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【恋愛SS】 鏡もちとみかん

 近所ではないけれど、帰り道が一緒っていうだけの友達が、俺にはいた。

 小学校の給食にみかんが出てくると、必ず言っていいほど他人からみかんを貰う。
 だから、「みかん」と呼ばれている。

 みかんは、木の枝を拾って、公園の地面にお絵かきを始めた。

「なに描いてるの」と俺が後ろからのぞきこむと、みかんは丸を二つ描いていた。

「なにそれ」
「鏡もち」
「雪だるまじゃなくて?」

 みかんは、ガリガリと枝を地面にこすりつけて、お絵かきを止めない。

「かんせ~い!」

 鏡もちの横に、もう一つ鏡もちがあった。

「なんで二つ?」
「こっちは、タケルーだよ」

 ショックを受けた。
 頭が真っ白になって、心臓が止まるかと思った。
 みかんが描いた鏡もちは、俺の体型とそっくりそのままだった。







「SNOW、撮影始めるよー」
「はい。 よろしくお願いします」

 あれから十年以上経った。
 俺はモデルになっていた。
 あの頃のあいつを「見返してやる」という信念を持って、理想を追い続けている。
 でも、俺はわかっていた――思い出の中のみかんに囚われているだけだって。

 今日は、冬のファッションの撮影だった。
 だから俺は思い出さずにはいられない……あの日の会話と、みかんのことを。

 タケルー、と呼んでくれる声はもうない。
 アニメみたいな響きを持った、おかしなネーミングセンス。
 甘い声で呼ばれると心臓が跳ねて、たまらなくなった。

「SNOW、もっと笑って」

 そう。
 俺はSNOWだ、もう鏡もちと並んだりしない。
 それなのに、みかんはもう居ない。
 高校から別れて、専門学校に入学してから引っ越したと聞いた。
 連絡手段はもうない。
 俺が雑誌の紙面を飾ることでしか、俺が変わったことを伝えられない。

 みかんの声が聞きたかった。
 今の俺を見てどう思うか。
 答えを聞きたかった。今の俺はもう、鏡もちでも雪だるまでもないだろ?


「SNOWさん、今日のみ助っ人で、新入りのスタイリストがつきますんで。よろしくお願いします」

 翌週の撮影でそう言われた。
 俺は適当にあいずちを打って、新入りのスタイリストやらの顔を拝んだ。

「よろしくお願いします!」

 勢いよく頭を下げて、顔を上げたそいつは、にっと笑った。

「み……かん?」

 みかんが、そこに居た。
 昔と変らない、太陽みたいな笑顔で立っていた。

「新入りの、柚木かおる……です。仲間内では、みかん、と呼ばれています」
「なんで、お前が……」

 みかんは、くすっと笑った。

「タケルーは相変わらず、だね」
「えっ」
「鏡もち」

 俺は少なからずショックを受けた。
 やせたし、顔だってかっこいいと言われる。
 そんな風に称されるほどの容姿じゃないって思ってる。それなのに。

「肌、白いよね。もちもちだし」

 ぷにぷにと頬を指で突かれる。
 そういえば、あの日もそうだった。
 固まって絶句する俺に、みかんは俺の頬に指を突き刺して遊んでいた。

「鏡もちにみかんは必須! ね?」

 相変わらず、意味不明。
 みかんは自己完結したみたいで、先輩スタッフに呼ばれて踵を返す。

「待って!」

 とっさにみかんの手首を掴んで、引き寄せてしまう。

「あの、さ。 仕事終わっても、待ってて。携帯の番号と、メアドと!
 それから、色々と、話したい……ずっと会いたかったから」

 クールで通ってる俺が、こいつの前じゃ形無しだ。
 こんなにテンパって、手に汗握って。
 馬鹿みたいに、いつまでも未練がましくこいつに恋をしている。

 みかんはゆっくりと振り返って、頬を真っ赤にして笑った。

「タケルーがタケルーのままでよかった。追いかけてきて、よかった」

 満たされたみたいな表情で、みかんは俺の手から離れていった。
 でも、次がある気がする。
 また会える気がする。
 
 嬉しすぎて、頭が真っ白になって、心臓が止まるかと思った。
 
 SNOWは白じゃなきゃいけないのに、俺は顔を真っ赤に染めてしまった。

「鏡もちにみかんは必須、か」

 いつまでも、みかんにとって俺は鏡もちなのかもしれない。
 鏡もちポジションは嫌だけど、まったくもって納得いかないけれど。
 でも、みかんが俺のそばに居るなら、仕方なく受け入れよう。

「SNOWさ~ん、準備に入りますよ~!」

 みかんの声に、俺は昔のように駆け出した。



 





ありがとうございました & お疲れ様でした

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*Comment

鏡もちとみかんヽ(*´∀`)ノ 

こんにちは。
いつまでも、みかんはみかんのままで、
みかんにとっても、鏡もちは鏡もちのままで。
「鏡もちにみかんは必須!」いいですね~ヽ(*´∀`)ノ
ほのぼのさせていただきました。
ありがとうございました。
  • posted by Sha-La 
  • URL 
  • 2013.06/03 06:28分 
  • [Edit]

Re: Sha-La さんへ 

こんばんは^^
訪問、コメントありがとうございます♪

少女マンガみたいな展開が書きたかったんです(笑)
動機はそれだけで、思いつくままに書いていました。
息抜きに読んで頂けたのなら、嬉しいです^^

こんなに作品を読んで頂けるとはっ!
こちらこそ、ありがとうございます。
  • posted by デジャヴ 
  • URL 
  • 2013.06/03 21:07分 
  • [Edit]

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