FC2ブログ

すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【恋愛SS】 紫陽花色の心

「タカシくんが好きー」
 一ヵ月後。
「ユウキくんが好きー」
 一ヵ月後。
「サキくんが好きー」

 幼稚園の頃はひと月ごとに好きな子がいた。
 優しくされただけで、すぐに好きになってしまう悪いクセ。
 顔がカッコよくなくても好きになれた。
 王子様に見えた。
 




 人を待っている間に、雨が上がった。

 分厚く塗り込められた灰色の空からは、もう雨粒は落ちてこなかった。
 雲間から太陽が顔を出す。

 駅の地下街で慌てて買ったビニール傘は用無しになってしまった。

 レンガタイルの道がキラキラと輝き、
 水溜りが透き通った色をしていた。

 駅の植え込みの紫陽花が、目に留まる。
 鮮やかに咲きほこる 雨上がりの紫陽花を指先で撫でてみた。
 指先が離れると、花びらに乗っていた珠のような露が弾けた。

 それと同時に、ピシャッ――と水溜りがしぶきを上げた。

「ごめん、待たせた?」

 息急き切って男がやってくる。

「可愛い格好してるね」

 濡れた傘を片手に、空いた手をアタシに差し出して笑った。
 透き通った金髪が、太陽に輝いていた。
 白い歯も輝いていた。

 でも、アタシはもう王子様なんて幻想は見ない。
  

 アタシは大きな手を取らないで、移ろう灰色の雲を眺めた。
 考える。
 彼は馬鹿なんだろうか。
 アタシが手を取るとでも思っているんだろうか。

 ――それとも試しているの?

 ゆっくりと、彼を見返した。

「やめて」
「えっ?」
「アタシたち、そんな関係じゃないでしょ」

 一度は言ってみたかった台詞。
 彼は目をぱちぱちと瞬いて、誤魔化した笑い方をした。

「えっと……いや、どんな関係だろう」
「まったくですね。どんな関係でもないんだから」

 差し出された手が、力なく降ろされた。

「じゃあ、いいよ」
「そうしてください」

 彼は力なく去っていった。
 彼と入れ違うようにアタシが待っていた人が来た。金髪の彼を視線で追いつつ、アタシの本命が不思議そうに首をかしげた。

「友達?」と。

 尋ねられたことに、アタシは首を横に振った。

「ただのナンパ」
「えっ!?」

 アタシの恋人はちょっと仰け反って、振り返った。
 ナンパ男を捜すが、見当たらなかったようで渋い表情のままアタシを見下ろした。

「何分前に来たんだ?」
「約三十分前ですね」

 アタシの彼氏は、唖然とした。
 おっと、額を小突かれる。

「なんで約束の時間よりも早く来るんだよ!」
「時間に遅れてくるのは、アタシのプライドが許せないもので」
「先輩命令だ! ちょっと遅れても良いから、俺より早く来るなよ」
「なぜ、アタシのアイデンティティを奪うのですか」
「お前を守ってやれないからだろ!」
「えっ……」

 驚いた。
 小突かれた額を押さえて、固まるアタシに恋人は苦笑した。

「なんで驚くんだよ。 当たり前のことを言っただけだろ」
「そう、でしょうか……」
「そうなんです。 ほら、行くぞ」

 差し出された手を取って、アタシは歩き出した。

「アタシが昔のままだったら、ほいほいついていくところでした」

 どんだけヤンチャだったんだよ、とつっこまれる。
 幼稚園の頃は確かにヤンチャだった気がする。
 だから否定は出来なかった。
 恋人はやれやれと肩をすくめて、ため息をついた。

「堅物に変ってくれて良かったよ」
「悪口ですか? 褒めていますか?」
「両方」
「それが彼女に対する言葉ですか、信じられませんね」
「へいへい」

 王子様なんて幻想は抱かない。
 移ろいやすいアタシの心を引きとめてくれる、唯一の人。
 どうか、アタシの心を繋ぎとめて。
 思いを込めるように手を強く握り返したら、わずかに力が返ってきた。

 




人気ブログランキングへ




ありがとうございました & お疲れ様でした

ブログトップへ戻る
スポンサーサイト

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

カウンター

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ  

FC2Blog Ranking

ワンクリックで応援お願いします!

最新記事

プロフィール

デジャヴ

Author:デジャヴ


二次創作小説・オリジナルファンタジー小説を書いています。訪問して下さった皆様に少しでも楽しんでいただけると幸いです。

恋愛小説サイト『恋砂糖*ひと匙』も運営中


【補足と注意】

・過度な性描写・暴力シーンはありません。

・原作キャラでの同性愛は一切書きません。

・コメント、感想はありがたく頂戴いたします。誹謗中傷やマナーのないコメントは受け付けません。

・当ブログを利用するにあたり、一切の責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。

・小説、イラストともに転載・複写×
著作権は放棄しておりません!

以上の点をご理解いただけますことを心よりお願い申し上げます。まだまだ不慣れですが、温かく見守っていただけると幸いです。

右サイドメニュー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。