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悪い夢から救って (3) 【ケイト×ネメア】

ネメアが夜の見回りから帰ってくると、ケイトは明かりも点けずに窓辺に立っていた。
わずかな月光りに浮かび上がる繊細なシルエット。
抱きしめたら霧のように散ってしまうんじゃないかと勘違いしてしまう。

「どうした、起き上がったりして」

外套をイスに掛け、ケイトの隣に寄った。
ケイトはカップを胸のあたりで掲げた。

「喉が乾いて」
「そうか。用意しておけばよかったか」
「ははっ、そこまでする必要はないだろ」
「喉が満たされたらすぐに眠るんだぞ」
「ん? ああ、うん……」

ケイトの表情はすぐに曇り、取ってつけたような笑みを浮かべるだけだった。

「眠りたく、ないのか」
「え?」
「そんな顔をしている」
「ふっ。どんな顔だよ」
「こんな顔だ」

言って、ケイトの頬に触れる。
冷たい指先にビクリと震え、ぎゅっと目をつむるケイト。
このまま甘い空気になるかと思えばそうではなく。
ケイトはネメアの手を握り、自分の喉元へと導いた。

「夢のなかで、アンタにこうされてたんだ。アタシはこの世にいちゃいけないってさ」

ネメアの指先にケイトの指先が重なる。
そのまま力を込め始める。

「シャリが、アタシのなかに、いるんだ。ネメアはアタシを殺したがっているって、夢の中で」
「そんなわけないだろう」
「どうだろうな」

ケイトはうっすらと目を開き、顔をもたげた。

「それでもいいよ。ネメアがそう言うなら……仕方ないって思えるから」
「ケイト」

喉元から無理やり手を引きはがし、ケイトの両頬を掴み、顔を上げさせた。
戸惑うケイトの視線を受け止める。
どうしてそんなことを、そんな顔をするのか分からない。
だが、ケイトはなにかを求めている。
それは分かるのに。

「お前の瞳には誰がいる」
「へ?」
「私の瞳には誰が映っている?」
「ちょ、ネメア。ちっ、近い……」
「言うんだ」

ケイトの瞳の中に、自分の顔がいっぱいに広がる。
そう、ケイトの視界には自分しかいない。
竜王も、シャリも、その他の人間もいない。
自分だけ。

「言うんだ。お前の、今見ている世界には誰がいる」
「ネ、ネメアだよ。あ~もう、いったいどうしたんだよ急に!」

ケイトはネメアの胸を押して体を反らす。
しかし、ネメアはケイトの腰へと手を滑らし、体を離そうとはしなかった。

「やっ、っだってば」
「私にこうされるのは、嫌か」
「どこ触って――――だから、近いって……」
「近いと、嫌なのか」
「そういう意味じゃなくて! アンタらしくない!」
「私らしい、とは?」
「だっておかしいよ、今日のアンタ! アタシも大概だけどさ」

ケイトは耳まで真っ赤にして、抗議の眼差しを向ける。
そんな表情を見ていたら、胸のあたりがざわついて、抑えようがない。
心臓が高鳴る。肺にたまった空気が重い。
どうしてこんなに息苦しさを感じるのだろうか。

「アタシを、まま、まるで、女を、抱くみたいな……そんな触りかた」
「お前は女だろう」
「意識の問題だって言ってんだよ!」
「そうか」

ふふっとネメアは笑うと、ケイトをいっそう強く抱きしめた。

「正直、この後どうすればいいか分からない。スマートにお前をエスコートできたら良いのだが」
「はあ!?」
「お前を意識し始めたのは、お前が瀕死になった姿を見たときだった。
 初めて、心の底から失いたくないと思えた。
 そう思えた愛おしい者を、この手で殺せると思えるか?」
「ちょっ、はあ!? なに言って――――」

ネメアは少しだけ体を離し、ケイトの顔を覗き込んだ。
ケイトは苦虫を噛み潰したような顔で、しかし真っ赤に染めた頬をして、顔をそむけた。

「お前は私をどう思う」
「どうも思ってねーよ」
「それならもっと拒んでみたらどうだ」
「充分、拒んでるだろう!!」
「恥ずかしがっているようにしか見えないが?」
「う、うるさいよ」

あまりの慌てっぷりに思わず小さく吹き出した。
ケイトが怒りの色を滲ませて、ネメアを見た。

「なんだよ」
「いや、元気になったなら良かったんだ」
「……励まし方がおかしいんだよ、お前は」
「励ましたつもりはないんだ。ただ、お前の目の前には私がいることを知ってほしかった。
 夢など信じるな。目の前の私だけを見て、信じてほしい。
 お前は、私の腕の中にいるべきだ。わかったな」

ケイトは曖昧に頷いた。

「それから、今日みたいに手を握ったりされたら、私はどうなるか分からない」
「は?」
「お前が思っているほど、私は強くない。そういう意味で。
 だから、もう私の前で服を脱いだりしてはいけない。
 お前が思っている以上に、私は男で、お前は女だ」
「……そういうこと一応、考えるんだ……」
「一応、な。好きな女が悪夢に苛まれ、現実に苦しみ、未だに痛みを抱えているというなら助けてやりたい。だから、お前は素直になって良いんだ。もっと私を頼ってくれ」

ケイトは目を見開き、ネメアを凝視した。

「今、なんて」
「もっと私を頼れと」
「ちっ、違う。そっちじゃなくて、……アタシのこと」
「好きだ」
「その、人間として、だよな? さっき愛おしいとか言ったのも、人間として、だよな? な?」
「疑り深いな。それとも、そうあってほしいのか?」

ケイトの唇を見つめ、そっと顔を近づける。
しかし、ケイトは伊達に冒険者をしていない。身動きの俊敏さは劣っておらず、素早くネメアの口を手で塞いだ。

「待って……ち、近いから……」

ネメアはケイトの指を舐める。
ケイトは驚いて手を放し、その隙に距離を近づける。

「ケイト」

低く囁いてやると、ケイトは怯えたように視線をさまよわせ、ネメアの口元をじっと見つめた。

「は、恥ずかしいから……ダメだ」
「目を閉じてしまえばいい」
「……やだっ、恥ずかし――――」

そっと唇を重ねると、ケイトはネメアの目を見たまま固まった。
それが可笑しくて、すぐに唇を離してしまった。
初めてのキスだったのかと、表情と固まった身体を見れば一目瞭然だった。

(まあ、そうだろうとは思ったが)

「眠るまで、練習だな」
「は!?」
「お前の頭のなかを私でいっぱいにしてしまおう。そうしたらきっと悪夢を見たって、私がお前を助けてやれる。助けて、口付けて、こうして抱き上げて――――また私でいっぱいに満たしてやれる」

ケイトはさらに顔を赤くさせて、ネメアの襟元を掴んだ。

「なんだか今のほうが悪夢だ。お前、ネメアじゃないだろう」

と拗ねたように悪態をつき、ケイトはされるがままになった。
ああ、いつものケイトだ。
ほっと息をつき、これからのことを考えた。
悪夢を見たなら救ってやろう。
寂しいと思えるなら、自分でいっぱいにしてやろう。
自分は望まれているのだと証をつけて、幸せにしてやろう。

ネメアはふっと微笑み、寝室へとケイトを連れて行った。


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