FC2ブログ

すっごくRPG!!

二次創作小説・オリジナル小説を掲載しております。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【恋愛SS】 天上のバレンタイン

 二月十四日に、彼氏を遊園地に誘ったら「ベタだな」と鼻で笑われた。


 がこん、がこん、と揺れながら降りてくる観覧車に乗り込み、
 彼は窓に頬杖をついて、眠そうにあくびをした。


 計画は順調に進んでいる。
 バレンタインデーに遊園地デート、そして頂上についたらチョコを渡し、熱い抱擁!

 三年も付き合っていると、愛情が冷めてくる。
 好きだけど、昔ほどべったりとそばに居ることはなくなった。
 だから、ここで付き合いたての頃のように距離をぐっと縮めて――。

「すげー目力。 怖いんだけど」

 はっと我に返る。

 モデルのようにすらっとした体型で、顔だってそこそこ良い。
 一匹狼と言われるほどクールで他人とあまり接したがらず、どこかのグループに属すような性格でもない。
 高校の頃にそこに惹かれて告白した。

“私がストーカーになる前に、付き合ってほしい!” 

 彼は唖然として、ぎこちなく頷いた。
 後から聞けば「適当に付き合って、適当な頃合で別れるつもりだった」そうだ。

 私はずっと、その「頃合」に怯えていた。
 よい彼女でいよう、と必死になっていた。今でも、変らずに。

 大学生になり、一人暮らしをしてお互いの家に泊まることもあった。
 アレなこともした。
 でも、抱き合っても満たされない。

 「頃合」ばかりを気にして、怖がる私に、彼も気付いてしまった。
 それからは、距離が空いてしまった。

「どうした?」
「んーん、なんでもない」

 彼はふーん、といぶかしげに目を細めて、深く座り込んだ。
 長い足が伸びてきて、私の靴とぶつかった。
 つま先を合わせて押し合いっこして、私は吹き出した。

「なんだか、子供みたい」

 足先でじゃれあっていると、彼はまた窓に肘をついて外を見た。

「そろそろ、頂上だけど?」

 おお、そうだった。
 彼は私の計画を見透かしているようで、「やっぱりな」と笑った。
 ごそごそと鞄をあさってバレンタインのチョコを探す、が。

 ――うそ、ない……忘れてきた!?

 探しても探してもなかった。
 彼の顔をちらりと見ると、彼は小首を傾げて不思議そうにしていた。

 がこん、がこん、と不安定に観覧車が揺れた。

「風、強いんだな」と、彼はもうすぐ着くであろう頂上の辺りを見つめた。


「ごめん……忘れてきちゃった……」

 彼はなにも言わなかった。
 私は自分が情けなくて、許せなくて、うつむいた。
 合わせる顔がない。
 せっかく来てくれたのに、結局なにしに来たんだろう。

「……っ…………」

 でも、泣いてはいけない。
 泣く女はきっと、面倒で、「頃合」が来てしまう。

「ナオ」

 声を掛けないで。
 震える声を聞かれたくない。

「頃合だな」

 彼は静かに宣告して立ち上がった。

 なにがいけなかったんだろう。
 ああ、やだ。
 ダメなところは、いくらでも見つけてしまう。

 謝ることもできず、私は固まった。 もう、終わりだ。


 彼が隣に座る。
 衣擦れの音。
 大きな手のひらが、私の顔を持ち上げた。
 とうとう、はっきりと言われる時が来たか。

 ぼろぼろと涙がこぼれていく。

 ぐっと肩を掴まれて、引き寄せられて。

「えっ……」

 彼の前髪が、私の鼻筋をくすぐった。
 熱い。
 顔も身体も熱くなる。
 いつぶりだろう、こんな気分。

「頃合って、言ったのに」
「頂上に着く頃だなって意味だろ」
「別れるってことじゃなくて?」
「なに言ってんの、お前」

 ものすごく馬鹿にする目で見られて、私は思っていたことをすべて吐き出した。

「だから、頃合っていうのは、別れる意味だと……思ったのに」
「相変わらず馬鹿だよな、お前」
「馬鹿って、そんな!」
「好きじゃない奴と、三年もちんたら付き合うかよ」

 彼はチッと舌打ちをして、私の両頬を潰した。

「もしかして、今までぎこちなかった理由は、俺が言ったこと気にしてたから?」
「うい」
「だったら最初から言えよ! 俺が下手なのかと思っただろ。ただの杞憂かよ、くそっ」

 目をぱちぱちと瞬いて、ようやく理解する。
 彼の手を引きはがしてぎゅっと握る。

「下手じゃないよ! すごいですよ!」
「うるさい、喋るな。 帰ってから覚悟しろよ」

 腕が首に回って締められる。
 彼の身体に寄り添っていると、なんだかたまらなくなる。

「なんだか、ドキドキする……」
「じゃあ降りるまで、ずっとそうしてろ」
「うん」


 計画倒れだけど、終わりよければ全て良しとしよう。

「にやにや笑うな、気色悪い」








ありがとうございました & お疲れ様でした

ブログトップへ戻る
スポンサーサイト

*Comment

初めまして。 

|ω・`)チラ 初めまして…。
こういうラブストーリーすごく好きです。

トップページから入らせていただいて、
「ビー玉色の思い出」を拝見したのですが、
和風はちょっと私には合わないかな…?と思い、
「亡国のシャンデリア」の序章と1章を拝読し、
「これすごくイイ!」と思ったら、
どうも前作があるようなのに気づき、
「もう1つのメリークリスマス」から読んでみようと思ってます。

その前に胸きゅんしてみたくて、
恋愛SS目次から、「クールな彼」というのに惹かれて
まず一番にこちらに来てみました。

他の、恋愛SSも読んでみたいと思います。

胸きゅんをありがとうございました。
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.06/02 14:54分 
  • [Edit]

Re: Sha-Laさんへ 

初めまして^^
訪問、そしてコメントまで頂けて嬉しいです。
ありがとうございます♪

『ビー玉』は、小説が書けない、
スランプになった日を境に書き出しました。
なので、『亡国』と同時進行になっておりますが、
どちらかと言うと、『ビー玉』メインになりつつあります。

『亡国』を気に入って頂けたのであれば嬉しいです!
執筆意欲が沸いてきます><
時間を見つけて更新できるよう頑張りますので、
続きはもう少々お待ちください・・・。

> 胸きゅんをありがとうございました。

いえいえ! こちらこそ、読んで頂けて嬉しいです。
また足を運んで頂けるよう、心を込めて書いてまいります。
ただ、更新ペースがあれなもので・・・
気長に待って頂けたら幸いです。
コメント、本当にありがとうございました!
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.06/02 23:54分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

カウンター

ブログランキング

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ  

FC2Blog Ranking

ワンクリックで応援お願いします!

最新記事

プロフィール

デジャヴ

Author:デジャヴ


二次創作小説・オリジナルファンタジー小説を書いています。訪問して下さった皆様に少しでも楽しんでいただけると幸いです。

恋愛小説サイト『恋砂糖*ひと匙』も運営中


【補足と注意】

・過度な性描写・暴力シーンはありません。

・原作キャラでの同性愛は一切書きません。

・コメント、感想はありがたく頂戴いたします。誹謗中傷やマナーのないコメントは受け付けません。

・当ブログを利用するにあたり、一切の責任は負いかねます。あらかじめご了承ください。

・小説、イラストともに転載・複写×
著作権は放棄しておりません!

以上の点をご理解いただけますことを心よりお願い申し上げます。まだまだ不慣れですが、温かく見守っていただけると幸いです。

右サイドメニュー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。