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ビー玉色の思い出 5

 天の国は大きく内宮と、それを囲むように建てられた外宮に分かれている。この風の回廊も外宮の一角にあり、回廊の末には切り立った崖と雲海が広がっていた。

 雷太は雷神と共に私宅である雷紋殿(らいもんでん)へと戻る。

 ある場所に寄ったため帰宅に少し時間がかかったのだが、案の定、風神と風介はずっと待っていた。
 風介に至っては、風神の刀をめげずに持ち続けていた。

 一度帰れば良いのに、と雷神親子は笑って彼らを家に招きいれた。
 居間へと移動すると風神は風介から刀を受け取り、着いた席の脇に刀を立てかけた。

 雷神がその向かいに座るのを見ると、雷太は居間の外側に設けられた板敷きを降りて、台所へと移動する。
 風介は場の雰囲気を察したのか、雷太のそばに駆け寄ってくる。

 雷太はやかんに清水を入れ、かまどに薪を投げて慣れた手つきで火をおこし始めた。
 茶の用意を進めながら親の話に耳を傾ける。


「久方ぶりだな、風来ふうらい
「うむ。お前が家に居ないとは珍しい。どこへ行っていた?」
「鳴火山(なるかやま)だ。丹塗矢を作ってもらいにな」
「……ほう」
「馬鹿、勘違いするんじゃねーよ。俺のためじゃない。依頼を受けたんだよ」
「誰だ?」
「顧客情報は言えないね」


 雷太はかまどの火の様子を見ながら、風介のそっと問いかけた。


「丹塗矢って何に使うんだ?」
「赤く塗った矢のことで、邪気を祓うって聞いたことがある」
「へえ……親父に頼んできた人は病気なんかなぁ」
「でも、僕らが病になるなんてほとんど無いじゃない。根の国の瘴気にでもあてられたのかしら」


 風介が首をかしげると、彼の黒い前髪がさらりと揺れた。
 それを鬱陶しそうに払ってから、ふと気付いたように、かまどにかけたやかんを指差す。
 カタカタとやかんの蓋が鳴り、雷太はやかんを下ろして台に置き、急須に茶葉を入れた。


「急須に入れないの?」


 沸騰したばかりの湯を人数分の湯のみに注ぐ雷太に、風介は言った。


「美味しいお茶の淹れ方はこうするんだよ。覚えておいて損はないぞ」

 湯のみに沸騰した湯を七、八分目まで注ぐ。それから少し冷まして、湯のみに入った湯を急須に戻す。
 茶葉が開いたところで湯のみに均等に注ぎ分ける。


「覚えたか?」
「うん」


 雷太は思いついたように微笑を浮かべて、声を小さくした。

「家に帰ったらおじさんに淹れてやれよ。きっと喜ぶ」
「そうかなぁ……」
「きっとそうだよ。美味しいものを口に入れて不機嫌になる奴なんてこの世に居ない」


 にっと歯を見せて笑う雷太に、それもそうかと風介はうなずいた。
 盆に湯のみを乗せて居間へ戻る雷太に、風神の驚いた声が飛んできた。
 雷太と風介は顔を見合わせて、居間にある食卓に近寄った。





※ 丹塗矢について――邪霊を祓うとされる。また、丹塗矢と変じた神霊が山から川へと流れ下り、里の聖なる乙女に通い、神の子が誕生するという神婚説話がある。



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