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二章 駿馬、駆ける (2)

 日が落ち、暖炉に薪がくべられた。この世界に季節があるのかは定かじゃないが、夜になると日の出ている時間よりいっそう寒さは深まった。
 暖炉の前で美都はひとり、椅子に座って炎を眺めていた。

 美都はこちらの世界の服を与えられ、深緑色のドレスを着ていた。
 ドレスの裾は足元まであり、歩くたびに裾を踏んでつんのめってしまう。テレビや映画でよく見るヨーロッパの中世的なドレスに、一時は胸をときめかせたが、今ではため息ばかり出る。
 ドレスの扱いに気を遣いすぎて、疲れがたまる一方だ。

 高木はベイスとの話し合いで席を外しており、美都は部屋でお留守番。
 手持ち無沙汰な時間。
 歌を口ずさんでも気分は良くならず、あまりにも暇な時間に苛立つ。

 すっくと立ち上がり、窓辺に寄り添う。
 建物の外には、かがり火が焚かれている。点々と置かれたかがり火のそばを、人がちらちらと動くのが見える。そういえば、ここに居る兵士はどういう所属なのだろう。
 戦争中なら上の王子たちの軍に徴兵されるのでは。

「知らないことばっかり」

 口を尖らせて、ふんと鼻を鳴らす。

「ん?」

 闇に染まる景色を眺めていると一瞬、光が見えた、気がした。
 目を凝らして、遠くの景色をじっと眺める。
 だが、もう光は見えなかった。なんだ、見間違いかと目頭を押さえる。
 暖炉の炎を見すぎて、目がチカチカしていたのかも。

「あー、もう! ひまひまひまひま!!」

 癇癪(かんしゃく)を起こしたように美都は頭を振った。高木に怒られてまでついてきたのに、力にもなれず、こうやって癇癪を起こして暴れるしかやることがないなんて。
 高木には戻って来るまで起きていなくて良いと言われた。起きていると意地を張って見せたが、こうやることもないと、寝るしかない。

(もう、寝る!)

 振り返った勢いで案の定、裾を踏んでこけた。
 咄嗟に手をついたらベチン、と痛ましい音が響いた。そして、顔面をぶつけてしまう。
 痛みに涙が浮かんだ。
 生理現象ではなく、本気で泣ける。こんなに自分は鈍くさかったか、と情けなさに涙が出てくる。

「うう~……」
「なにを、してるの。美都ちゃん」

 バッドタイミング――高木が帰ってきた。

「こけました……」

 涙声で返すと、高木はため息混じりに笑って美都を抱き起こした。
 顔についた汚れを指で払ってやり、高木は美都をベッドへと誘導した。

「ほんと美都ちゃんは飽きないよ。いつも可笑しなことしてくれるから」
「うけ狙いでやったわけじゃありません! このスカートがいけないんです!!」

 八つ当たり半分で叫ぶと高木になだめられ、美都はベッドに顔を埋めて泣いた。
 クスクスと高木は笑って、美都の横に並んで寝た。
 顔を見合わせると、美都はふっと顔をしかめる。おもむろに手を伸ばして、高木の頬に触れた。

「疲れた顔してる」
「うん」

 添えられた美都の手を握り、高木は目を伏せた。

「答えは出なかったよ。明日、ガナン帝国の使者が来る。俺が不在の間、ベイスが色々と理由をつけて亡命の件を引き伸ばしてくれていたみたいだけど、もう無理だろうって。会って目的を訊かなきゃ……それから、決める」

 高木はうとうとと目を瞬き、しまいには瞼を閉じてしまった。

「風邪ひいちゃうよ」
「…………」
「あーもう。自分の体格の大きさ、ちょっとは理解してくださいよ」

 美都はのそっと起き上がって、どうにかこうにか高木を布団の中に入れる。
 自分も並んで寝ようかと思ったとき、ふいに部屋にノックが響いた。高木は起きる様子もなく、美都は静かに、そして裾に気をつけながら、部屋の扉をそっと開けた。

「ベイスさん。先輩なら寝ちゃいましたけど」
「いえ、あなたにお話があるのです」
「私に?」
「ええ。王子についてのお話です」

 ベイスは穏やかに笑って、美都が頷くのを待った。
 美都は何度か高木を見やって、「少しだけなら」と付け加えて頷いた。
 何も言わずに出て行くこと、目を覚ましたときに恋人がいない恐怖を美都は知っている。黙って部屋を出て行くのは心苦しくて、後ろ髪を引かれる思いで部屋を後にした。






ありがとうございました & お疲れ様でした。

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