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すっごくRPG!!

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【恋愛SS】 headache


 ピンポーン……。

 真昼間にインターホンが鳴る。
 アパートの一室、わざわざこんな時間に訪ねて来るのはセールスと宗教関係しかない。

 無視、無視。

 痛む頭を一旦持ち上げたのを降ろして、寝返りをうつ。

 ピンポーン、ピンポン、ピンポ――……。

 おい、嫌がらせか?
 こんなやり方をするセールスも宗教勧誘も受信料未払い系も知らんぞ。
 人が風邪で寝込んでる時に、空気も読まずよくも。

「センドーさ~ん! 仙道 菜月なつきちゃ~ん!」

 この声は。
 身体の節々に痛みを感じながらも起きて、扉のチェーンと鍵を外す。こっちが開けるまでもなく、お隣の大学生くんがひょこっと顔を出した。 がさっとスーパーの買い物袋がのぞく。

「なんて格好してんのよ……」

 奇抜なキンキラ金の髪はもう見慣れた。
 でもなんだ、その格好は。
 ヨーロッパの警官服? いや軍服、みたいなものを着ている。

 それも前のボタンを半分ほど外して、肌を露出して。
 銀色のチェーンネックレスが服の間からちらりと見える。
 拳銃に見立てた手、指を突きつけられる。

「逮捕しちゃうぞ、バーン」

 頭が、痛い。
 見事に私の脳天を撃ち抜いてくれました。

「昼夜問わず、ヘンタイは居るものなんだね」
「やだな~。お見舞いに来たんだよ!」

 お見舞い? 風邪を引いたのは昨日、今日の話だ。
 彼には会っていないのに、どうして……。

 許可も出していないのに、彼は私を押し退けて玄関に入ってくる。
 もう毎度のことなので気にしない。

 205号室、隣人の平 誠一たいら せいいち、大学四年生、コスプレイヤー。
 彼に関する知識はこれくらいだった。
 年下には興味ない。
 残念なことに彼は容姿が完璧だ。だから、ヒジョーに惜しい。
 でも、所詮――年下、飲み仲間止まり。

 平くんは勝手知った顔で洗面所で手を洗って、鍋に水を張り、火をかける。

「なにをしてるの」
「あ~ダメダメ! 病人は寝てて!」

 誰に起こされたと思ってんだ。
 無理やりベッドに押し戻され、私は渋々横になった。
 軍服姿の平くんは、台所に立って料理を始める。
 お腹、空いてない、と伝えようとしたら咳き込んで、えずいた。
 ぐらぐらと視界が揺れて、気持ちの悪さに目をつむった。

「大丈夫!? あ、お水買ってきたよ!」

 丁寧にキャップを切って、封をしたまま床に置いてくれる。

「今日、会社に連絡入れてたでしょ。壁薄いから聞こえちゃった」

 そんなに壁は薄かったのか。軽い絶望にこめかみが痛くなる。

「ごほっ……引っ越そうかな」
「ごめん、冗談。昨日、雨に濡れて帰ってきたでしょ」
「え?」
「俺の前に菜月さんが居たんだよ。超走ってたよね」

 どしゃ降りの雨だった。
 会社帰り。駅を降りて、バスに乗っている最中に降り出して、とんでもない目に遭った。
 急いで走って帰ったから周囲のことには気付かなかった。

「ちなみに、俺は傘持ってました~」
「そうですか」
「まさかの無関心」

 平くんは笑って、台所に戻った。
 まな板から響く音は軽快だった。料理は上手なのかもしれない。

「卵粥、作ってるからね。あと、おひたしと、食後のゼリーもあるよ!」

 そう。と私は呟いてまどろんだ。
 ふと目を覚ましたのは、卵粥の匂いに気付いた時だった。
 目を薄く開けると、平くんの瞳が間近にあって固まった。
 金色の前髪が、鼻先をかすめていた。

「残念。眠れる美女をキスで起こそうと思ったのに」

 平くんに支えられて身体を起こす。

「君がなにを考えているのか分からないけど、私、君にそういうことされると」
「俺、菜月さんのこと好きだよ」
「うん。だから……ごめん」
「理由は? 年下だから?」

 真面目に返された。
 うなずきかけて、うなずけなかった。
 なにか言おうと思っても、言葉が喉元で詰まった。

 私はずっと、年下って理由で色々と気持ちを誤魔化していた。
 彼と距離を置きたいのは、この気持ちに気付きたくなかったから。

「似てるの、元彼に」

 やっとの思いで吐き出すと、彼はえっと仰け反った。

「まさかのコスプレ愛好家!?」
「ち、違う!」

 そうじゃなくて、と私は説明をした。
 なにも言ってないのに、タイミングよく現れてくれるところとか。
 気を使わせないようにわざと破天荒で脈絡のないことをするところとか。

「色々と、似てて……辛い……」

 うずくまる私に、彼はそっと手を伸ばして頭を撫でてくれる。
 そういうところも似てる、というと彼は怒った声で言った。

「俺の方がイケてるよ。こういう格好してもカッコイイでしょ?」
「まあ、そうだけど。でも、そうじゃなくて」

 平くんは、ペットボトルの水をあおって、無理やり私に口付けをした。口移しで与えられた水のほとんどが口からはみ出して、ぼたぼたと落ちて、パジャマが濡れた。
 お互いに息をついて見詰め合う。
 頭が熱くて、痛くて、どうにかなりそう。

「こういうことされると、濡れるでしょ?」

 私は答えられなかった。
 確かに、パジャマは濡れてしまったけれど。
 焦れた彼はもう一度ペットボトルをあおった。
 同じことを繰り返される。
 風邪による悪寒と、平くんとのキスに身体が震えた。

「蕩けた顔して……それでも俺のことが好きじゃないって言えるの?」

 言えない、かもしれない。
 
 元彼への想いと天秤に掛けてみると、やっぱり惜しいと思う。
 こんなにかっこよくて、いやらしくて、獣みたいな男を手放すのは惜しい。
 コスプレイヤーじゃなかったら完璧だったのに。

 首筋を這う平くんの唇を感じながら、パジャマを脱がされる。
 せっかく卵粥を作ってくれたのに冷めてしまう。
 平くんの確認を取るような視線に、私はうなずいた。

 軍服男に襲われるってどんなシチュエーション?

 私を腕に抱きながら、平くんはぼそっと呟いた。

「なんだか燃える……かも」

 先行き不安だ。私がコスプレする日もそう遠くない気がして涙が出た。

 ちなみに。
 その日のうちに平くんが風邪を引いたのは言うまでもなかった。







ありがとうございました & お疲れ様でした

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