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ビー玉色の思い出 26

 風の回廊は、いつだって変らずに黄金色の雲が流れていた。
 雷太は朱塗りの柱に片手をつき、それを静かに眺めていた。
 暗い表情で、身の内に宿る思いを瞳に潜ませて、じっと見つめる。

「雷太!」

 突然の呼びかけに、雷太は肩を揺らすほど驚いた。振り返ると、風介がコマをふたつ小脇に抱えて立っていた。目が合い、二人は黙った。雷太は逃げるように目線を横に流した。すると、風介がため息をつく。

「また急に居なくなるからびっくりする。家に行っても居ないし」
「ごめん」

 沈黙が流れた。
 風の回廊を吹き抜ける風が強い。
 二柱の神がなにかを始める気配がした。きっと、空をかき混ぜる、のだろう。

「やっぱり今日は遊べそうにないね」

 風介も風の強さに気付き、呟いた。風にあおられてコマが倒れてしまうだろう、とそう言いたいのだ。
 雷太はこくんと頷いて、わずかに首をめぐらせた。
 コマを壁際に置き、風介はゆっくりとした足取りで雷太の横に立った。


「いつか父上のようになるんだよね」
「なれるんかな……半人前の、俺が」


 いつか風来に言われた台詞を思い出し、ひとりごちた。
 風介は雷太を見上げるように目線を上げた。

「でも、でも。ならないと、雷太は、雷太のお母様は」
「わかってるよ」

 我が身のように悲しそうにする風介に、雷太は苦笑で返した。
 まだ何か言いたげな風介だったが、言葉は続かなかった。
 雷太は両腕を上げてうんと伸びをする。気持ちを切り替えることはできなかったけれど、風介を心配させるわけにはいかなかった。年上としてのプライドがあった。
 もう、みっともないところを見せたくなかった。

 白い歯を見せてにっと笑う雷太を、風介は静かに見返した。

「雷太」
「なに?」
「無理、してないよね」
「なんだよ、無理って。なにを無理することあるんだよ」
「ううん。なんでもない、なんでも」


 雷太の返事に「納得いかない」と顔に書いてある。
 自分の気持ちは隠すくせに。
 他人には表に出せと言うのだから、まったく優しい性格をしている。
 そこではたと気付く。
 気付いたら、ちょっとだけ心からの笑みが生まれた。

「な、なに? 急に笑って」
「俺ら似てるなと思ったんだ」
「えっ」
「いつも風介はここから、外を眺めて居ただろ。その背中を俺はずっと見てきた」
「うん」
「今日は、それが反対になってるなって。いつも俺が言うことを、お前が言っているし」
「あ、本当だ。雷太、いつもこんな風に思っていたの?」
「こんな風?」


 雷太が小首をかしげると、風介は拗ねた顔つきで言った。
 わずかな間に風が音を立てて駆け抜けていく。
 それが静まると風介は口を開いた。


「なんで本当のこと言ってくれないんだろうって。本当は、どう思っているんだろうって」
「…………」

 思わぬ言葉に雷太は口を閉じた。
 目線を落として、呟く。


「本当のことを言ったら恥ずかしいだろ」
「うん」
「甘えてるって思われたくないし」
「うん」
「だから言いたくない、だろ?」
「うん!」


 なぜか、風介の返事がやたら元気が良い。
 呆れ半分で風介を見るとクスクス笑っていた。

「すごいね! 思っていること本当に一緒だった!」
「お前なぁ」

 呆れた調子だった雷太も次第に、クスクスと笑いながら喋り始めた。
 風介はそれに満足した様子だった。
 いつもの調子に戻った二人は声を立てて笑いながら、駆け出した。途中でコマを忘れていたことに気付き、慌てて風の回廊へ取りに戻る。どっちが悪いだとかを笑いながら話して。


 慌しい足音。
 風の回廊には子供の笑い声が響き、優しい風が吹き渡った。






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*Comment

こんにちはv 

こんにちはv

風介優しい!
自分も心細いのに雷太にはそういう所を見せないのね。

ちょっとだけ視点が入れ替わってしまった2人の
やり取りが可愛かったです(=´ω`=)

  • posted by hukuya 
  • URL 
  • 2013.07/06 16:35分 
  • [Edit]

Re: hukuya さんへ 

こんばんは^^
訪問、コメントありがとうございますっ!
返信が遅くなってしまい申しわけないです;

どんなに深い仲でも、やっぱり本心を打ち明けるのは
恥ずかしいだろうなと思いつつ書きました。
でも、一度打ち明けるとぐっと距離が近づく気がします。

なごんでくださって嬉しいです~^^
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.07/08 22:49分 
  • [Edit]

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