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二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

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姫彼(ひめかれ)


「もういいって!」

 恋人が突然語気を荒くしたことに、千絵はそれまで楽しく話していた口を止め、目を丸くした。
 千絵が口を閉じた瞬間、テレビから深夜番組の笑い声がわっと起こった。

「修ちゃん、どうしたの」
「……どうしたのって、気付いてよ」

 気まずい空気が漂い、千絵はソファに寝転がっていた体を起こした。
 さっきまで胸の上に乗せていたクッションを無意識に抱えた。

 ソファの前に敷いたラグに座り、くつろいでいた彼氏は深いため息を落とした。
 二つ年上の彼氏――修はちらりと千絵を振り返り、ふいと顔をそらした。
 

 テレビから流れてくる笑い声は、止まなかった。
 修はばつの悪さを誤魔化すように、テレビに目を向けた。

「私ひとりで話してたの、ダメ、だった?」
「ダメじゃない。そうじゃない。そうじゃ、なくてさ。話の内容がイヤなんだよ」


 修とは小学校からの付き合いで、家は近所ではなかったけれど仲良しだった。
 思春期に入ると先輩後輩の意識が芽生えて、うまく話せなくなってしまったけれど、付き合いは中高、大学、そして社会人になった今でも続いている。恋人として付き合い始めたのは、社会人になってからだった。


「俺だって、そこそこ良いだろ……」

 だから、だろうか。
 恋人という意識が時々抜けてしまう。
 千絵はパンと手を打って、修の顔を覗き込んだ。

「あ! ヤキモチだ」
「別に妬いてないよ! 気分は悪いけど」

 職場の先輩がとてもイケメンで、性格はちょっと気に入らないけれど、やっぱり容姿は良くて女性社員からは圧倒的な人気がある。という話をしていたのだった。

 修も自他共に認めるイケメンではあった。
 ただ、見た目に反してとても根が真面目で、融通が利かないときがある。
 女の子からは「頑固」「ケチ」と評価されて恋人ができたためしがなかった。

 ――みんな結局、顔だけなんだ。

 そうこぼした修に、千絵だけは優しく微笑んだ。

 ――それじゃあ、本当の修ちゃんを知っているのは私だけなんだね。ラッキー、なんて。

 幼さを残したままの細面や、丸い目に長いまつげ。
 年齢よりずっと若く見えてしまう容貌を本人は気に入らないというけれど。
 性格も少しばかり子供っぽいところがあるけれど。

 千絵は目を細めて、修の耳元に唇を寄せた。

「修ちゃんは可愛いから好き」
「は、はあ!? か、可愛いって――おい、俺の方が年上なんだけど」
「でも自分からキスできないじゃない。年上なのに」
「それは年齢関係ないだろ!」

 頬を染めてのけぞる修に、千絵はクスクスと声を立てて笑った。
 本当にもう。
 年上なのにこういう時は頼りなくて、いじらしくて、なんだか。

(遊びたくなっちゃう……)

 千絵は細緻な指先を唇に当てて、にやっと笑った。

「やめろ、その笑い方! なんか企んでるだろう」
「企むって聞こえが悪いなぁ、修ちゃん」

 千絵がじりじりと距離を詰めると、修はのけぞったまま後ずさる。
 ガンと硬い音がする。
 修の背中がテーブルに当たり、テレビのリモコンがラグに落ちた。

 修の膝の上に千絵が座り、リモコンに手を伸ばした。
 テレビは電源を落とされ静まり返る。

「顔、真っ赤だよ。修ちゃん」
「う、う、うるさい! お前が、変な声出すから」
「変な声? 変な声って」
「小さい声出すと……お前、声が可愛くなるから……あーもう! 離れろ!」

 そういうわりには、押し退けたりせずにじっとしている修。
 修の鼓動も、感情の揺れも、手に取るように分かる。
 だからついつい、こういう行動をとってしまうのだ。

 うつむく修の顔を見上げるように、顔を寄せて。
 掬い上げるように、唇にキスをした。触れるだけのキスでも、修にとっては顔から火が出そうなほど恥ずかしい行為であり、それが千絵の心をくすぐる。
 付き合ってかなり経つのに、未だにドキドキしてくれる。
 その鼓動の早さが千絵にも伝染して、頭が甘く痺れてしまう。

「もう一回」

 うつむきながら、修が呟くように言った。
 千絵はうなずく代わりにキスをする。

「もう一か――」

 甘えてくる前に、また唇を重ねる。
 舌を絡ませながら咎めるような視線を送る修に、千絵は少しばかり小首を傾げた。
 唇が触れたまま修は「千絵のバカ」と切ない声を出す。
 千絵は目尻を下げて修にキスの雨を降らせた。

(どっちが彼氏ポジションなんだか……)

 どちらかというと、王子様を信じている千絵だったが、
 なぜか自分が王子様のような役目を負っている。


「千絵……もっと」


(可愛いから良いけどね……)


「うん、いいよ」







END


ども!
久々の恋愛SSでっす!
きゅんきゅんしてくれると良いな



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*Comment

No title 

きゃあー!
新作恋愛SS待ってました!ヽ(*´∀`)ノ

「姫彼」ってなんだろう…と思ったら…。
年上なのにお姫様な彼氏さんなんですね。
可愛いー(*≧∀≦*)
これは確かに遊びたくなっちゃいますねw
千絵ちゃんの気持ちが分かります。
きゅんきゅんしました!
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.07/10 20:43分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

おはようございます^^
訪問、コメントありがとうございました♪

Sha-La さんが作品を褒めてくださったので、
なにか楽しんで頂ける作品をと思い、執筆しました♪
いかがでしたでしょうか?

年上の彼とはいえ、意外に子供っぽいところもあるんです(笑)
でも、いざという時はしっかりしてくれる…はず!←w
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.07/13 08:00分 
  • [Edit]

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