衣装が汚れるとそれだけで出るのを中止になったりしますからね。
> 特にそれが花形だったりすると、延期になったりしますからね。
> しかし、どのみち貴族だったら、そういう社交界のダンスに参加せざる得ない状況はやってきますけどね。
> 貴族はそういう社交界に出ることで、政治や経済の状況を把握しなければなりませんからね。そして、その知識を元に政治家や官僚になって国家を動かす存在にならないといけないですからね・・・ってそういう話ではないですね。

訪問&コメントありがとうございます!!

貴族が集まるってだけで意味合いが深いと言いますか、意義あることですよね。
だからこそ、嫡子や令嬢たちは幼い頃から、
お稽古や座学に励まねばならないんでしょう。

私が興味あるのは男性貴族よりも、
令嬢たちの、宮廷サロンや後宮の話が好きだったりします。
ってそういう話ではないですよね。

今回は『ベルサイユのばら』をイメージしていたので、
男装の麗人を出してしまいましたw

また暇なときにでも読みにいらしてください。
ありがとうございました♪
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.11/08 23:29分 
  • [Edit]

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