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二章 駿馬、駆ける (4)

 朝が来た。
 地平線から顔を出した太陽は荒廃したシャンデリアを照らした。
 美都はカーテンから漏れる光に目を覚ます。

 眠たげにまどろむ目元をこすり、横で眠る高木の胸に顔を埋めた。
 すると、無意識なのか高木に抱きしめられた。
 美都は高木の胸板に顔を深く埋めて、目を閉じた。

 半分眠ったままの頭で考える。
 今日はガナン帝国の使者が訪れる日。
 目の前の彼は、いったいどんな答えを出すのだろう。

(逃げてしまおうよ。逃げようよ、先輩)

 ベイスには亡命の件を考えておくとは言ったけれど、正直、元の世界に帰ることしか考えていなかった。絶対に高木を元の――こっち側の世界に連れて帰るのだ。
 亡命をするとなれば、しばらくこの世界に縛られるということだ。
 それならいっそ、元の世界に帰るように説得しよう。

(後ろめたいことだけれど、世界よりも、国よりも、権威よりも、私が大事にしたいのは)


 美都は高木の顔を見つめた。
 すやすやと寝息を立てる姿が愛おしくて、ふっと微笑んでしまう。


「先輩、せんぱ~い。朝ですよ、起きてください」
「う、ん……」
「先輩が起きてくれないと私が動けないんですよ」
「知って、る」
「知ってるなら腕をどうにかしてください」


 高木はさらに美都を抱きすくめて離さなかった。
 ここまでされると、さすがに息苦しい。
 それに男の人の腕は重くて、硬くて、時々痛い。

「せんぱ、お、重い」
「どこにも行かせないよ」
「この状況じゃ全然ロマンチックじゃないです」
「じゃあ、こんなのはどう?」


 高木は美都の背中を撫で下ろし、その下へと伸ばしていく。
 ある予感に美都は喉を鳴らした。
 緊張が走った瞬間、高木は手を止めてくっくと笑った。
 頬を赤らめていた美都は目を丸めて、はっと気付く。

「なんてね。しない、しない」
「先輩! またからかった!」
「本気でして欲しかった? わお、朝から大胆」
「そういうことじゃなくて!」


 さっきまで深刻なことを考えていたのに、吹き飛んでしまった。
 この人は怖くないのだろうか。
 先に待ち受ける未来や、現実に恐怖しないのだろうか。

「もう、先輩は!」

 朝からケラケラと声を立てて美都は笑っていた。
 それを愛おしそうに高木は見つめて微笑んでいた。
 
「先輩、帰らないの?」

 美都は素直な気持ちを口にした。
 高木は笑みを固めたまま、口を閉ざした。

「そっか。帰らないんだ……」

 高木が言わなくたって、顔を見ただけで分かる。
 美都は高木の腹の上に乗っかり、高木を見下ろした。

「良いけど……別に良いけどさ。元の世界に帰らなかったら怒るから。
 ちゃんと二人で、帰るんだからね。私一人で帰ることになったら、他の人と結婚して、子供作るんだから」
「あ、それ脅し?」
「そう、脅し。私のこと欲しいって言ったの先輩。だから、他の人に私をあげちゃうの」
「えーじゃあ、頑張るしかないかなぁ」

 高木の手が美都の頬をなでる。
 美都は小さなため息を落として、高木の首筋に顔を埋めた。

「先輩、本気じゃないんだもんなぁ」
「あれ? かなり本気宣言したんだけどな」
「緊張感が足りませんー」
「おっかしいなぁ」


 こんな時勢なのに、おどけた調子は治らないようだった。
 美都はとがめるように高木を睨んで、ほっぺたをつねってやった。




ありがとうございました & お疲れ様でした。

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*Comment

No title 

更新ありがとうございます!ヽ(*´∀`)ノ

美都ちゃんとしては、やっぱり先輩と一緒に元の世界に帰りたいですよね。
そして、朝からラブラブな2人♪
こんな時なのに飄々としている先輩素敵です(*≧∀≦*)
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.07/14 09:15分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

こんばんは!

訪問、コメントありがとうございます♪
前の記事「姫彼」から妄想が続いておりますw
イチャイチャさせるつもりなかったんですが、
勢いで書いてしまいましたw

時間と心に余裕が出来次第、
更新したいと思います!!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.07/17 23:33分 
  • [Edit]

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