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ダンスレッスン (1) 【ケイト×レムオン】

「へたくそ」

レムオンの容赦のない一言。

「これが俺の妹だと思われるのか。最悪だな」
「へっぴり腰」
「リズム音痴」
「平衡感覚はあるのか?」

王宮で社交パーティーがあるためケイトはダンスレッスンの真っ最中だった。
エリス王妃からの招待状が届き断るわけにもいかず、
こうしてリューガ家執事のセバスチャンに助けてもらっている。
のだが、ケイトはそれを今たった放棄した。
ケイトはセバスチャンの手を振り払って、窓辺に手をついた。

うっせえ奴……
「なにか言ったか? ケイト」
「いいえ、なにもありませんわ。お兄様」

偽りの兄妹は満面の笑みを浮かべつつ、火花を散らしていた。
セバスチャンは苦笑しつつ、ドレスに身を包んだケイトの前に跪(ひざまず)いた。

「今一度、踊っていただけますか? ケイト様」
「ごめんなさい。迷惑かけて」

ケイトは肩を竦めながらセバスチャンの手を取った。

ソファにふんぞり返って座るレムオンとは違い、セバスチャンはずっと気遣ってくれている。
リューガ家の当主がセバスチャンで、セバスチャンが兄だったらもっと忠誠心が沸くのに。

「セバスチャンのエスコートがあってもこれじゃあな。生粋のへたくそだな」

(こいつ……!!)

「ケイト様」
「はっ、はい! ごめんなさい!」
「ああ。いいえ、そうではなくて」

恐縮したままのケイトの腰を強く支えて、手を握る力も更に強めるセバスチャン。
微笑む姿はまるで王子様のようで見ているこっちが惚けそうだ。
ますます、この人がリューガ家の当主だったらと思ってしまう。

「ケイト様は緊張し過ぎなのです。もっと身体の力を抜いて。もっと私に身をゆだねてください」
「でも、アタシ……こんなに男の人と密着するの、初めてで」

かっと赤くなるケイトに、セバスチャンはくすぐったそうに笑った。

「わたくしめを男として意識していただけるなんて」
「フッ。それなら都合がいい。もっと意識しろ。恋でもすれば、このじゃじゃ馬ぶりも少しは落ち着くだろう」
「喧嘩を売ってらっしゃるの? お兄様」
「喧嘩を買えるほどの身分か? まともにダンスだって踊れやしないのに俺を見下そうというのか」
「レムオン様、大人気ないですよ」

レムオンの舌打ちに、ケイトは「ざまあ」と皮肉った笑みを浮かべた。
セバスチャンは「はあ」と肩を落とし、ケイトの耳元に唇を寄せた。

「私に集中してください、ケイト様」
「はっ、はい!」

それから10分ほど踊ったが、セバスチャンの足を踏まないようにと意識するばかりで、優雅さはちっとも身に付かなかった。ティアナならもっと優雅に、美しく、踊れるだろうに。
頭のなかで踊るティアナを想像し、それをなぞってはみるけれど、近づけなかった。

(所詮、アタシは田舎者、か……)

自嘲の笑み。
同じ女であるはずなのに、ティアナに少しも近づけない。
きらびやかなドレスも、艶めく靴も、シルクの手袋も。
全部、取って着けたような、ほんとうのお飾りのような。

ケイトはステップを踏む足を止め、セバスチャンの手から逃れた。
シルクの手袋を取り、レムオンの前に立つ。

「ん? もう音を上げたのか」

ケイトは思い切り手を振り上げ――――シルクの手袋をレムオンの顔に叩きつけた。

「ぶっ――貴様っ!!」
「どうせ田舎者だ……貴族の一員にはなれねーよ! 馬鹿!!」

レムオンは面食らったように動かなかった。
ケイトは部屋を飛び出し、リューガ家からも出て行った。
ドレスのままであることも忘れ、走りにくさにもがきながら、スラム街へと向かった。

酒でも呑まないとやってられない! 酒は、呑めないけれど。

真昼間の酒場に訪れると、ゼネテスとマスターが目を丸めた。

「おお? へんちくりんな格好だな、ケイト」
「……へんちくりんで悪かったな。どうせ田舎者には似合わねーよ」
「そうじゃねーよ。スラムには合わないだろ、その格好はよ。連れ去られちまうぞ」
「腕の一つでもへし折ってやるよ」
「言うねぇー」

ゼネテスはククッと笑い、イスを勧めた。
マスターは気を遣っていつもの紅茶を用意してくれた。
こっちの方が居心地がいい。
自分はこっち側の人間なんだと思い知らされる。
どうやっても、レムオンやティアナのいる方へいけない。

「もうすぐだな。パーティー」

ゼネテスが呟き、ケイトは紅茶に口をつけながら視線で答えた。

「ダンスレッスンしてるんだって? ククッ」
「笑うな」
「泣きそうな顔して飛び込んできたお前が悪い。レムオンに叱られたか?」
「そうじゃ、ないんだ。あの人の悪態は可愛いもんだよ」
「ほお」
「……ティアナと比べたら、さ。なんだか情けなくなっちゃって」

ゼネテスとマスターは顔を見合わせ小首をかしげた。
ケイトは頬に落ちる髪を耳にかけて、頬杖をついた。

「比べたら、失礼なんだけどね。同じ女で、似たようなドレス着て。でも、外面だけ繕ったって意味ない。ティアナみたいにはなれない……見た目もきれいじゃないしさ。な、なーんて、柄にもなく落ち込んでみたりして!」
「俺は、驚いたけどなぁ」

ゼネテスが言い、マスターも頷いた。

「おう。俺はオヤジだけどよ、ひさしぶりにドキドキしたぜ?」
「は?」
「似合ってるぜ、ドレス。化粧もして、べっぴんさんだ」

目を細めて、愛おしそうに笑うゼネテス。
ケイトは手の甲を額にあてて、「あ~あ」とため息をこぼした。

「アンタらに慰められるなんて」
「本心だけどな? な、オヤジ」
「おう、もちろんだ」
「クッ。よく言うよ。でもま、慰められたのなら元気を出さなきゃだね。
 帰るよ。ああ、紅茶代はゼネテスのおごりで、ね?」
「ちゃっかりしてんなぁ」

ゼネテスはケイトの額を小突き、優しく見送った。
ケイトは出る直前で振り返り、言った。

「出てくるときにさ!」
「あ?」
「レムオンの顔面に手袋を叩きつけてきちゃった! 帰ったら殺されるかな!?」
「ぶふっ」

ゼネテスとマスターは腹を抱えて笑った。
先輩冒険者は手をひらひらと振る。

「ああ見えて、弟や妹には弱い奴だ。許してくれるだろうよ」
「そう? じゃあね、バイバイ」

リューガ家へ帰ると、セバスチャンにこってり絞られたのか、レムオンがばつ悪そうにケイトを出迎えた。
レムオンは嫌々ケイトのレッスンに付き合っていた。
「嫌ならやんなよ」と散々言い募ったのだが、レムオンは「うるさい」と言うだけで取り次がなかった。

(……少しは気にかけてくれてたのかな……。だったら、すこし嬉しいかも……)

レムオンの罵声を浴びながらもなんとか形にしたケイト。
精神的にも、肉体的にも疲弊したケイトはソファに横たわる。

「はあ、これで安泰だ」
「はあ?」
「セバスチャンに、今日中にケイトを仕上げないと、俺を叩き出すと脅されたんだ」
「はあ!?」
「……良かった。ああ、ほんとうに良かった……」

良かった、良かったと呟きながら部屋を出て行くレムオン。
ケイトはクッションを抱きしめてうめいた。

「あいつ、マジでムカつく!!」




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*Comment

 

ダンスは手ほどきが大切ですよね。リズム感も大切ですし、小さい頃からやっているか、あるいは天性か。あるいは相手が恐ろしいほど上手であれば、初めから踊れる方もいらっしゃいますけどね。
どうも。初めましてです。場末でファンタジー小説を書いているLandMです。ファンタジーを書いているので、また読ませていただきますね。
  • posted by LandM 
  • URL 
  • 2012.11/02 20:45分 
  • [Edit]

Re: LandMさん 

> ダンスは手ほどきが大切ですよね。リズム感も大切ですし、小さい頃からやっているか、あるいは天性か。あるいは相手が恐ろしいほど上手であれば、初めから踊れる方もいらっしゃいますけどね。

コメントありがとうございます^^
踊って見つめあったほうが、ロマンチックではあるんですけどね(笑)
農民出身のケイト(主人公)にとって初の試みなので、踊れちゃまずいかなと思って。
「足を踏む」はどうにもベタ過ぎて回避しました(苦笑)

> どうも。初めましてです。場末でファンタジー小説を書いているLandMです。ファンタジーを書いているので、また読ませていただきますね。

初めましてです^^
暇なときにでもちら~と見てやってください(o゚c_,゚o)
ありがとうございました!!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.11/02 21:23分 
  • [Edit]

こんばんわ♪ 

こんばんわ♪
お話とても素敵&面白いです!
「黄金畑」スタートは何週もしていたので、思わずニヤニヤしちゃいますね(/ω\)
違うスタートだった場合、レムオンと会う為に街道を何週間もうろうろしたのは良い思い出ですw
  • posted by kaorin114 
  • URL 
  • 2012.12/01 19:58分 
  • [Edit]

Re: kaorin114 へ 

こんばんは、kaorin114 さん^^

訪問&コメントありがとうございます!
面白いと言って頂けるとは、涙が出るほど嬉しいです><
これからもそのお言葉をいただけるよう、精進してまいります!!

「黄金畑」スタートは本当にニヤニヤしちゃいますよねw
私、何回このスタートを選んで、何度レムオンエンドを迎えたんだろう。
ロストールラブです、はい(笑)

リクエストなどがあれば、いつでも受け付けておりますのでお気軽にどうぞ♪
本当にありがとうございました^^
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2012.12/01 20:27分 
  • [Edit]

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