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ビー玉色の思い出 25

 春雷、風来の二柱が<サミダレ>の為に、天界から離れる時が来た。
 煙立つ風の回廊の先端には、四つの影があった。
 優美な衣に身を包み、儀式用の剣を持つ春雷と風来。

 羨望の眼差しで風来を見上げる風介。
 その隣に立つ雷太は物憂げな表情で春雷を見上げていた。
 息子のもの言いたげな視線を受けて、春雷は小首を傾げるが雷太はうつむいてしまう。

「寂しい?」

 冗談交じりに春雷が訊くと、雷太はすっと顔を上げた。
 目の端をちょっと吊り上げて唇を尖らせた。

「馬鹿言うな! 寂しいなんて少しも思ってねーよ。
 親父こそ寂しいからって適当な仕事して早く帰ってくんじゃねーぞ!」
「久しぶりの仕事だし頑張るよ。あと、はしゃがないように気をつける」
「年甲斐も無くはしゃぐな、あほう」

 春雷がおどけてみせると、風来の容赦ない一言が飛んでくる。

「あの、父上……」

 風介の控えめな声が会話に割って入った。
 おずおずと懐から取り出したのは、首から下げられる子袋だった。
 小さな両手に乗せて、風来に献上する。

「これを」

 風来は片手でそれをつまみ、袋の中を覗き込んだ。

「なんだ、これは」
「僕の風を織り込んでヒスイに込めました。父上をお守りするように願いを込めてます。だから父上」

 風来の大きな手が、風介の頭に降りる。
 優しく撫で付けて無言でうなずいた。

「必ず戻って来る。それまで、母上をお守りせよ」
「はい!」

 そのやり取りを羨ましそうに春雷は見やって、雷太を見返した。

「雷太、俺には?」
「え? ねーよ」
「ひどい!」

 当然だろうと言わんばかりの声音に、春雷はうなだれた。
 風来が鼻先で笑い飛ばして、きびすを返した。
 風来は右手の人差し指と親指の腹を合わせて、摘むような形をつくる。
 その部分に細く息を吹きかけると、風は膨らみ、雲を掻き分けて抜けていった。

 風来が起こした風に、四柱の髪や衣が激しくなびく。

「行ってきます」
 
 春雷がにっと笑って風の回廊から飛び出して行った。
 風来はちらりと雷太を横目に見て、すぐに春雷の後に続いた。

「いってらっしゃい!」

 雷太と風介は手を振って送り出した。

 <サミダレ>の間、雷太は日和姫に預けられることになった。
 天照大神の謁見以来、塞ぎ込んでしまっている雷太を日和姫はいつもと変らずに受け入れ、接した。
 日和姫の快活さに感化された雷太は、しだいに笑顔を取り戻し始めた。
 けれども、日の光が広がっている間は雷紋殿に帰ることがしばしばあった。それも、風介にも日和姫にも告げずに、急に居なくなるのだった。





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*Comment

おはようございますv 

おはようございますv

春雷と雷太面白いですねb
春雷のあまり格式ばってない自由な感じが凄く好きですw

雷太は風介とたくさん遊んで、寂しさが少しでも紛れると良いなb
  • posted by hukuya 
  • URL 
  • 2013.06/26 09:20分 
  • [Edit]

Re: hukuya さんへ 

こんばんは^^
訪問、コメントありがとうございます!
続きを読んで下さってとても嬉しいです。

> 春雷のあまり格式ばってない自由な感じが凄く好きですw

春雷はゆっるいゆっるいキャラです。
ジルオールキャラでいうなら……おっつ、ゆっるいキャラがそんなに居ない(笑)
しいて言うなら、オルファウス?
あるいはゼネテス兄さん辺りかな?w
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.06/26 21:03分 
  • [Edit]

こんにちは 

天上界の描写がとても丁寧で良いですね。読んでいて、すんなり作品世界に入っていけます。
また、会うことの許されない母と子・・・という微妙で難しい状況設定ながら、二人のせつない心情がひしひしと伝わってきて、うまいなぁと感心しました。
これからどんな風に話が展開していくのかが楽しみです^^
  • posted by エンジェルズアイ 
  • URL 
  • 2013.06/27 06:16分 
  • [Edit]

Re: エンジェルズアイさんへ 

こんばんは^^
訪問、コメントありがとうございます!
返信が遅くなってしまい、申しわけありません…。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
序盤の方、抵抗なく読んで頂けたようで
とても嬉しいです><
更新はかなりスローペースではありますが、
これからもよろしくお願いいたします♪
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.06/28 20:10分 
  • [Edit]

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