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【六話】 君がヒロイン

「いい歳して手を繋ぐって、どーよ?」

 ゆかり は寒そうに息を吐きながら言った。
 そんなに恥ずかしいことだろうか。子供っぽい行為かもしれないけど、紫と手を繋ぐことに羞恥心は不思議と起こらなかった。

「だってお姉ちゃん、最近遊びに来てくれないんだもん」
「言ったって一ヶ月くらいでしょうよ」
「一ヶ月 “ も ” だよ!」

 できるなら本当のお姉ちゃんになってほしいくらいだった。それを訊いたら紫に引かれる気がして、口にはできなかった、けど、本心。
 紫は無表情のまま口元だけで笑みをつくった。

「束縛したがりだね。藤馬くんが可哀想」
「なんで!? なんで藤馬が出てくるの?」

 驚いた。
 まさかそんなことを言われるとは思わなかった。
 だって、藤馬のことが気になってるなんて、まだ言ってないのに。

「まだ付き合ってないの?」
「ま、まだって……そんな」

 恥ずかしくなる。
 顔が赤くなってしまうのを隠すように、春乃はそっぽ向いた。
 紫は茶化すような真似はせず、目を細めて、小さく呟いた。

「後悔する前に、言っておいた方がいいことも あるんだよ」

 紫がそんな風に言うのは意外だった。それなら、紫は打ち明けないことで「後悔」したことがあるのだろうか。例えば、別れてしまった“彼氏”のこと、だったり?

「いいなぁ」

 後悔するよ、と諭せる余裕さがなんだかカッコよかった。
 でも、と思いなおして、想像してみる。
 藤馬と紫の「性格」的な相性を考えてみると、やっぱり合わない気がした。理想を追った末に、恋が実るとは限らないから、紫を追うのはまだ先にしよう。

「うん、そうしよう」
「なに一人で納得してんだかっと、藤馬くん 外で待ってるみたいだよ」

 言われて顔を上げると、藤馬が玄関先で立って待っていた。
 春乃に気付き、紫をちらりと見て会釈した。
 紫は片手を挙げて応え、穏やかな笑みをたたえた。

「こんにちは。申し訳ないね、迷惑かけて」
「いえ……」
「それにしても、大きくなったね。何年ぶりくらいかな、会うの」
「ご無沙汰してます」

 丁寧な言葉遣いに、紫は「どこで覚えてくるんだか」と笑った。
 藤馬の案内で家に入り、紫は藤馬の母親に挨拶していた。

「着物、着たんだね」
「えっ? 知ってたの? 着ること」
「母さんがおばさんから聞いてたみたいで、それで」

 二人してよそよそしくなる。
 藤馬は廊下を見つめながら、ぼそっと呟いた。

「予想よりは、似合ってる」
「なにそれ……微妙な感想」
「精一杯の感想だよ」

 ひそひそと話し合う二人。
 紫は春乃に声をかけず、藤馬の母親に連れられて奥の部屋へ向かった。
 春乃は慌てて紫の背中を追った。

 紫は大谷家のおひな様が飾られている座敷に入るなり、夢へと駆け出した。

「ゆ~め~!」
「きゃあああ!」

 夢は紫の長い腕に抱きしめられ、拘束された。

 夢の隣に座っていた、藤馬の妹都子みやこはびくっと肩を震わせて固まった。その見事な固まりように春乃は声を立てずに爆笑した。

 紫は夢の頭を小突いて、説教を始める。

「お母さんに黙ってどうして出てきた」
「ごめんなさい」
「誘拐されたんじゃないかって、みんなものすごく心配してたんだぞ。どんな理由があろうと、家の人になにも言わずに外出するのはいけないことだ。ちゃんと一人一人に謝って、反省しろ」
「…………」
「ぐずるな。悪いのは夢だろ」

 都子は泣きそうな夢を見て、おどおどする。
 一緒になって涙目になって紫の腕を引っ張った。

「夢ちゃん、おひな様が欲しかったんだって」
「え?」
「お姉ちゃんのおひな様だから、今日のお祝いはお姉ちゃんのためにあるんだって。夢ちゃんはいらない子かもしれないから、居たくなかったんだって。それで、おひな様がほしくなって、取ってきたんだって」

 ようは、仲間外れにされたと思ったのか。 夢は涙をこらえるように怒った顔をして、紫の肩越しに春乃を見上げた。 鋭く突き刺さるような視線に、春乃は小さくため息をついた。

「だから、二人のおひな様だっておばあちゃんが言ったじゃない」
「……お姉ちゃんのだもん……」
「じゃあ、あげる」
「いらない!」

 なんだっていうんだ……。

「じゃあ、あげない」
「…………」

 それはそれで嫌なんだ。
 どっちつかずな答えに春乃が困っていると、紫は夢をあやすように背中を叩いた。

「おひな様がどっちのだって良いんだよ。夢も春乃も、今日の主役だよ」
「……そうなの?」
「そうなの。分かったら、帰るよ」

 うまく誤魔化された気がしながらも、夢はぎこちなく頷いた。
 有無を言わせない言い聞かせ方に、藤馬も思わず笑った。








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