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ビー玉色の思い出 18

「母さん?」

 雷太が尋ねると、裳裾は柱へと消えた。

 雷太が柱を凝視したまま固まっている横、
 風介はぎょっとする思いで、雷太の裾を引っ張った。


「雷太っ」

 風介に裾をつままれ、ようやく我に返った雷太。
 雷太は口元を覆い、うつむいた。

 がくがくと震えだす手。
 荒くなる息。
 頬を伝う涙が、口元を覆う指先で跳ねた。

 雷太のあり様に、風介は息をとめた。
 こんな雷太は見たことが無かった。
 なにを思って泣いている?
 答えは分かっていた。
 母親に会いたいからだってことは分かっている。

(でもだって、雷太は強くてかっこよくて――)
 
 だけど、そんなことで泣く雷太だっただろうか。
 何にも揺らがない、強い意志を持つ兄のような存在。
 それなのに、それなのに。

(僕の知っている雷太は、雷太は……)



 天照大神はすっと目を細めて、肘掛に頬杖をついた。

「雷太」
「はい」
「申してみよ」

 全てを見通す瞳が、雷太に向けられる。
 つむがれた言葉に雷太は震えながら目を泳がせる。

 風介は天照大神を一度見上げ、それから雷太をもう一度見た。

 迷っている目だ。
 父親に言ってはならぬと言われたこと、言おうとしている。

 風介は雷太の片手を握り、首を振った。

(ダメ! 雷太、言ってはダメ! おじさんが言ったじゃないか!!)

 雷太がゆっくりと風介を見た。
 こぼれてくる涙が痛々しい。
 風介には雷太と天照大神の間で交わされる話が見えなかった。
 でも、言ってはダメだと思った。

 父が言うことは絶対だった。
 今まで、父たちが言ったことに間違いはなかったのだから。

(だから、ダメ)

「風介……俺……」

 風介は息をのみ、応えるようにうなずいた。

「俺、もう思い出せないんだ……母さんのこと、思い出せない」
「雷太……」
「顔がもう、思い出せないんだ……」


 かすれた声で呟かれた言葉に、風介は呆然と固まった。

「思い出したくても、思い出せない……忘れたくないのに!
 会わせてっ……くっ……母さんに、会いたいっ……」

 誰もが口を閉ざすなか、雷太の嗚咽だけがそこにはあった。





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