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すっごくRPG!!

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#1 彩夏







 ようやく一息ついた気分だった。
 
 わたしがぽつりと吐き出したため息につられ、隣に並ぶ友人たちも小さく息をついた。

 わたしと、六花と瞳子と七海。
 わたしたちは一年三組の教室に集まり、窓辺に並んで、窓の向こうに見える玄関を見つめていた。

 今日は、卒業式だった。

 わたしには関係のない、学校行事。関係ないのに、強制参加させられ、校歌を初めとする、渋い歌を歌わされる。卒業生が並ぶ場所から、すすり泣く声が聞こえてきて少しだけ笑えた。
 なにがそんなに悲しいのだろう。
 雰囲気に呑まれて泣いているだけで、どうせ。


「わたしたちもいつか、バラバラになるのかな」

 瞳子が呟いた。
 六花が、鼻先で笑った。

「なに浸っちゃってるの」
「浸ってなんかいないもん」

 瞳子は目線を落として、伏せ目がちに、言葉を続けた。

「だって思うでしょう。卒業式なんだもん。入学したのがついこの前みたいに感じているのに、もうすぐわたしは二年生になって、きっと二年生になったらすごく楽しくて、気が付いたら入試を控えている三年生で。きっとあっという間に卒業式になっているんだろうなって。あそこに居るんだろうなって」

 瞳子はまた玄関に目を戻して、まっすぐに見つめていた。

「その日、わたしは彩夏ちゃんと、りーちゃんと、みっちゃんの隣に居るのかな」
「なにそれ。今際の言葉みたいなセリフ。やっぱり浸ってるじゃない」
「もう!」

 ぷりぷりと怒り出す瞳子を六花はいじり続ける。
 そんなやり取りの横で、七海はずっと玄関を見ていた。

 七海はいつも静かだった。
 バドミントン部に所属するような体育会系なのに、物静かで、多くを語らない。
 七海のまとう雰囲気もあるけれど、わたしたちより頭一つ高いから大人びて見える。

 性格的にも、わたしよりずっとずっと大人、だと思う。
 だから、七海の考えていることはいつも見えてこない。
 わたしと、六花とは違う世界に居る。

「七海?」

 わたしが声をかけると、ようやく七海は我に返った。

「うん?」
「ぼーっとしてる」
「少し、疲れたから」
「それだけ? ちょっと深刻な顔してた気がする」
「気のせいだよ」

 そうやって柔らかく笑う。誤魔化されている気がして、あまり気分は良くなかったけど、七海がそう言うのだからこれ以上の追求は必要なかった。
 
 わたしは目を逸らし、窓の前に取り付けられている金属の手すりに腕を乗せた。

 瞳子の言葉に六花は嗤ったけれど、わたしは心がざわめいた。
 未来の、この日までわたしたちは四人で一緒にいるだろうか。
 来年度のクラス替えで別々になったら?
 誰かに彼氏ができたら?
 わたしたちは変らずにいられるんだろうか。
 卒業してバラバラになるのはしょうがない。
 だけど、だけど――心まで離れ離れになるのだろうか。

  

「彩夏、帰るわよ」

 気が済むまで瞳子をいじり倒した六花は、どこか満足そうな顔で言った。
 六花だけが、涼しげな凛とした顔で卒業式を終えていた。
 六花だけはきっと、変らない。
 そんな気がした。
 瞳子も七海も、そしてわたしも変っていくだろうという予感があった。

 でも――六花だけは、昨日も今日も、未来も、変らない。
 
 そんな気がした。



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*Comment

No title 

なんだか、情景が浮かんできて、
アニメ化するとヒットしそうな感じですね!

私は高3の、さらに卒業式でも
「もう会えなくなる」という感傷はなかったですね。
友達が大体家が近かったからかな。
会えなくなっちゃいましたけどね(苦笑)

大学の卒業式では、友達と袴姿の写真を撮り合いながら
「今楽しく過ごしてるのに、もう明日からは会えないんだ…」と
感慨深かったです。

私の感覚が幼いのかもしれない(笑)
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.08/31 13:01分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

訪問、コメントありがとうございます^^


> なんだか、情景が浮かんできて、
> アニメ化するとヒットしそうな感じですね!
嬉しいコメントですっヽ(*´∀`*)ノ

私は卒業式はいつも淡々としていました。
高校の卒業式では体調を崩し、
体育館の上の通路から式の様子を見下ろしていましたw

大学の卒業式では、「よっしゃ、再来週飲みに行こうぜ!」
つって、すぐに友達と飲みに行きましたww
寂しさはなかったです。
普段から一人で行動することも多かったので(←マイペースw)
特別な寂しさはありませんでした(笑)

  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.09/15 21:10分 
  • [Edit]

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