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ビー玉色の思い出 6

 盆に湯のみを乗せて居間へ戻る雷太に、風神の驚いた声が飛んできた。
 雷太と風介は顔を見合わせて、居間にある食卓に近寄った。


「今、なんと言った?」
「だから、今年はちび共も一緒に連れて行こうと思っているんだ」
「親父、それって俺らのこと?」

 茶を差し出しながら雷太が訊くと、雷神は軽くうなずいた。
 風介も困惑気味に風神を見上げた。

「どこに連れていくと仰ったのです? 父上」
「天照のもとへだ。サミダレの儀を執り行うために、天照に伺いを立てねばならない。そこへお前たちも連れて行くと……だが、天照が許すか? まだ子供だぞ。何も知らない、未熟な」
「いずれは大人になる。今から天照に慣れて」
「幼いうちに慣れたほうが良いというお前の考えは分かる。だが、早すぎる」


 未熟と言われて、雷太も風介もうつむいた。
 確かにお役目のことは何も知らないし、遊んでばかりだ。雷神は遊ぶことが仕事だと言ってくれるが、風神はそうは思わないらしい。

「前から俺は考えていた。そろそろ天照に会わせてはどうかと。だが今回のことで決めたぞ、俺は。風来、役目がどうのと諭したいなら、天照に会わせよう。話はそれからだ」
「ふん」
「風介は充分賢く、慎ましい。俺よりしっかり者だ。天照の前で失態をおかすとは思えない。もう少し、風介を信じてやったらどうだ」
「さすが、お守りを任せただけはある。風介のことをよく知っているではないか、父親の私よりも」
「風来」

 風神の皮肉に、雷神が咎めるような声を出す。
 風神は機嫌が悪そうに顔をしかめ、口を開いた。



「いっそのこと――」
「いっそのこと、なんだって? えぇ! 他所さまへ風介をやろうってかい!?」



 雷神の声ではなかった。やたらどすの利いた声に、風神はビクリと肩を震わせた。
 いつの間にやら居間の戸が開かれており、顔も体型も丸くふくよかな女性が立っていた。
 水色のたすきを掛けたままの姿で、ここへやってきたらしい。


「日和っ!?」


 風神が慌てふためく。あの風神らしからぬ姿に雷太は唖然とするが、風介にとっては見慣れた光景らしく、苦笑していた。

「父上は、母上が苦手なんだ。おっかないんだって」

 こそっと教えてくれる風介に、雷太は困惑しつつも相づちを打った。
 風神の妻――日和姫はキッと目を鋭く尖らせて風神をねめつけた。
 それだけで風神は身を竦ませる。

「な、なぜここに」
「そりゃあ、春雷のだんなが教えてくれたのさ。御前さんが帰ってきたことをね」

 すごい勢いで風神は雷神を見た。
 雷神は顔をそらして立ち上がり、雷太が置いたばかりの湯のみを盆に戻した。これから修羅場になることを予想しての行動だと、雷太はなんとなく察した。


「風来! なんでさっさと家に帰ってこない! 年を取りすぎてボケちまったかい!?」
「いや、その。先に天照に会わねばと……」
「家で健気に待つ母子よりも、天神が先とはなんて薄情な奴!! この場で成敗してくれる!」
「ま、待て待て待て! 他人の家だぞ、日和!」
「問答無用!! 武人ならば正々堂々と刀を構えろ、この風来坊め!!」


 日和姫が空の手を掲げると、シュンと薙刀が現れる。
 音が聞こえてくるほどしっかりと柄を握った日和姫は、迷うことなく切っ先を風神に突きつけた。

 居間から退散した雷神、風介、雷太は嘆息をつきながら庭へ出た。
 風神が必死に説得を試みる声を聞きながら、雷太は父親にたずねる。

「家、壊れないか?」
「……壊れたら、いっそ改装しようか」

 あはは、と雷神は力なく笑った。

「お前の母ちゃんすげーな」
「え?」
「母ちゃんと同じ機織姫だってことは知ってたけど、薙刀も使えるんだ。俺、勘違いしてたよ。機織姫って実はみんな、武術の心得があるんだ……俺も見習わなくちゃ」
「いや、あの……僕の母上は昔からああみたいで。機織の乙女らしからぬ女だって、父上が言ってた」


 風介は困ったような、悲しそうな、諦めたような、なんとも言えない表情で笑っていた。


 居間の方からは、食器が割れる音やなぜだか爆風が起こって屋根に張っている瓦が吹き飛んだ。

 起こしたのが日和姫だと思うと背筋が寒くなった。その合間に風神の「待て、落ち着け!」という必死な声が聞こえてきて、なんだか可哀想になってきた。
 風神がなかなか家に帰りたがらない理由を知った気がした雷太だった。








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