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【五話】 ゆくえ

 家族みんなで夢を探した。
 トイレにも、浴槽にもいない。
 さすがに母も顔色を変えて、外へ出て探してみようかと考え始める。

「おひなさんも 居ないんだよねぇ」

 祖母は落ち着いた声で言った。
 春乃は、はっと思いついて母の腕を叩いた。

「おばさんに挨拶した後、客間に行こうとしたら夢と会ったよ。
 風呂敷に何か包んでたけど、もしかしたらおひな様かも……。
 ねぇ、客間には誰も居なかったんでしょう?」

 祖父や伯父たちは顔を見合わせて、誰も夢を見ていないと口々に言う。
 おひな様と夢が同時に消えたならきっと夢が持って行ったに違いない。

 でも、どこへ?

「あの子は、本当になにをするか分かんないね」

 頬に手を当てて、落ち着きなく家を歩き回る母親。
 靴がないと、玄関から父の声が響いた。
 外へ出たんだ。

「誘拐でもされてたら、どうしよう……」
「大丈夫よ、幸ちゃん」

 いっそう不安そうに声を震わせる母親に、伯母がそっと肩を叩いた。
 父親は外へ出て、探し始めた。
 祖父と伯父も引き続いて、玄関へ走った。

「紫お姉ちゃん……」

 春乃まで不安になってきて、紫の手を握った。
 紫は変らず、のへら~と姿勢悪く立っている。

「藤馬くんの家かもねぇ」
「え? なんで?」
「直感」

 紫は目を細めて、静かに呟いた。
 それと同時に家の電話が高らかに鳴り響いた。

 母親はびくっと肩を震わせて、電話を取った。

「え? あ、藤馬くん? うん、ちょっと待ってね――春~、藤馬くんから」

 春乃は紫を見上げた。

「もしかしたら」
「行っておいで」

 もし夢が藤馬の家に行ったなら。
 そう思うと心臓がドキドキした。 紫はやっぱりすごい。

 受話器を受け取ると、少し湿っていた。
 母の焦りを感じて春乃は表情を暗くした。
 どうか、見つかりますように。

「藤馬っ」
「妹、急に押しかけてきたんだけど……。
 話を聞けば、家の人に何も言わずに来たって言うから。そっち、大丈夫?」


 一気に力が抜けた。
 話しながら紫の姿を探すが、もう居なかった。


「大丈夫じゃないかも……けっこう心配してる」
「そっか。 ちゃんと保護してるから、安心して。それで、引き取りに来てくれない?
 え? ごめんちょっと待って――あ~分かったから……。
 春乃指名だって。あはっ、怒られるのが怖いらしい。 春乃来れそう?」
 
 夢の声が受話器越しに聞こえてきて、確信する。
 藤馬とやりとりをして、母親に事情を説明した。

「よかったぁ~!」

 母親はほっと息をついた。
 春乃は表情を引き締めて、母たちに背を向けた。

「迎えに行ってくるね」
「そんな、お母さんが行くよ」
「夢が駄々こねて、藤馬の家に迷惑かけるのは良くないと思う。
 紫お姉ちゃんと一緒なら、大丈夫でしょう?」
「そうだそうだ」


 伯母がぽんっと手を叩き、携帯を取り出した。


「あ、紫? お父さんたちに言った? あー良かった良かった。
 春乃ちゃんが夢ちゃん迎えに行くって。 アンタと一緒が良いんだと、行ってあげな。
 うん、うん。 早く帰ってきなさいよ!」

 たばこ買ってから戻ってくるって、まったく悠長なんだから。
 伯母は苦く笑って携帯をポケットにしまった。

「お姉ちゃん、外に行ってたの?」
「勘が当たったとか言って出て行ったのさ。 おじさんたちに伝えてくるって」


 祖父たちが笑いながら帰ってきた。
 玄関で顔を合わせて、「頼んだ」と言われた。

 ああ、私はお姉ちゃんなんだな、と痛感する。
 責任を感じて、夢にどう言って叱ろうかと考えた。
 でも、あまり怒りたくない。

「お待たせ~」

 紫が戻ってきた。
 買ってきたタバコと財布を玄関の棚に置いて、紫は春乃の支度が終わるのを待った。
 だが、なにも羽織ろうともせず靴を履いて出ようとする春乃に、紫はぎょっと顔をしかめた。

「あんた、そのまま出たら寒いよ。 これ、ポンチョ貸してあげるから。
 母さ~ん! ジャケット貸して~!」

 肩に掛けられたポンチョから、ふわっと紫の匂いと、たばこの臭いがかおってきた。

「また吸った?」
「悪いね」
「病気になるよぉ」
「もう頭が病気だから」

 どういう理屈だ。
 まったく、と春乃はあきれ返る。
 支度が出来ると、二人は手を繋いで玄関を出た。






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