FC2ブログ

すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Entries

暖かな陽のもとで (3) 【ケイト&ネメア】

カップを四つ乗せた盆を、危なっかしい足取りで運ぶノノア。
オルファウスはおろおろしながら事の行方を見守り、ケイトとネメアは微笑みながら見守った。
ノノアはネメアに盆を差し出し、ネメアは優しくそれを受け取った。

「冷や冷やしましたよ、まったく。ケイト、もし彼女が転んだらやけどしてしまいますよ?」
「うちでは甘やかしは一切ありません。水を入れたカップで、何度も練習させましたから大丈夫」
「それでもです」

強く諌められ、ケイトも困ったように眉尻を下げた。

「アタシだって鬼じゃありません。この子がどうしてもやりたいって言うものだから」
「父よ、許してやってくれ。一人でも生きていけるようにと、ケイトは常に厳しくしているのだ」
「それはそうでしょうけどね。ケイト、あなたも生きなければなりませんよ。
 こんなに可愛い子を置いていくなど決して許されませんよ」

オルファウスはノノアの頭を撫で、ケイトを見た。
「肝に銘じておきます」とケイトは笑ってノノアを抱き上げた。

「お母さんのところに戻ろうか、ノノア」
「あれ? ケイトが母親ではないのですか?」
「ええ。この子を育てたのはレミという女性です。アタシは、その、ほら……母乳が出なかったから」

ケイトは恥ずかしそうに顔を赤らめ、そそくさと出て行った。
ネメアの咎めるような視線にオルファウスは苦笑し、今後の予定を切り出した。

「しばらくはお前たちの世話になろうかと思っているんだ。
 次はいつ会うかわからないだろうし、ゆっくりと親子の時間を楽しもうと思うよ」
「そうか……。なにもない所だが、くつろいでくれ」
「まったく、本当になにもない所だな。くあ~ぁ」

退屈過ぎたのか、日当たりの良さに睡魔が襲ってきたのか、ネモは眠りに入った。
ネメアはカップに口をつけた。

「良い場所ですね」
「……ノノアを」
「うん?」
「ノノアを、孤児たちを育てると決めたとき、不思議な気持ちだった。
 果たして自分は育て上げられるのか。
 おしめはどうしようか。離乳食はどうやって作ろうか。
 いくつになったら、なにを教えるべきなのか、まったく分からなかった。
 だが、不思議と安らかな気持ちを覚えたんだ。
 子供たちが成長していくのは見ていて幸せで、喜ばしいことだった。
 父も……私を育てるときこんな気持ちだったら嬉しいと思った」

オルファウスは慈愛に満ちた笑みで深く、深く頷いた。

「当たり前です。お前は血の繋がった子ではないけれど、本当の、我が子のように思っています。
 お前と過ごした時間は、何事にも代え難く愛おしい時間。
 それはどれほど月日が経とうと変りません。お前がどんな存在になろうとも、ね」
「……感謝しています、父さん」

*   *   *   *   *   *   *

夜も深まり、ケイトはオルファウスの寝床へとやってきた。

「どうしたんです? ケイト」
「眠れなくて。……それに聞きたいことも」
「なんでしょう」

ケイトは深く息を吸って、覚悟したようにオルファウスを見つめた。

「バイアシオンは、平和になりましたか。アタシのせいで……人々が不幸になったりは、していませんか」
「あなたは本当に優しい人ですね」

オルファウスはケイトを抱きしめ、優しく背中をさすった。
子を落ち着かせるように、とん、とんとリズミカルに叩く。
ケイトは溜め込んでいた思いを吐き出すように、涙ながらに呟いた。

「ずっとずっと怖かった。アタシのせいで、色んなことが変っていくのが。
 みんなを救いたかっただけなのに、アタシはとんでもないことを――――」
「ディンガルでは女帝が立ちました。宰相はベルゼーヴァさんだそうですよ」
「えっ」
「そうそう、ロストールでも女王が擁立されましたね。エストさんも研究しつつ、ロストールの再建に尽力されていると聞きました。ノーブルも、ボルボラがいた頃よりずっと明るくなっていました。チャカさんが自警団の隊長となって町を守っているそうですよ。そうそう、私たちが旅立つ前に、姉ちゃんにあったら伝えて欲しいって言われてたんだ」 

ケイトはオルファウスの腕のなか、麗人の顔を仰いだ。

「嫁さんが見つかるかも、ですって。意外にやりますね、彼」

ウインクされてケイトは思わず噴き出した。
そうか、よかった。
ちゃんとみんなそれぞれの道を歩んでいた。
泣き笑いを浮かべ、ケイトは顔を覆った。

「よかった。よかった……みんな、頑張ってるんだ」
「ケイト。バイアシオンのことを忘れろとは言いません。
 でもそろそろ自分の幸せについて考えてみる時期なのかもしれませんよ。
 あなたは充分みんなの幸せを願ってきた。
 かつての仲間たちはちゃんと歩めているんです、あなたも歩き出さなければ」
「はい」
「よかったらうちの息子をもらってやってくれませんか」

ケイトは目を見開き、硬直した。
そして恨みがましそうにオルファウスを睨んだ。

「あいつ、アタシを女として一度も意識してないんです。絶対無理です。
 絶対にもらってあげたり、してやりません!」
「あの子も、もうちょっと色恋沙汰に聡くないといけませんねぇ……はあ」

二人で笑いあい、ケイトは姿勢を正した。

「良いんです。アタシはあいつの、一生の友で。ネメアもきっとそう思ってる。
 んーん、友っていう括りはありませんね。
 もっともっと、そういうものを超えた関係でありたい。
 愛も友情も、信頼も、全部含めてあいつとはこだわらない関係でいたいです」
「そうですか。それなら、安心です……安心して、心からあなたにネメアを託せます。
 これからも息子をよろしくお願いしますね、ケイト」
「はい……」

オルファウスはケイトを見つめながら思った。
本当によかった。
孤独に苦しんでいた子たちが、幸せになれる場所を見つけられて。
オルファウスは、ようやく肩の荷が降りたのを感じた。
あともう少し、あともう少しだけこの暖かな場所にいたいと心の片隅で感じた。



ありがとうございました&お疲れ様でした
  クリックしてくださると励みになります!!

ブログトップへ戻る
ネメア編作品リストへ
スポンサーサイト



*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

カウンター

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ  

FC2Blog Ranking

ワンクリックで応援お願いします!

最新記事

プロフィール

デジャヴ

Author:デジャヴ


二次創作小説・オリジナルファンタジー小説を書いています。訪問して下さった皆様に少しでも楽しんでいただけると幸いです。

恋愛小説サイト『恋砂糖*ひと匙』も運営中


【補足と注意】

・過度な性描写・暴力シーンはありません。

・原作キャラでの同性愛は一切書きません。

・コメント、感想はありがたく頂戴いたします。誹謗中傷やマナーのないコメントは受け付けません。

・当ブログを利用するにあたり、一切の責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。

・小説、イラストともに転載・複写×
著作権は放棄しておりません!

以上の点をご理解いただけますことを心よりお願い申し上げます。まだまだ不慣れですが、温かく見守っていただけると幸いです。

右サイドメニュー