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恋愛SS 白い日


 目の前に座り、腕を組む恋人。おもむろに手を伸ばしてきたかと思えば、トントンと指先でテーブルを叩いた。

「返すもの、返しなさいよ」
「え? なにか借りたっけ」

 思わず首をかしげる俺に、彼女はむっと顔をしかめた。
 なにを借りただろうか。一緒に暮らしているんだし、貸し借りなんて滅多にない。

「とぼけないでよ。それともカマトトぶってんの? そういうジョーク嫌いなんだけど」
「いや、だからさ。分からないよ。なに借りたっけ」

 なにも思い当たらない俺に、彼女は痺れを切らして嘆息とともに立ち上がった。

「もういい」

 怒っているというより、呆れかえっている。
 俺はいつも彼女を怒らせていた。
 つまらないことですぐ拗ねるのが彼女の悪い癖だったが、彼女からしたら「つまらないこと」で片付けられないのだろう。だから俺は怒ることすらできず、頭を悩ませてばかりだった。

 どうやったら彼女の機嫌を良くできるのか。
 たいてい俺がすることは火に油を注ぐことばかりだったが、どうやら俺は天然のようで、真面目にぽろっとこぼした言葉が彼女を笑顔にさせる。

 まったくもう! と口を尖らせながら、何だかんだで水に流してくれるのが彼女だった。

 今回もそうだろうと思いつつ、顔には出さずに考える。

「返すものを返す……ねぇ」
「もういいって言っているでしょう!?」
「そう怒るなって」

 テレビを見ながらでも、彼女は神経を研ぎ澄ませているようで。
 俺の言動にすぐ反応する。

「ごめん。やっぱり思い出せないや」

 彼女の表情をうかがいながら、寝室へ退散する。
 こういう時は時間を置くのが一番なのだ。

 寝室の扉をしめて、クローゼットを開ける。
 通勤用の鞄を取り出して、例のものを取り出した。

 今日はホワイトデーだが、お返しとしては大きすぎるだろうか。
 重い、と思われるだろうか。
 付き合って五年。一緒に暮らし始めて二年になる。
 一緒に居ることに疲労感はないし、居心地は良いし、満たされている。
 だが、彼女はどうだろうか……。

「いいや! 腹を括れ、俺!!」

 手に取ったプレゼントを見下ろし、ふと思いつく。
 今日はホワイトデー。
 お返し……。

「返すもの? 返すものを返せ? ああ!」

 俺はいそいで寝室の扉を開けた。

「なあ! 返すもの分かった! ホワイトデーのことだろ!」

 合点して喜ぶ俺に対して、彼女は冷ややかに「気付くの遅い」と拗ねたことを言う。

「ちゃんと用意してるって」
「もういらない」
「えぇっ!? そう拗ねるなって」
「いや! いらない、忘れてたもん」

 いつもは大人びているのに、こういう時は子供のように駄々こねるんだもんな。
 だけど、そういうギャップがたまらなく可愛いと思える。
 恋は盲目というが、本当だ。好きにならなかったらきっと面倒くさいぞ、この女は。

「忘れてないって」
「いらない」

 そっぽ向いてしまう彼女の元へ行き、そっと肩を抱いた。

「本当にいらない?」
「いらない」
「これを見ても、そう言っていられるかな?」

 俺が差し出したものを、彼女はちらりと見た。
 そして、そのまま固まる。

「えっと、その……いる……」
「じゃあ結婚してくれるってこと?」

 指輪を見つめたまま、彼女はゆっくりとうなずいた。

「そっか。良かった、嬉しいよ」

 彼女は頬を染めつつ、箱を手に取った。
 そして、なにを思ったのかキッと目尻に怒気を滲ませて俺を見上げた。

「でも、タイミングが最悪! ホワイトデーとプロポーズの日が一緒ってどうなの?」
「え。俺としては最高のタイミングだと……」
「二人が付き合った日とか、一緒に暮らし始めた日とか、思い出の日にしようっていう気はないわけ!?」
「それは考えてなかった」
「信じらんない!!」

 結局、こうなるわけだ。
 俺ががっくりと肩を落としてうなだれているそばで、彼女はぼそっと呟いた。

「こんなの許してくれる女、私しか居ないわ……きっと」

 それはどうだろう。他の女の方が寛容じゃ……。
 声に出そうになって慌てて飲み込む。

「ツンデレごちそうさまです」
「そうやってまた馬鹿にして!!」
「してないよ! てか、すぐ怒るなよ!」
「なにさなにさ!」
「ちょ、暴力反対!!」

 もっとロマンチックな夜を想像していたが、騒がしいホワイトデーの夜になった。
 きっとこの先も、こういう風にロマンチックの「ロ」の字すら出ない関係が続くのだろうと思う。
 それもまあ、変に気取らずに良いけれど。
 たまには――。

「たまには、甘いこともしようぜ」

 俺が押し倒すと、彼女は顔をそらして息を呑んだ。






ありがとうございました & お疲れ様でした

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