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ビー玉色の思い出 23

 天女は目の前の襖を音も立てずに、わずかに開けた。
 細く開けられたそこから畳部屋を覗くと、子供が布団の上で大の字になって眠っていた。規則正しい寝息。体に掛けられた麻の肩掛けが、膨らんでは沈んでを繰り返していた。

 天女はほっと息をつき、室内に静かに入り込んだ。
 後ろ手で襖を閉めてそっと子供へと近づく。
 まるで泥棒のような動きで、どこか後ろめたい気分になる。

 眠る子供の脇にちょこんと正座して、じっと見つめ下ろした。
 泣きつかれたのか、ぐっすりと眠っている。
 目尻が少しだけ赤くなって、腫れぼったいようにも見える。

 触れたい、けれど触れれば起きてしまう。
 気付かれれば天照大神は自分も、雷太も許さないだろう。今以上の罰を下すに違いない。
 ぐっと堪えて、天女はじっとわが子を見つめた。


 いったいどれほどの時間が経っただろうか。
 それとも、あまり経っていないのかもしれない。

 とにかく、ふとした瞬間に襖は開かれた。


 天女はびくっと肩を震わせて振り返った。
 春雷は眠たそうにあくびをして近寄ってくる。

(バレた……のだろうか……)

 驚き尽くして身を固める天女の横に、春雷が座した。
 天女は息をつめて春雷の動きを観察する。
 春雷は肩膝をついて、そこに頬杖をついて雷太の寝顔を見つめるだけだった。

(良かった、バレてない)

 今のうちに、と天女は立ち上がる。
 本当は春雷と話したい。ずっと一緒に居たいけれど、今は三人のために耐えなければならない。
 未来のために、耐えなければ。


 天女は後ろ髪を引かれる思いで、部屋から抜け出した。
 その時。


「また、帰っておいで」


 背中の向こうで、春雷が呟くように言った。
 天女は口元に手を寄せた。

「うんっ」

 瞬く間に涙が溢れて、どうしようもなく熱い気持ちがあふれ出した。

「雷太を、お願いします」

 天女が答えると、春雷はふっと笑って雷太を起こし始めた。

「雷太~、晩御飯作るぞ~」
「うー」


 わが子の声に振り返りたくなる。
 天女は振り切るように家から飛び出して、天照大神の元へと走った。
 約束の時間がもうすぐ訪れる。





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*Comment

こんにちはv 

こんにちはv
雷太には会わなかったのが
凄く残念でなりません・・

でも春雷が気付いてくれて良かった・・( ´Д⊂ヽ
親子の別れってやっぱり寂しいですね。
いつか3人で以前のように過ごせる日がくるといいな・・
  • posted by hukuya 
  • URL 
  • 2013.06/20 12:54分 
  • [Edit]

Re: hukuya さんへ 

こんにちは^^
訪問&コメントありがとうございます。

世の中、理想通りに事が運ばないもんですよね。
世知辛いっ!
ストーリー的には物足りない展開だったかもしれませんが、
次回は少しほっこりするような、安心感のある話なので
ほっとして頂けたらなぁと思います。
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.06/22 14:14分 
  • [Edit]

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