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ビー玉色の思い出 1

 突然駆け出した風介ふうすけに、雷太らいたは伏せていた顔をおもむろに上げた。

 朱色の柱が立ち並ぶ風の回廊は、人気も無く通行者は限られている。小言を漏らす大人たちの居ない場所は、雷太と風介にとって絶好の遊び場だった。今日もここで過ごしていたのだが、回廊にカツンッと鋭く硬い音がした。


 親友の背を追うように視線を向け、ああ、と納得した。


 ふわりと降り立ったばかりの――皮甲よろいをつけた美丈夫びじょうふが、帯に差し込んでいた腰刀を抜いて、風介へと差し出す。小柄な子供には重たすぎる刀。それを風介は落とさないように両腕で抱えて、重みなど苦ではないように美丈夫へと微笑みかけた。


「お帰りなさい、父上」
「達者であったか」
「はい! 父上に早く会いたく、ここで雷太とコマを回してお待ちしておりました」


 舌足らずに言葉を続ける息子に、彼の父は笑みもせず「そうか」と返した。
 相変わらず愛想のない人だと雷太は風神を眺める。風介がどれほど心待ちにしていたか知りもしないで。抱き上げることもせず、ただ刀を預けただけ。それが久しぶりに会うわが子への態度か。


(これじゃ、ずっと待っていた風介が可哀想だ)


 ふと風神に目を向けられ、慌てて会釈した。伏せた顔の下で、しまったと舌を打つ。感情が顔に出るのは悪い癖だ。心臓がぞわりと不穏に動く。
 怒られるだろうかと風神の顔を窺うが、彼はやはり顔色一つ変えないで歩き出した。その脇に風介がついて歩く。


「雷太、あれはどこに居る」
「親父なら家に居ると思います」
「そうか」
「あの、父上。母上には会って行かれないのですか」
「天照が先だ」
「……はい」


 押しかぶせるように言われ、風介の表情に影が落ちた。
 黙って見ていられなくなった雷太は風神の前に立つ。


「おじさん、少しは風介と一緒に居てやってよ。ずっとここで待ってたんだ」
「やるべきことをやってからだ」
「お役目と風介のどっちが大事なんですか」
「それが分からぬから、お前は半人前だというのだ」
「俺は」
「雷太」

 風介は、もうよいと頭を軽く振って風神の隣を歩いた。
 よいことは何も無いのに、と雷太はうなだれた気分で風介の背を見つめた。




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