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重なる記憶(9) 【ケイト&ネメア】

うす曇のなか、遠くの空には朱色の光りが漏れて、地上を照らしていた。

ケイトは地面に剣を突き刺し、肩膝を立てた格好で体を支えていた。
轟――――と冷風を吹き上げて、鉛色の巨体は地に倒れた。
ケイトの黒い髪が、荒々しく巻き上がる。
モンスターの眼がケイトをとらえて離さない。
黄金色の瞳を見つめたままケイトはふっと横に倒れた。
竜王の瞳を思い出す。

『汝の存在はあまりにも危険だ……』

そんなの分かってる。
そんなことは分かっていた。
ただ、黙って死ぬのは嫌だったんだ。

(そんなの理不尽じゃないか……だからアンタを――――)

対峙する瞳が、光を失ったことではっと我にかえる。
ケイトは薄笑いを浮かべた。

「へへっ、アタシの勝ちだ……」

生温かい感触が、筋のように目の縁を伝い、顎先へと流れていく。
腰に付けていた予備の警報花火を握る。
この明るさで見えるだろうか。
ネメアは気付くだろうか。

(ま、どっちでもいいか……これで終わっても、いいや……)

ケイトの目の端から涙がつうっとこぼれた。

「アタシ……頑張ったよね、父さん…………」

*   *   *   *   *   *   *

ネメアはずっと山を見つめていた。
日は沈みかけ、夜の冷たい風が肌に沁みる時間になった。
クノアは時折ネメアの隣にやってきては、一緒になって山を見つめていた。
それでなにかが変るわけではなかったけれど。
クノアが涙ぐんだのを見て、ネメアは首を振る。

「あの強い気配は消えた。ケイトはきっと成し遂げたはずだ」

クノアは何度も強く首を振り、ネメアは再び山を見つめた。
その瞬間――――シュンッ!と流れ星にも似た光が山から飛び出した。
ネメアはすぐに立ち上がり、そばに控えさせていた馬の手綱を取った。

「ネメアさん!?」
「みんなに伝えてくれ。私たちが帰って来るまで家のなかから一歩も出るなと」
「それじゃあ――――」

ネメアは頷き、クノアは駆け出した。
馬の蹄(ひづめ)の音が響き渡る。
もっと速く、風のようにもっと速くだ。
馬を全速力で駆けさせ、ネメアは急いた。

(虫の息か、それとも戯れか……)

ケイトのことだ。
笑って、驚いたか?とおどけて見せるに決まっている。
そうあってほしいとネメアは願った。

妹の、ケリュネイアの心情も今なら理解できる。
ケイトに対してこうあってほしいという羨望を持っていた。それをどうか崩さないでほしいと願っている。
どうか自分と同じだけの強さと、恐ろしさを持っていてほしい。
そしてその力で敵をねじ伏せ、帰ってきてほしい。

そうすれば自分とまったく同じ存在だと思えるから。

(まったくのエゴだな……)

一人で行かせたことに後悔がないのは、きっとこのエゴのせいだ。
帰ってきてくれると信じている。
だが、死んだらどうする。
死んでいたら、どうする。

ネメアのなかで、生まれて初めて感じたことのない恐怖が生まれた。

(ケイト……)



辺りはすっかり薄暗くなっていた。
松明で山道を照らしながら進む。
頼りになるのは光ではなく、ケイトのソウルだった。


ネメアは立ち尽くした。
鉛色のモンスターの屍。
その隣に伏しているケイトの姿に愕然(がくぜん)とした。
ゆっくりと近づき、ケイトの体を照らす。
右足が、あらぬ方向に折れていた。
額の生え際がねっとりと濡れ、こめかみ、頬、顎先へと乾いた赤い筋が流れていた。

「ケイト」

肩を抱き衣で包み、ケイトを揺り起こす。
わずかに反応があったから、死んではいなかった。

「ケイト、ケイト……目を覚ませ」

かつての仲間たちの目から見れば、ネメアは冷静にケイトを介抱しているように見えただろう。
しかし、今のネメアはかつての獅子帝ではなかった。
小刻みに震える手でケイトの肩を抱いていたのだ。

「目を覚ませ、ケイト」
「…………うるさいぞ」

かすれた低い声。
ケイトは目を開けはしなかったが、口の端をわずかに上げた。

「驚いただろ………………まさ、か、アタシが、死にか…………るのが」
「予想通りの反応だった」
「ははっ…………」

ケイトは涙を流した。

「死に、損なったか……」
「なにを」
「父さん、……まだ、……逝っちゃダメなの?」
「ケイト」
「疲れた……疲れたんだ……もう、なにもかも」

ネメアはケイトの手を握り、頷いた。

「帰ろう。人のいる、平穏な世界へ」


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