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ビー玉色の思い出 24

 雷太は夢のなかにいた。
 どこかの庭園と思える場所に、一人でぽつんと佇んでいた。
 真っ白な鯉が悠々と泳ぐ、大きな池。そして、そこには小島がいくつか存在し、橋が架かっていた。
 ふと背後を振り返ると雷紋殿があり、門の奥からは機織の音が響いてきた。

「母さん? ……母さん!」

 雷太は雷紋殿のなかへと駆け出した。機織の音が聞こえる「機織の間」の前に立ち、襖に手をかけようとして――

『開けてはだめ!!』

 頭のなかで蘇る悲鳴に、はっと我に返り、慌てて手を引っ込めた。

 母さん、と言葉をかけようとしたが声が出なかった。
 喉にせり上がってくるのは息苦しさだけ。
 母親の腕のなかに帰りたいという思いが募る一方で、声も手も出せない以上、今の状況は打開しようがない。

(どうしよう)

 もじもじと立ち止まったまま、思い悩んでいると。

「ら~い~た~! コマ遊びしよーよー!」

 門の方から風介の声が聞こえた。
 雷太は二、三度、「機織の間」と風介の声が聞こえるほうを見比べた。
 そして、諦めたように「機織の間」から目を逸らして自室に戻り、コマと紐を持って玄関へ走った。

「遅い~」

 玄関には待ちくたびれた顔で、コマと紐を持つ風介がいた。

「早く行こうよ!」

 雷太は頷いた。
 一緒に走り出し、風の回廊へと向かっていると、ふと違和感に気付く。

(風介って、俺より足が速かったっけ)

 早く早くと急かしてくる風介。
 背中を追いかけるのはいつだって風介のはずだったのに。
 いつも前を走っているのは自分だったのに。

(どうして俺、コイツの背中を見てんだろう)

 苦い思いがぶわっと込み上げてくる。悔しさだった。
 腕を振るたびになびく袖。
 いつの間にか前方から白く眩い光が射し込んでくる。
 自分よりか弱いと思っていた風介は、躊躇することなくその光に飛び込んでいく。

「風介! やめろっ、そっちは!!」

 風介を追っているうちに雷太自身も光に包まれ、目が開けられなくなった。
 ようやっと眩しさが止んだかと思い、目を開けるとそこに風介はいなかった。
 先ほどの庭園に戻ってきていた。
 整えられた垣根、咲き誇るいくつもの白椿。
 甘く濃い花の香りが辺りにたち込める空間。

 なぜだか、とても、懐かしい気がした。

 懐かしい香りはしだいに薄れて、消えていく。
 代わりに声がした。春雷の声だ。春雷の、あの優しい声に導かれるように雷太は夢のなかでの意識を手放した。


「雷太~、晩御飯作るぞ~」
「うー」


 熱い。背中が熱くて、湿っぽくてキモチワルイ。雷太は上体を起こして背中の熱を逃がしつつ、春雷の膝に頭を寝かせた。

「あっちぃ」
「寝汗かいたか。すぐに着替えなきゃなぁ」

 柔らかく笑む父親を見上げて、雷太は疲れたように息をついた。

「白い花の夢を見たんだ。甘い、匂い。母さんと同じ匂いだった」

 春雷は目を瞬き、何ともいえない複雑な表情をした。

「母さんが会いに来てくれたんだよ」
「夢のなかに? それともココに?」
「きっと両方」

 雷太は目を伏せた。いつもなら春雷の冗談だろうと聞き流せたのだが、今は「まさか」とも「冗談だろ」とも言わなかった。
 ただ、ただ。

「そうだと、いいな」

 か細い声で呟くだけだった。




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*Comment

こんばんはv 

こんばんはv

雷太の中で機織りの間の出来事が
ずっと辛い思い出になっているんですね・・
夢の中ですら母さんに会えなかった雷太が可愛そうです。

でもこれから少しずつ大人になっていくんだろうな・・

  • posted by hukuya 
  • URL 
  • 2013.06/24 19:04分 
  • [Edit]

Re: hukuya さんへ 

こんばんは^^
訪問、コメントありがとうございます♪

ほっとする展開にします~とか言ってましたが、
思ったより「ほっとしない」展開になってしまいましたw
おかしいなぁ。笑
雷太も今は落ち込んでいますが、少しずつ元気を取り戻し始めます!

きっと爽やかな気分で読めるんじゃないかと・・・断言はしませんけれどw
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.06/24 20:00分 
  • [Edit]

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