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ビー玉色の思い出 11

 食器を片付け、盆に茶を載せて現れた日和姫と雷太。
 風来の隣、正座で座る風介の様子に、二人は顔を見合わせて笑った。

「お腹いっぱいで眠くなっちゃったのかね」

 眠たそうにまぶたを下ろして、いつもピンと張っている背筋が曲がっている。
 今にも溶けてしまいそう。
 日和姫は風介の隣に膝をつき、肩を抱いた。

「風介、風介や」
「……はい」
「もう寝よう。とと様、明日もいらっしゃるんだから」
「いや」

 睡魔に襲われながらもきっぱりと言い切った。
 しかし、まぶたが上がりきらないところを見ると、かなり眠いようだ。

 風来は我関せずと澄ました顔で、雷太が置いた湯飲みに手をつける。

 風介の頑固さと、風来のいつもの態度に苦笑を浮かべる春雷は、ため息混じりに言った。

「風来。我が子に懐かれて照れるのは分かるけど、もうちょっと親らしい態度見せろって」

 父親の発言に、雷太は唖然とした。 

(えっ、これで照れてるの!?)

 風来の表情をじっと観察する雷太。どこからどう見ても平静なのに、どこが照れているのか。
 風来に視線を向けられて、慌ててそらす。
 日和、と風来は口火を切る。

「置いておけ。寝付いたら、私が寝床まで運ぶ」
「そうかい? じゃあ布団を用意してくるよ、湯を沸かして湯たんぽでも入れておこうかね」

 下界の生活雑貨が大好きな日和姫らしい案だった。
 日和姫が去ったのを横目に、春雷は口を開いた。

「おい、風来」
「うん?」
「ここに電気が通ってなくてよかったな。テレビがあったら絶対、通販番組にはまるぞ、あのひと」
「まったくだ。ただでさえ多いって言うのに」

 雷太は首をかしげた。

「て、れび? つーはん?」

 春雷は歯を見せて笑った。

「お前は知らなくて良いよ。雷太もあのひとと似たところがあるから」
「おばさんに? 俺が?」

 どこが似ているか聞かせろとせがんでも、春雷は笑うだけで教えなかった。
 教えられない理由があるのか。
 きっと悪口に違いない、と雷太は頬を膨らました。

「親父なんてしらねー! もう何にもしてやんないからな!」
「ごめん、拗ねるな雷太。男らしくないぞ」
「いつもそうやって! 謝るのか馬鹿にするのか、どっちかにしろ!」
「しーっ、ほら、風介が起きちまう」

 うっと言葉をつまらせて、押し黙った。
 春雷の横で膝を抱えて座る雷太は、ぼうっと風介を眺めた。
 うとうとする風介を見ていたら、こっちまで眠くなってくる。

「あ」

 風介が、こてんと風来の腕に寄りかかった。

「もうさすがにダメだろ。寝ちゃってるだろ」

 雷太が言うと、春雷は喉を鳴らして笑った。
 風来は小さく息をついて、風介の脇に指をさしこんだ。
 ぐっと持ち上げて自分の膝に乗せ、抱きかかえる。
 その行動に、雷太は身を固めた。
 睡魔も吹っ飛ぶくらいひどく驚いて、言葉が出てこなかった。
 風介は目を丸め、それから思い出したように細い泣き声をあげる。
 風来は嫌がる様子も見せず、風介をあやした。
 
 風介の小さな嗚咽は胸に迫るものがあった。
 熱い何かが胸に広がって、けれども温かい感情が生まれる。
 ドキドキと高鳴る胸に指を添えて、思う。

(良かったな、風介)

 赤子のように泣く姿を馬鹿にするでもなく、
 雷太は穏やかに目を細めた。





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